未来世紀ジパング(2012/06/04放送分)

今回はフィリピンがテーマ。
最初は関西空港とフィリピン・マニラを結ぶ「セブ・パシフィック航空」。俗に言うLCCだが、客室内のサービスがユニークだ。でも、今回はこの航空会社がメインではなく、マニラ空港に降り立ってみると、大勢のフィリピン人が海外に出稼ぎに行っている光景が目に入るというところが、番組のつかみであったわけである。言わずと知れたフィリピンは出稼ぎ大国(という言い方が正しいかどうかは分からないが、番組ではそう言っていた)。
というわけで、フィリピンの出稼ぎ労働者が世界(と日本で)どのように活躍しているかを中心に番組が進む。
まずは日本の外国人労働者比率の紹介で、0.9%だそうだ。ざっと100人に一人。私の前職でも外国(フィリピン人)労働者がいたが、ちょうどのそのくらいの割合かな。それが米国では16.2%、独国9.4%、英国7.3%だから、日本がいかに外国人労働者を受け入れていないかが分かる。
次に日本国内で働いているフィリピン人労働者の例として、ハウスキーパー(家政婦+ベビーシッター)を紹介。確かに、番組で紹介されていたベビーシッターは優秀だった。でも、料金は高いな。これだと母親がパートで働く分くらいは全てハウスキーパー代として消えていくんじゃない?母親もかなり高収入でなければハウスキーパーを雇うメリットがないのではと思ったよ。ところで、このハウスキーパーの人材派遣会社は元々日本国内の外国人家庭向けに事業をしていたそうだ。というのも、フィリピンの公用語の一つが英語であり、英語がしゃべれることが国内の外国人家庭に対してはうってつけだということだった。しかし、フィリピン人がとても一所懸命であるということで、日本人家庭向けの派遣も増えているということだった。
しかし、日本では以前、俗に言う「じゃぱゆきさん」の問題があったため、フィリピン人が日本の就労ビザを取得するのが非常に厳しい状況がある。前述のハウスキーパーは日本人男性と結婚しているので就労が可能だそうだ。
で、フィリピンの出稼ぎ状況であるが、国民の10人に一人は海外に出稼ぎに出ており、海外からの送金額が214億ドル(1兆6,000億円、GDPの約10%)というからすさまじい。まさに出稼ぎが国を支えている状況か?。
また、海外雇用庁という他国ではまり見られない監督官庁もあるし、海外就労のための教育訓練施設もあるというから本格的だ。職業訓練校はフィリピン国内で4,000校あるという。
フィリピン人が出稼ぎ・・・というか他国で活躍できる理由として、番組では3点挙げていた。
1.英語が堪能:英語人口が世界第3位
2.まじめ:国民の83%が敬虔なカトリック
3.フレンドリー:フィリピーノホスピタリティという、フランクな国民性
ということらしい。でも、3番目は人によりけりだと思うな。大阪人が全部お笑い好きだというわけでもないのと一緒だろう。
フィリピンが出稼ぎ大国になった経緯の中で、マルコス大統領の名を久しぶりに聞いた。彼の独裁はフィリピンに革命を起こしたが、出稼ぎ政策を主導したということは評価できるのではないかな(他にも評価できるところはあるが・・・)。
日本で活躍しているフィリピン人労働者としては、家政婦、看護師、コールセンター、船員、ということだが、中でもコールセンターはインドを抜き、フィリピンがトップになったそうだ。また、コールセンターだけは、フィリピン国内で働きながら日本からの外貨を稼ぐという、バーチャルな出稼ぎということで、異色だ。
で、最後は、介護士の話。これ、厳しいんだよね。せっかくEPAでフィリピン、インドネシアから優秀な人材が来日しているのに、所定の期間内に資格を取れないと帰国しなければいけないという高いハードルがある。もう少し条件を緩和しても良いんじゃないの?介護の現場では100万人くらい人が足りないそうだが、どうする気なのだろう。
結論としては、「人材開国で家庭所得倍増」ということで、もっと外国人労働者の門戸を開放せよということだった。
ま、実際私もそう思うんだよね。労働人口の減少がデフレの原因の一つになっているのは間違いない。それを外国人が補ったとしても、国内の労働力が増えることは、所得の増加、ひいては消費の増加を招き、経済にとって良いスパイラルが回ることにもなるだろう。だから、もっと積極的に外国人労働者を受け入れるべきだと思っている。ただ、日本人は異質の文化と交わるのを嫌う傾向があるので、それがなかなかうまく行かないんだろうな。そうこうしているうちに、日本の衰退がさらに進むのではと危惧しているのだが。
フィリピンが出稼ぎ大国ならば、日本は出稼ぎ受け入れ大国になるくらい勢いで、国策として外国人労働者の受け入れを推し進めていかないといけない気がする・・・。

