人工衛星は二極化の時代に?

 今度、ホテル業の東横インが、大学と共同で小型の人工衛星を打ち上げることになりました。小型の人工衛星といえば、東大阪の中小企業が中心となった「まいど1号」があります。今回開発するのもこういった小型の人工衛星です。
 さて、人工衛星といえば、多目的の大型人工衛星と今回のような小型の人工衛星の二極化が進んでいるようです。ひまわりの後継機として打ち上げられる予定だった人工衛星は、気象衛星と航空無線の通信衛星の機能を兼ね備えたものでした。こうして人工衛星はモジュールを組合わせて大型化の一途をたどっていました。複数のモジュールを搭載することで、ひとつの衛星を打ち上げるためのコストはあがります。しかし、1機能あたりの打ち上げコストを下げることができます。ところが、ひとつの衛星に複数の機能を組み込むことは、エネルギー(電力)の消費の増大、それぞれのモジュールが出す熱やその他の振動や電波の干渉、などなどさまざまな問題を生みます。そのため設計が複雑になり、設計の期間が長くなります。また、結局はコストの上昇も引き起こしてしまいます。
 一方で、設計が複雑になる大型衛星へのアンチテーゼとして、単機能に絞った小型衛星が生まれました。小型人工衛星は単機能であり、設計が比較的簡単です。また、小型の人工衛星のもうひとつの特徴として、安価な民生品を使うということが挙げられます。人工衛星に使われている部品には高い信頼性が求められます。このため、一般の家電製品に使われている部品よりも数世代前の部品を使い続けることがよくあります。これに対して小型の人工衛星では民生用の安価な部品を使うことによりコストを下げるという手法を取っています。
 というわけで、私はJAXAなど主に官が行っている大型の人工衛星の開発ではなくて、民間の小型衛星の開発プロジェクトにがんばってほしいと思う今日この頃なのです。

2004年6月27日 | カテゴリー : 飛行機 | 投稿者 : assak