アジアの風 小さな挑戦たち(2012/05/19放送分)

京都の洋菓子店である「一善や」がケーキでアジア進出を図るという話だった。
そもそものアジア進出のきっかけは、近所の大学の留学生(中国、韓国、台湾など)が自店のアルバイトとして働いており、彼等が自分の国にこんなにおいしいものは無いと言ったことだそうだ。というのも、「生クリームの味が違う」のが一膳やの最大の特徴で、国産にこだわっているのだそうだ。
ところで、中国ではスイーツが急成長しているらしい。特に香港は、中国スイーツの発信地であり、日本のケーキ屋が進出している。日本のスイーツは「高くてもおいしい」ということらしく、中流層以上が購入している。
で、アナリストが登場して、一膳やのアジア進出を評価。市場性に関しては、前述のブームも加味して満点を付けていた。価格は割高(上海のコンビニ弁当の数倍の値段)であり、そのため点数は低かったが、社長としては高くても買っていただける顧客層にアピールすると言うことで、上澄みを狙った戦略と言うことらしい。
しかしながら、最大・・・というか致命的な問題があって、それは震災以降、中国では日本の乳製品の輸入規制が厳しいということだ。実はそれ以前からであって、数年前に日本で口蹄疫の問題が発生して以降、中国は日本からの乳製品の輸入は一切禁止しているということだ。
番組ナビゲーターからオーストラリアからの輸入を提案されるが、オーストラリア産の牛乳では、生クリームの味が出せないと、社長は否定的な見解だった。
すわ、今回はNGで終わりかと思いきや、中国本土が厳しいので、まずは台湾への進出に切り替えたようだ。そして最終的には大陸への上陸を考えているらしい。
社長は、知り合いを通じて、台湾の大手食品会社の社長に直談判していた。その会社は、日本から輸入した原材料で生クリームを生産している。
ということで、所感であるが、私も経験したが、中国へのモノの輸出はとにかく難しい。中国にある日本の工場へ設備機械の保守部品を送る場合でも、故障してから送っていたのでは、間に合わないと言うことがよくあった。とにかく、陸揚げに時間がかかりすぎるのである。そこで、あらかじめ製品を輸出するときに保守が必要な部品もセットにしておくというやりかたをしていた。これだと壊れたときにまずは現地の保守部品を使い、そのときに日本に部品の発注をするというやり方で、機械のMTTRを短くすることができる。工業製品でさえそうであるので、食料品やその食品原材料など安全性が重視されかつ鮮度管理が必要なものを中国本土に持ち込むのは非常に大変で、ノウハウが要求されるところなんだろうなと感じた。