オレンジカーゴ破産へ

 オレンジカーゴとは、名古屋市に本社がある、双発プロペラ機を利用した貨物専門の航空会社です。ニーズが高いとされる夜間を利用した貨物輸送を行うことを基本戦略にしていました。昼間に集配した貨物を夜間に輸送し翌日には届けられるようにすると言うことです。大手のやらないニッチな市場を狙う戦略であり、典型的なベンチャー企業でした。
 社長はトヨタ自動車工業(現・トヨタ自動車)の石田退三・元社長のひ孫である石田泰正氏です。設立は、昨年9月でした。当初は羽田-長崎線、羽田-鹿児島線の二路線で運航を開始しましたが、パイロットの都合がつかず、長崎線を運休していました。
 今回、3月22日に鹿児島線を運休するとともに全従業員80人を解雇していましたが、4月19日までに名古屋地方裁判所から破産宣告を受け事実上倒産しました。
 社長がトヨタ自動車のトップを務めた人物のひ孫であることなどから、多くのメディアにも紹介されていました。テレビのドキュメンタリーにも出ていたと思いますが、設立後半年で早くも挫折してしまったと言うわけです。
 オレンジカーゴの所有していた双発プロペラ機は4機で、ビーチクラフト(現レイセオン)の1900Cでしたが、いずれも九州地区の空港にて管理下にあるそうです。
 ところで、オレンジカーゴの戦略ですが、深夜や早朝を利用した航空貨物便で、羽田鹿児島間など通常のトラック輸送ならば20~30時間かかるところを3時間程度で運ぶことができるという発想はよかったのですが、いかんせん、運送費が割高でした。20~30時間を3時間に短縮することで喜んでもらえる顧客というのが、あまりいなかったということでしょう。私もちょっと思いつきません。生鮮食品ですか?生鮮食品は価格の割に容積と重量がありますので、航空輸送にはあまり向かないような気がします。超高級生鮮食材とかであれば別ですが。後は、コンピュータ関連の電子部品などになりますが、これを羽田-鹿児島間で運ぶ需要はそんなにないような・・・
 見通しが甘かったと言えば、それまでですね。
 こういう、ベンチャー企業が航空業界にも出てきたことを喜んでいただけに残念です。

2004年4月27日 | カテゴリー : ニュース | 投稿者 : assak