今週は、世界経済の動向について。ご承知の通り、GW明けからヨーロッパ経済が慌ただしい。ギリシアでは財政緊縮派が敗北し、連立工作も失敗するという事態になっているし、フランスの大統領選では現職のサルコジ氏が敗れ、財政規律の見直し論が高まることが予想されていて、ユーロの先行きが不安定になっている。
国内では、日経平均株価が\9,000の大台を割り込み、時価総額にして37兆円あまりが喪失する事態となっている。
今週のマネーの羅針盤では、このように不安定化を増す世界経済について、以下の3つの視点から解説している。
1.日経平均はどこまで下がる
まず、最近の株価押し上げの要因はなんと言っても中央銀行による金融緩和政策であるということだった。つまり、資金供給による金余りが株式に流れているということであった。主な中央銀行のうち、日銀とECBの資金供給が顕著で、グラフを見るとこれら2つの中央銀行は対GDPで40%近くの金融緩和を行っていた。FRBが20%程度なのに比べると、倍近い資金供給を行っていることになる。一方で、この資金供給による株価の上昇は実体経済を伴っていないので、ここに来てだれてきているというのが、番組のエコノミストの見方であった。今後は政局を見ながらの不透明な展開が続くが、金融緩和が続いているので、底割れのリスクはないのではないかと言うことであった。
2.日本企業の今後
日本を代表するソニーのような企業が多額の赤字を計上していて、日本の企業は大丈夫かという話だ。確かにソニーの赤字は大きいが、日本企業全体で見ると売上高は回復傾向にあると言うことだった。上場企業全体では24%の増益となっているということだ。同エコノミストの見方だと、新興国の追い風を受けている企業とそうでない企業との二極化が進んでおり、ばらついていると言うことだった。
3.世界経済も五月病
ヨーロッパの混迷はソブリンバブルの影響であり、日本と同じであればヨーロッパも10年程度は低迷の時代が続くと言うことであった。
で、最後のまとめの言葉として出てきたのが「神様はサイコロを振らない」であった。これはアインシュタインの言葉だが、番組では、物事には必ず原因があって、それが結果を導いているのだという意味で使われていた。でも、実際はアインシュタインが量子論を受け入れがたかったので、用いた言葉であり、意味は全く違うんだよね。ボーアやシュレーディンガーといった20世紀初頭の量子論の台頭は、マクロな物理運動を扱っていたアインシュタインの一般、特殊相対性理論とは全く違う考え方であって、彼にはどうしても受け入れがたかったらしい。彼は何とか事前の条件だけで必ず同じ結果が導き出せることを証明したかったので、確率論的な量子論を受け入れられなかった。そのため、彼は前述の「神様はサイコロを振らない」という言葉を使って量子論を批判した。経済とは全く関係ないが、この言葉が引用されたのはおもしろかった。