ガイアの夜明け(2012/06/26放送分)

あなたの知らない アウトレットの真実」というタイトルで、昨今のアウトレットの実情を追うというもの。
まずは、アウトレット・モールは全国に広がりを見せており、過当競争の時代に入ったということで、売り上げは頭打ちで客単価も下がっているのではないかという分析。象徴的な出来事として、日本初のアウトレットモールとして埼玉県ふじみ野市にオープンした「リズム」が廃業したことが紹介されていた。昔ふじみ野市に住んでいた身としては複雑な気分。現在全国にアウトレットモールを展開しているのは、2強と呼ばれる「三井アウトレットモール」と「プレミアムアウトレット(チェルシー・ジャパン)」ということだった。
その中で、各アウトレット・モールは独自の工夫をしていた。例えば番組で紹介されていた木更津のアウトレットは地域の有名な飲食店をフードコートに誘致していたり、他のところでも、子供や父親など(買い物につきあっている人たち)をターゲットにした遊具施設などを設けたりしていた。これは、アウトレット店舗の出店数や品揃えなど本質的な部分での差別化ができなくなってきたので、付加的なサービスで勝負しようと言うことなのだろうな。
次に紹介されていたのはアウトレット商品の話。アパレル・メーカーなどは「本来の」検品NG品や在庫品だけでは、全てのアウトレットの店舗に供給できなくなっている。かといって、店舗の品揃えが不足すると機会損失を招いてしまう。店舗間では商品の争奪戦が巻き起こることになり、一方でメーカー側は供給を増やす必要が生じている。ということで、メーカーは2つの戦略をとっていた。
1つめは「アウトレット専用商品」の開発。これって、本来のアウトレットではないじゃん!そういう批判はともかく、正規の店舗に卸す商品とはデザインを少し変えて(主に簡素化して)アウトレット向けの商品としてアウトレットの店舗に卸していると言うことだった。アウトレットの魅力って、正規品を安く買うことだと思っていたが、このやりかたはどうなのだろう。でも、番組内のアンケートによると、アウトレットの本来の意味を知っている人はあまりいなかった。つまり、SCと同じ感覚でアウトレット・モールに来ているんだね。だとしたら、専用商品を開発することもありかなと思った。
2つめはさらにびっくりで「どこのメーカーが作ったともしれない商品に自社のタグをつけてアウトレットで売る」ということ。韓国の繊維街を取材していたが、そこで日本のバイヤーがタグやロゴの入っていない衣料品を買い付けて、とある場所で自社のタグをつけてもらって日本に輸出していた。これは消費者を裏切っていないか?もちろん、自社のタグをつけることは違法にはならない(偽ブランドじゃないしね)。さらにバイヤーは品質も見極めて商品を買いつけているということで、粗悪品を売りつけているわけでもない。でも、消費者は少なくとも「そのメーカーの正規のデザイナー」がデザインした衣料品だと思っているはずだし、その思いと違う商品を「そうと知らせずに」売ることは、企業倫理としてどうだろう?
アパレルの実態としては、国内でデザインしたものを海外で生地の調達、縫製しているのが常だから、確かに「どこまでが自社製品」?ということは感じる。しかし、出来合いの商品を購入して自社のタグをつけることは、少なくともブランドと一体になったデザイン的なセンスというか統一感まで失ってしまうのではないかな?そうなると、中長期的にはブランドイメージの低下を招くのではないか?
で、思い出したけれど、牛とかウナギとか、そういう食品関連でも「○○産」と(ブランド力のある地名が)書いてあるが、これも別の地域で生まれてある程度育ってから、その(ブランド力のある)地域に持って行き、出荷できる段階まで育てて出荷しているところもあるから、似たようなものかな。
話を番組に戻して、最後はネット上のアウトレット・モールの話。前述の通り、アウトレット商品の争奪戦が激しさを増している中、紹介されていたネット上のアウトレット・モール運営会社は、自社倉庫を設けていた。ネットの強みとして、正規品とアウトレット品を同時に提供できること。つまり、すごく気に入ったデザインの服があれば正規品を購入し、そうでないものに関してはアウトレット品を購入するとかね。そういえば、Amazonの書籍通販も、新品と中古品を選択して購入できるから似たようなものかな?

アウトレット・モールも目新しさが受けて来店する客が増えるという事態は終わりを告げつつあると思う。今後は本質的な部分と副次的な部分でいかに他店と差別化できるかが勝敗を分ける鍵になる気がするな~。
でもやはり、本来のアウトレット品でないものをアウトレットの店舗で売ることに関しては違和感が残るな~。