【ソウル29日藤井通彦】一九七〇年代に日本で広まった「口裂け女」の風説が、なぜか最近になって韓国に上陸。各小学校などでは、怖がる子どもたちに対し、教師が授業時間を割いて「根も葉もない話」と説明するなど、教育現場に深刻な影響を与えている。Yahoo!ニュースより
私が子供のころ、はやっていました。でも、私の地域ではそれほど深刻になることもありませんでした。
1970年代後半と言えば、インターネットなどはもちろんありません。個人間でのコミュニケーションと言えば、「口コミ」、「電話」、「手紙」でした。
また、子供達は同じ学校のもの同士で遊ぶのが普通で、他校の児童とのコミュニケーションはあまりありません。
そういったなかで、口裂け女のような風説が広域に広がっていく背景には、「学習塾」の存在があります。学習塾は、学校の校区よりも広い地域から児童を集めます。(商圏が広いと言うわけです。)学習塾の中では勉強をするのはもちろんですが、休み時間に遊ぶときなどお互いの学校ではやっていることが話題になることもあります。児童たちは学習塾で知った他校の話題を自分の学校に持ち帰って話します。こうして、ある学校ではやったことが、他の学校へと伝播していくのです。
まさに、伝言ゲームです。最初はたわいもない噂話でも、それに尾ひれがついていき、真実の話として伝えられていくのです。
口裂け女などその典型と言ってもいいでしょう。数多くのうわさの中から最も刺激的なものが伝えられ、(話す人が尾ひれをつけていき)あのような話になったと言うわけです。
さて、現在ではインターネットが普及して同じ内容の話を多くの人に同時に伝えることができるようになりました。といっても、子供はコミュニケーション手段としてのインターネットの恩恵にあまりあずかっていません。(子供が興味あるのはインターネットのゲームでしょう。)というわけで、学習塾を媒介とした口コミは今でも健在なのです。
私の推測ですが、韓国で口裂け女が広まったのも、学習塾を通してではないでしょうか。韓国は子供に対する教育に大変熱心だと聞きます。学習塾も多くあるでしょう。一人の子供が複数の学習塾に通っている事も多いのではと思います。ということは、より多くの他校の児童と交流する機会があるということです。それが、地域の境を越えた情報の伝播手段としての機能を果たしているのでは。
ところで、日本の子供達のあいだでは、近頃こうした風説がはやっているとは聞きません。
こういった話がはやるのは、伝達する手段である口コミ、地域を越えて連鎖させる媒介、そして何よりも、話を怖いと感じる感受性や想像力が必要です。
学習塾と言う媒体は相変わらず存在しています。それでもしこのような話がはやらないとすれば、日本の子供達は言葉で相手に自分を伝える能力(バーバルコミュニケーション)が少ないか、感受性や想像力が少ないかのいずれかあるいは両方かということになるのでは。
韓国の口裂け女の話を聞いて、日本の子供達のことが少し気になりました。
口裂け女
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