アジアの風(2012/06/02放送分)

電気を使わない自動ドア「オート・ドア・ゼロ」を開発した株式会社有紀が、アジアへの展開を目指して番組に登場した。
仕組みとしては、踏み板の沈み込みをドアを開くエネルギーに変換するというもの。てこの原理を利用したものだ。沈み込み量が大きければ、違和感を感じたり、バリア・フリーの障害になったりするので、沈み込み量が2cmになるように工夫されたものである。
施工も含めて100万円という割高な価格ではあるが、東日本大震災を経て、停電でも開閉できる、エコである、ということが追い風となって売り上げを伸ばしたと言うことである。従前は3年で4台だったのが、震災後1年で30台以上を販売したというから、注目度は非常に高いということである。国内の販売目標は自動ドア販売市場全体のシェアの1%程度(1,000台/1年)を目指しているということだった。
一方、自動ドアは施工とメンテナンスが必要であり、社員が7人しかいない状況ではなかなか売り上げを伸ばせないという状況になっている。
で、中国で売ろうとして、アナリストに相談したが、市場性、将来性、価格とも低く、高いのは独自性だけだった。というのは、中国では「エコ」はまだトレンドになっておらず、「豪華さ」「華やかさ」といったものが商品の競争力になっているということだった。ここ数年ではまだ、中国でエコの時代が来るかどうかは読めないということだった。狙い目としては国際空港など話題性のあるところがよいのではないかということだった。また、直接デベロッパーに売り込むのではなく、設計事務所や建築事務所に売り込む方が良いのではないかと言うことだった。
さて、有紀はもう一国、マレーシアへも売り込みを目指していた。東南アジアでは高いGDP成長率を維持しており、また、環境への意識も高いということがその理由だった。評価は中国の場合よりもすべて高かった。価格がもう少し下げられれば、マレーシア、シンガポールあたりはいけそうだということだった。マレーシアは多民族国家であり、周辺国との人の交流もあるので、マレーシアで普及すれば周辺への普及もあるのではないかと言うことだった。
私の所感であるが、技術的なところでは、番組で開閉動作しているところを見る限り、普通の電動式自動ドアと比べると動きがぎこちない。もう少し加減速の部分を工夫した方が良いのではないかと思う。しかし、てこの原理ではそれは難しいのかな。また、強風時なども正常に動作するのか、小さな力で開閉させるため、スライド部分の摩擦が低くなっていると想像するが、応力がかかっている状態でも動くのかは少し疑問が残る。さらには、耐久性に関してはどうか分からないが、踏み台部分に水が入ってさびが発生したり、ほこりが入って引っかかったり、しないだろうか。そのあたりが心配だったな。ま、室内で使う自動ドアであれば問題ないのだが。