オイコノミア(2012/06/05放送分)

今回は「オークションに勝つ!」(後編)ということで、より深いオークションの話。
最初は花きの卸売市場を紹介。これ初めて見たけれど、すごくおもしろい。スピードメーターみたいなのが競りの価格で、そのバーが下がっていく間に値段を決めるというものだが、本当にあっという間に価格が決まっていく。実際は、卸売業者はPCの画面を見ながら値段を決めるようだ。そして、落札業者が決まったらそのままベルトコンベアで流れていくようで、多分業者ごとにコンベアの行き先が決まっているのだろう。多分ここまで全てシステム化されていると見受けられる。多くの商品を短時間でさばいていくために導入されたのだと思うが、とても効率的に行われていると感じた。
次に、オークションのメリットについておさらい。売る側にとってのオークションのメリットは、売ろうとする商品の市場価値を調べるコストをかけなくて良いことだ。そして、又吉さんが実際にオークションで私物を売る実験。出品から発送まで代行してくれる業者の存在は知っていたが、初めて見た。意外とちゃんとしたところだな。発送する手間は結構あるので、便利かな。地元にはないのだろうか?今度調べてみよっと。
そして今週の目玉である「勝者の呪い」の話。これは、対象の商品の経済的価値が、落札価格を下回ることを指す。勝者の呪いはあくまで対象の商品の経済価値に注目した場合である。番組の例では1950年代の米国内における油田採掘権のオークションが紹介されていた。油田の埋蔵量は推定でしかない。そのとき、いちばん楽観的な推定をした者がオークションで落札することになる。すると、平均的には、石油採掘による便益が投資額(落札価格+設備投資など)を下回ることが多くなったことで、そう呼ばれるようになった。
しか~~し、番組の説明と、勝者の呪いを実践するためのゲームは分かりにくかった。番組では、「共通価値は入札価格の平均でそれより高く落札した分だけが呪われる」という説明だった。油田の話でいうと「オークションで入札した価格の平均値が共通価値」ということだが、実際はそうではなくて、「油田の共通価値は、事前には分からない」、つまり掘ってみなければ分からない(例え事前に入念な調査をしたとしても)ということである。つまり「共通価値は商品の一般的な経済価値そのもの」だけれども、そこら辺の説明が曖昧だった。私が番組中における解説の意図を取り違えたのか?今回の目玉だけに、もっと丁寧に解説してほしいなと思った。ちなみに共通価値と対比して言われるのが私的価値である。その商品に対する特別な思い入れだとか、嗜好がある場合、その個人にとってその商品は私的価値があるという。私的価値をベースに落札した場合は、勝者の呪いは発生しない。
結びとしては、オークションは公平で自由な市場取引を実現するための手段の一つで、そのための制度設計を経済学者などが進めていると言うことだった。米国で実施されている、電波の周波数帯域の割り当てをオークションで決めるシステムもその一つだと言うことだ。電波の周波数帯などはまさに限りのある資源で、そういう有限な資源が公平に分配されるということは、経済学の本来の目的に合致しているなと感じた。