DRAMの顛末から見える企業間競争の終焉

 国内DRAMメーカー・エルピーダが破綻し、国内外の企業が支援に名乗りを上げている。その中で東芝が脱落し、残るのは米国、台湾の企業のみと言うのは、寂しい限りである。今回は、このDRAMの顛末から、メーカー企業の将来に関して考えていきたい。

 現時点で世界のDRAM市場の半数近くのシェアを握っているのは、言わずと知れたサムスンである。日本のDRAMメーカーは惨憺たるものだが、台湾も米国もサムスンの後塵を拝している状況である。そこで、今回エルピーダの入札に加わっている各社は、エルピーダを取り込んで、さらに米国と台湾企業が合弁して、サムスンに対抗していこうという戦略である。

 世界市場におけるDRAMの供給が、サムスンの独占状態になることは、どうしても避けたいというのが、他のメーカーの思惑である。しかし、こうなってしまったのは、企業間の競争という資本主義経済の呪縛にとらわれている、企業、そして、国家の戦略ミスであると考えている。

 ところで、DRAMというのは、コモディティ化が進んでいるデバイスであり、価格競争に耐えられる体力を持つ企業が生き残るという構図が成り立っている。韓国では国家戦略として企業を統合させてきた。これは半導体市場のグローバル化を見据えた展開であり、事態はその思惑通りに進んでいる状況だ。

 今後、自動車にしろ家電にしろ、企業対企業の国内競争の時代は終焉を迎え、国家を代表する企業同士のグローバルな競争の時代になっていくと思われる。その時代に備えて、企業は積極的に統合していくべきである。企業は、昨日までの敵と急に手を組んで一緒に頑張ろうといっても、なかなかうまくはいかない。そう考えると、国家が主導で、企業の統合を進めていかないと、国際競争に生き残れない。障害となるのは独占禁止法かも知れないが、グローバル化を見据えて、世界規模の競争に生き残るための支援をする法律になっていく必要があると感じる。

 グローバル化していく市場を見据えて、早めに国内企業を統合させて、資本力、開発力を充実させ、もの作りを中心とした日本の将来像を描ける政治が行われることを祈るばかりだ。

2012年4月14日 | カテゴリー : ニュース | 投稿者 : assak