日経ITプロフェッショナル2004年01月号

 以前、たくさん雑誌を定期購読していると書きました。読んだ内容を整理する意味で、それらの雑誌の書評を書いていこうと思います。(今年の目標です。・・・いつまで続くかな。)
 初回は、日経ITプロフェッショナル2004年01月号です。

特集1
「ユーザーが悪い」で終わらせない
今こそ身につける要求定義の”定石”

 私もソフトウェア業界に身をおくものとして顧客の要求定義には悩まされます。顧客立会いでテストする段階になっての「仕様追加」、「仕様変更」の数々。そういう顧客に限って、要求定義をおろそかにしていがちなのです。「ものを見てから機能を追加すればいい。」という意識があるのでしょうか。
 第一部ではITエンジニアを対象としたアンケート結果を元にベンダー側と顧客側の意識の違いはどこにあるのかを探っています。(そういえば、このアンケートは私も参加したような。)
 第二部では成功に導く4つの必須スキルと称して、「ヒアリング技法」、「業種・業務知識」、「要求定義の方法論」、「要求をモデル化するための図法」を挙げて、それらを解説しています。「ヒアリング技法」といえば、コーチングでやったぞ。
 第三部では要求定義の方法論を知るというテーマで、DOAをとりあげています。いまさら、DOAか?というむきもいるという前提で、IBM-DOAという、IBMで実践されているDOA手法に関する解説がされています。
 第四部では引き続いて方法論としてオブジェクト指向に基づく方法論を理解することがテーマです。ラショナルソフトウェア社のRUPをとりあげて、RUPに基づく要求定義手順を紹介しています。
 第五部ではヒアリングの実践ノウハウを紹介しています。このノウハウは要求定義段階以外でも役に立ちそうです。
 第六部は「要求工学」です。私自身、この言葉を聞いたのは初めてでした。ソフトウェア工学の一分野として最近注目を集めているとのことです。PMBOKのようにまだ十分体系化できていないそうですが、このようなフレームワークがユーザー側とベンダー側とで共有されれば、要求定義もずいぶんスムーズに行くのではと思います。

特集2

プロジェクト運営で失敗しないために

組織作りの考え方、進め方

 プロジェクトを行うときはプロジェクトチームを作るのですが、その運営に失敗しないために、どのように組織を作ればよいのかというのがテーマです。
 経営学の組織論の話ですね。
 機能別組織、マトリックス組織(3段階)、プロジェクト型組織の5種のモデルを中心に各モデルにおける長所、短所について述べられています。
 また、組織に必要なコミュニケーションについても垂直型、水平型をとりあげ、それぞれがどのようなシステム開発に向いているのかについて論じられています。垂直系は管理・統制に向いているので大規模システムの開発に向いており、WEBシステムのように短期開発プロジェクトでは水平系のコミュニケーションが向いているそうです。実際には、これらの組織とコミュニケーションを組み合わせてカスタマイズする必要があると結論付けています。また、過去の遺産のような組織(筆者はこれを惰性的な組織と呼んでいます)には限界があるとも述べています。・・・まさにそのとおりですね。個人レベルでのコミュニケーションツールが発達した現代の特性を十分に活用するためには、旧来の組織およびコミュニケーションでは無理でしょう。過去の組織論は過去の「組織内での情報伝達」が前提です。
 というわけで、書評でした。コラムやほかの連載は割愛します。そこまで書いていたら、ページがいくらあっても足りませんからね。(^.^)