今回のタイトルは「オークションに勝つ!」(前編)だった。
オークションに関しては、皆、意外と「自分にはあまり関係ない」とか「やっていない」とか思っているかも知れないけれど、我々の身近にもたくさん存在している。「競り」とか「入札」とかいうと、ビジネスの場面で遭遇する人も多いだろう。民民の取引でも相見積もりは日常茶飯事だし、官との取引だと入札が基本だ。
私の場合はヤフオクをかじっているので、オークションについてはちょっと調べてみたこともある。さらには、ゲーム理論とかはずいぶん昔から好きだったので、今回は期待大で見てしまった。
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最初は、又吉さんがよく訪れるという神田・神保町の古本街にて古書店の仕入れの仕組みについて解説していた。それは古書交換会にて「置き入札」という、「封筒に自分の購入希望価格を入れる非公開のオークション形式」で行われているそうである。このことは初めて知った。独特の方式だな。業界の力関係も反映されていておもしろい。
次にオークションの歴史について解説。人類史上最古のオークションは古代バビロニア(B.C.500)の「人身売買」だという。これは想像ついたが、その後古代ローマ帝国(A.D.193)で「国そのものがオークションにかけられた」というのには驚いた。しかし、購入者は民衆の支持を得られず2ヶ月後に暗殺されたというのはおもしろいが・・・。
そして今日の本題であるオークションの仕組みについて。解説では大きく2つに分かれるとあった。一つは公開型、もう一つは封印型(非公開型)である。公開型に属すものが「イングリッシュ・オークション(イギリス式、競り上げ)」「ダッチ・オークション(オランダ式、競り下げ)」であり、封印型に属するものが「ファーストプライス方式」「セカンドプライス方式」とある。しかし、これはずいぶんと省略した乱暴な解説だな。ま、わかりやすさ重視のためかな?。どちらかというと公開型を「繰り返し型」、封印型を「一発勝負型」と言った方がさらにわかりやすいかも知れない。繰り返し型は、入札者が一人になるまで価格が再設定されていくというもの。一発勝負型は、入札者の最大評価額と競争者の想定評価額を考えて価格を提示するものである。
イギリス式は、最もポピュラーな形式であり、オークション・ハウスなどで見られるものはこの形式が大半である。オランダ式は、もともとオランダで花の卸売取引のために考案されたもので、高い金額から徐々に値を下げていくものである。不動産屋における売買もこの形式といえるかも知れない。その他に、「リバース・オークション」「ダブル・オークション」などもあるが解説はなし。
今回は、最初にゲーム理論の話があったように「封印型」つまり一発勝負でオークションが成立するときに、戦略的にどのような価格を提示するかについての、解説である。そして、セカンドプライスオークションについて(ヤフオクをしている人は知っていると思うが、ヤフオクではセカンドプライス方式でオークションが行われている。ただし、繰り返し型ではあるが)の解説を中心に話が進む。
まず、ファーストプライスオークションの解説。これは、自己の入札価格が落札価格になるというもので、古来からある一般のオークション形式である。対象の商品に対する自己の評価額と実際に落札した価格との差を利得と考えると、利得を大きくしようとすると落札できないリスクが高くなる。落札可能性を上げると利得が小さくなる。利得と落札可能性はトレードオフの関係になる。
そこで、セカンドプライスオークションの解説。これは、落札者は最高価格提示者なのだが、落札価格は二番目に高い価格となるというもの。この方式は前述のようにヤフオクなどで採用されている。この方式はノーベル経済学賞を受賞したヴィックリー(Vickrey)氏が考案したものである。(なぜこんなに詳しいかというと、ヴィックリー氏はノーベル賞受賞が決定した3日後に心臓発作で亡くなられて、当時それを私の友人が「きっとビックリして死んだんだ」という不謹慎なことを言っていたので氏の業績を調べたことがあるからだ。)
ということで、両形式を2人で実験。価格戦略というか、相手の心理の読み合いなんだが、(この番組、本当に事前の打ち合わせしていない・・・やらせなしでやっているのかな)セカンドプライスオークションで又吉さんが提示した金額はあり得ない!!。理解できていないじゃん。この実験は、セカンドプライスだと相手の出方を読む必要が無く、自分が評価した金額で入札すれば良いという結果が示唆されないといけないのに。又吉さん、経済学で典型的な「利己的な人」的な行動をしないとおもしろくないんだけれどね。
それはさておき、実際の売り手の利得(販売価格の期待値)はどのオークションも同一ということが証明されていると聞いたが、その話は無かった。
そして最後、「勝者の呪い」に関しては次週に持ち越し・・・。来週も忘れずに見なければ・・・。