中小企業の再生支援マニュアル

 この書籍は、中小企業診断士の実務補習終了時、中小企業診断協会に入会したのを記念していただいたものです。(同友館が発行しています。)
 中小企業の再生のプロセスごとに、中小企業診断士の果たす役割について書いてあります。
 ・・・これ、実務補習が始まる前にほしかったな。
1.経営が困難になった要因の克服
2.経営改善計画案の策定
3.再生方法の選択
4.会社整理における診断士の役割
 の4章に分かれています。
 この中で診断士が活躍できるのは、主に1~3の段階ですね。4の段階に至っては、弁護士の仕事となります。逆に4の段階では非弁行為の話が載っていました。弁護士でないものが訴訟を取り扱うことを禁止しているものです。これは注意せねばなりませんね。4の段階では、弁護士(他に、公認会計士や税理士など)との連携は必須でしょう。
 今回、実務補習していて分かった(というか、改めて思い知らされた)のは、企業が経営困難になる理由は、直接的には金融機関からの短期借り入れの書き換え拒否など資金繰りの逼迫です。ですが、やはりそこに至るまでにはそこに至るまでの理由というものがあるんですね。つまり、本業の市場が成熟から衰退に向かっているとか、無理な設備投資をしていたとか、過剰な在庫を抱えているとかです。それをほっといていては、いくら財務の改善をしても、ただの対症療法でしかありません。
 短期的には、自前で資金を調達しなければならない場合もあるでしょう。ですが、中長期的には、銀行との協力関係の維持は欠かせません。銀行の協力を得るには、経営改善に向けて具体的な計画を策定し、それを着実に実行していくことです。
 それから、金融機関は今は金融庁からのお達しで、企業の格付けをきちんとしなければなりません。いくら、金融機関側が独自の判断で融資をしようと思っても、格付けに応じた貸し倒れ引当金を充てなければならないのです。ということで、金融機関から見れば、格付けが第一条件となります。格付けが上がれば、貸し倒れ引当金の充当額が少なくてすみますから、その分だけ貸しやすくなると言うわけです。その格付けを改善するためにも、遊休資産の売却などを進め、バランスシートをきれいにすることが大切ですね。
 もちろん、資金繰りが逼迫している企業にとって、緊急の延命措置は必要です。ですが、その後の大手術(本命の改革)を成し遂げなければ、企業の再生は不可能です。そして、大手術後のリハビリを行って、やっと自立した活力のある企業へとなるのですね。
 この書籍は、各段階における企業の診断についていろいろと書いてあります。ほんと、先に読んでおけばね・・・
 それから、この書籍(第3刷だけかな)、p48が2つあるんですね。本来ならばp49が入るところにp48が入っています。そのため、p49がない。
 というわけで、同友館に連絡したら、p49を送ってくれました。感謝、感謝。