ガイアの夜明け(2012/05/29放送分)

サブタイトルは【10周年企画③ 中国 農村少女とトヨタの10年】で、拡大2時間スペシャル版だった。前半は、農村の少女が都会に出稼ぎに来て働く姿を10年に渡って追ったもの。後半は、中国市場で出遅れたトヨタの巻き返しをレポートという形だった。
で、前半は、出稼ぎ少女の月給が、最初日本円に換算して\9,000-だったのが最終的には5倍の\45,000-になったという話なのだが。この10年で農村の所得は3倍くらいになったのだが、都市の所得はさらにそれ以上となって、所得の差がさらに広がっているというのは凄まじいな。これだと、「中国=安い労働力」という話ではなくなるのが、本当に時間の問題という気がしてきた。
それで、少女の一家は世帯の半分が出稼ぎに出ており、最初は地元の一等地の土地を買って(使用権?)、そこに家を建てたいという夢を描いていたのだが、その土地も値上がりしてしまって、家を建てる計画はぽしゃったということだった。まるで、どこかの国のバブル経済だね。いつか弾けはしないかと心配になる。
後半のトヨタの話は、中国の顧客の特徴が現れていておもしろかった。中国では、自動車を購入したら、そのまま乗って帰るというパターンが多いそうだ。(日本ではまず考えられないが)そのため、販売店は在庫を持っておかなければならないと言うことなのだが、その保管状況が野ざらし・・・(他のメーカーの販売店も同じ状況だそうだ)。中には販売店に納めてから半年以上経過した自動車もあり、当然汚れるし、バッテリーが上がったり、部品の交換が必要だったりで、保管コストがかかっている。また、車種によっては、ある店で過剰に在庫を抱えている一方、他の店では在庫が無くて納車待ちの状況もある。ということで、中国トヨタでは、コンピュータシステムで、販売店ごとの在庫の状況と、鮮度(販売店に納車されてからの経過時間)が一覧で分かるシステムを導入し、在庫の偏りが無いようにしていた。もうひとつは、現地採用の生え抜きにトヨタイズムを教え込んで、それが10年経って、そろそろ結実しそうだと言うことだった。また、部品の現地調達率を上げてコストを下げるために、優秀な下請を見つけ育てていくことも課題だとあった。
前半は「工場としての中国」、後半は「消費地としての中国」の話といえるかも知れない。工場としての中国は賃金の高騰などで将来的にはコストメリットが全くなくなる状況が来るかも知れないと感じた。一方で、消費地としての中国はこれからも市場拡大が期待できそうだ。でも、この二つの内容は実は表裏一体であり、賃金の上昇が消費の拡大を牽引していることを考えると、両者を分けて考えるのはナンセンスな気もする。消費地として期待するなら、継続的な投資も必要になると言うではないかな?