日本、有人飛行へ

 政府は29日、現在の日本の宇宙開発利用政策を抜本的に見直す方針を固めた。失敗が続く国産ロケット打ち上げや人工衛星の開発技術などの見直しのほか、凍結していた日本人宇宙飛行士による独自の有人宇宙飛行についても、早期実現を視野に再検討する。Yahoo!ニュースより

 今日のネタはこれで決まりですね。日本は今まで有人宇宙飛行に否定的でした。有人宇宙飛行は多額の研究費がかかる上、その成果を(宇宙生活などの実用的な分野に)生かす時代はまだ先になります。日本としては、有人宇宙飛行よりも人工衛星打ち上げ用のロケットなど商業的に実利のある分野を優先させてきたのです。(日本でも、大気圏に再突入可能な宇宙船の基礎実験はやっていたんですよ。「HOPE」とかね。)
 今回は多額の予算をかけて有人宇宙飛行をする計画のようですが、目的を明確にして、実現可能な(国民が納得するような)目標を立て、実行してほしいものですね。
 かつて、航空機産業の黎明期には多くの航空機メーカーが誕生しました。しかし、新しい航空機の研究開発に多額の予算がかかるようになってくると、統合と淘汰の嵐にもまれ、現在では、商業用の大型航空機はアメリカのボーイングとヨーロッパのエアバスくらいしか作っていません。軍用機も、かつては名を馳せたメーカーも次々と別のメーカーの軍門に下り、わずかしか残っていません。
 現在のロケット開発は、(軍事目的への転用可能性からか)ロケット単体の売買は行われていないようです。ロケットを持っていない国が衛星を打ち上げたい場合は、他国のロケットに乗せてもらって打ち上げることになります。しかし、人が宇宙ステーションとのあいだを頻繁に行き来するような、そんな時代が訪れたとき、ロケットの打ち上げビジネスも今より大きなマーケットとなり、より激しい競争の時代になるでしょう。そのとき、日本のロケット産業が生き残れるのかといえば、今のままでははなはだ疑問です。有人宇宙飛行を軸に、ロケット開発技術の水準を上げて、来るべき国際的な競争に勝ち残れるようなロケットを開発するべきだと思います。
 巨額の資金を投入することになりますから、当然、明確な目標を示し、それを説明する責任(アカウンタビリティー)を果たす必要があります。
 日本の有人宇宙飛行に期待しましょう。