アジアの風 小さな挑戦者たち 新日化マテリアル

 今週の挑戦者はなんと、地元福岡、飯塚のベンチャー企業である新日化マテリアルである。ベンチャーのインキュベーター施設(e-ZUKA トライバレーセンターだったな~)に入っている、社長の橘氏と従業員2名の会社である。この会社の主力(というか今のところ唯一)の製品は再剥離性ウレタン系粘着材(ガムタック)である。製品の特徴は、いろいろなものの表面に簡単に張り付きそして剥がしやすい性質を持った素材と言うことである。粘着力はクラフトテープ並みであり、何度も再利用でき、耐震材を上回る柔軟性を持っているという、非常に実用性に富んだ素材である。
 このガムタックがどういうところに使われるかというと、主にステッカー、シールなどを今はターゲットにしているようであった。また、製造工場などの仮止めにも用途が広がっているそうである。
 これを今回は東南アジアのマレーシアに売り込んでいきたいというのが、今回のテーマである。で、市場性に関して、具体的な使用方法が見えにくいため、低い点数となった。他のアナリストの評価は、市場性や将来性が高かった。これは、マレーシアが工業国と言うことと、周辺諸国へのゲートウェイという意味で市場が拡大していくのではないかと言うことであった。ただし、橘社長が模倣を避けるため特許を取らないという戦略には疑問を呈していた。ビジネス・パートナーを見つけていくことが課題ということだった。
 ちょっと気になったのは、(本質とは違うが)画面が汚い(某大河ドラマじゃないけれど・・・)。汚れた壁の前で社長のインタビューをするとか言うのは避けてほしいな。これは作る側の問題だね。ちょっと場所を変えれば、それなりに映える場所もあるだろうに・・・。そこが残念だ。
 一方、今回はセレンディピティという意味でも興味深かった。というのは、新日化マテリアルの橘社長は、父親が地元の塗装会社を経営しており、その会社が不況のあおりを受けて倒産した。彼は会社の建て直しのため、大学の理学部の知識を活かして、超強力接着剤の開発をしようとしていた。その過程で全く接着能力のない試作品ができたが、これが第三者のアドバイスで、ステッカー用途として道が花開いたというのだ。まさに、セレンディピティかなと思う。