FBによるInstagramの買収に見る企業価値の考え方

 FaceBook(FB)がInstagramを10億ドルに及ぶキャッシュや株式で買収するという話は、多くのネットユーザーを驚かせた。Instagramは小さな会社である。そんな同社に対してFBが10億ドルという大金を使って買収しようとするのは、一見すると高い買い物のようにも思える。

 FBの今回の買収に関して、企業価値という観点から考えてみる。

 企業の再生、吸収合併、清算などのときには、その企業価値が重要になってくる。一般に資本が欠損していたり、債務超過にいたっているような企業の価値は、清算価値で計られることが多い。つまり、特定の時点でその企業が持っている資産をすべて売却、除却を行い現金化した場合にどのくらいの金額になるかというのが、清算価値である。

 一方、企業が継続的に利益、キャッシュフローを生み出しているような場合、継続価値という考え方でその企業の価値を算定する。これは、DCFを用いて、市場金利をベースにその企業が将来にわたって生み出す価値を算定するのである。

 しかし、今回のInstagramの買収に関しては、これらの価値算定方法以外で行われたように考える。

 ひとつは、経営を一体化すること、つまり連結の経済性を発揮することによるFB側のキャッシュフローの増加である。画像の共有はFBの成功要員のひとつとして考えられているが、それをブラッシュアップすることで、さらなる利用者の増加を期待しているのではないか。

 もう一方は、他社に買収されることによる、機会損失の回避である。さらには、Instagramが抱えているユーザーの取り込みが視野に入っているのは間違いない。

 FBは価格算定の詳細を明らかにしていないが、いずれにしろ「したたか」だったのはInstagram側では・・・そのように考える。

2012年4月12日 | カテゴリー : ニュース | 投稿者 : assak