プラネテス 第13話

 今回のエピソードは、映画「オクトーバースカイ」のパクリか?と思わせるようなものでした。主人公が実家に帰るとそこでは弟がロケット作りに熱中しています。海岸の漁師小屋を借りてロケットの燃焼実験もやっているなんて、ずいぶん本格的でした。
 さて、プラネテスのアニメーションでは宇宙空間と地上とを結ぶ交通手段について、今まで具体的に見られませんでした。
 今回、主人公の「はちまき」達は地上に降り立ったのですが、地球への帰還のシーンはありませんでしたが、宇宙へ戻るシーンはありました。そこでは、水平離着陸型の宇宙往還機が使われていました。なんと、「成田空港」が宇宙往還機の発着用の空港に進化しているようでした。
 宇宙へ行くための手段としては、

使い捨て型ロケット:Expendable Launch Vehicle (ELV)

再利用可能ロケット:Reusable Launch Vehicle (RLV)

があります。(ロケットを使わずに軌道エレベータを使うなどという方法は抜きにしていますが。)さらに、再利用可能ロケットの中には垂直打ち上げ、水平着陸を行うタイプと水平離着陸を行うタイプとがあります。
 今回登場したのは、その中でも一番技術的に難しいとされる水平離着陸型でした。
 ELVや垂直打ち上げ型のRLVの両者は発進時には同じような手順を踏みます。つまり、とにかくロケットエンジンに任せて一定の高度まで上昇し、そこから脱出速度まで加速するというものです。翼の揚力はこの際には全く使われません。
 それに対して、水平離陸型のRLVでは、普通の航空機のように離陸し、赤道上空に達したところで、東に向かって全力で加速し弾道飛行に入ります。弾道飛行の頂点で脱出速度まで更に加速して衛星軌道に乗ろうというものです。
 未確認ですが、今回登場したRLVは、
a.可変翼を持っている。(大気圏突入時は格納するのか?)
b.軌道船と母機を切り離すタイプではなく一体型である。
c.大気圏内を飛行するときと、大気圏外を飛行するときのエンジンが同じだった。(他にエンジンらしきものが見当たらなかった。)
という特徴を持っています。(画面で確認しただけなので、もしかしたら間違っているかもしれませんが。)
 あぁ、人類の科学技術もずいぶん進歩したな、という感じです。現在の状況としては、垂直発進型のRLVで軌道船のみが宇宙空間に達することができるスペースシャトルが、昨年のコロンビア号の事故以来、打ち上げが中断されたままになっていますし、我が日本では、JAXAのH-2Aが打ち上げ6回目にして失敗を喫してしまいました。実験中のものでは、X賞という賞を目指して欧米の各社(団体)がRLVの開発にしのぎを削っているようです。(航空ファン2003年09月号より)
 現実の問題としては、cが非効率であるため、どうしても大気圏内用と大気圏外用のエンジンを別々に持つ必要があります。そのために、bが否定され、大気圏内を飛行するための母機と圏外に出るための軌道船との分離が必要になります。
 軌道船と母機とを切り離し、軌道船のみが加速して大気圏突破を目指すタイプの水平離陸型RLVは、次世代シャトルの更に次の段階くらいに採用されることになるのでしょうか。ということは、この物語に出てくるような宇宙往還機が登場するのは更にその次の世代ということになり、あぁ、私が生きているあいだに見ることはないかもしれませんね。
 でも、宇宙往還機のシーンを見ていると、スペースシャトルと日本のH-2Aの打ち上げ再開に尽力されている人たちにエールを送りたくなりました。がんばってください。