アジアの風(2012/06/02放送分)

電気を使わない自動ドア「オート・ドア・ゼロ」を開発した株式会社有紀が、アジアへの展開を目指して番組に登場した。
仕組みとしては、踏み板の沈み込みをドアを開くエネルギーに変換するというもの。てこの原理を利用したものだ。沈み込み量が大きければ、違和感を感じたり、バリア・フリーの障害になったりするので、沈み込み量が2cmになるように工夫されたものである。
施工も含めて100万円という割高な価格ではあるが、東日本大震災を経て、停電でも開閉できる、エコである、ということが追い風となって売り上げを伸ばしたと言うことである。従前は3年で4台だったのが、震災後1年で30台以上を販売したというから、注目度は非常に高いということである。国内の販売目標は自動ドア販売市場全体のシェアの1%程度(1,000台/1年)を目指しているということだった。
一方、自動ドアは施工とメンテナンスが必要であり、社員が7人しかいない状況ではなかなか売り上げを伸ばせないという状況になっている。
で、中国で売ろうとして、アナリストに相談したが、市場性、将来性、価格とも低く、高いのは独自性だけだった。というのは、中国では「エコ」はまだトレンドになっておらず、「豪華さ」「華やかさ」といったものが商品の競争力になっているということだった。ここ数年ではまだ、中国でエコの時代が来るかどうかは読めないということだった。狙い目としては国際空港など話題性のあるところがよいのではないかということだった。また、直接デベロッパーに売り込むのではなく、設計事務所や建築事務所に売り込む方が良いのではないかと言うことだった。
さて、有紀はもう一国、マレーシアへも売り込みを目指していた。東南アジアでは高いGDP成長率を維持しており、また、環境への意識も高いということがその理由だった。評価は中国の場合よりもすべて高かった。価格がもう少し下げられれば、マレーシア、シンガポールあたりはいけそうだということだった。マレーシアは多民族国家であり、周辺国との人の交流もあるので、マレーシアで普及すれば周辺への普及もあるのではないかと言うことだった。
私の所感であるが、技術的なところでは、番組で開閉動作しているところを見る限り、普通の電動式自動ドアと比べると動きがぎこちない。もう少し加減速の部分を工夫した方が良いのではないかと思う。しかし、てこの原理ではそれは難しいのかな。また、強風時なども正常に動作するのか、小さな力で開閉させるため、スライド部分の摩擦が低くなっていると想像するが、応力がかかっている状態でも動くのかは少し疑問が残る。さらには、耐久性に関してはどうか分からないが、踏み台部分に水が入ってさびが発生したり、ほこりが入って引っかかったり、しないだろうか。そのあたりが心配だったな。ま、室内で使う自動ドアであれば問題ないのだが。

マネーの羅針盤(2012/06/02放送分)

今回は、財政危機が叫ばれているギリシアに焦点を絞っての解説だった。ギリシアがユーロ圏に残るのかそれとも脱退するのかが、当面注目の的となっている。
ギリシアの実情に詳しい豊島逸夫氏が実際にギリシアに行ってそこで肌で感じた実際の状況を話していく形で番組が進行していった。
例えば、今年3月のデフォルト回避について世界のメディアは「デフォルト回避歓迎」という論調であったが、現地のメディアは「粘り勝ち」という表現だったそうだ。つまり、もう身の丈を超えた借金は払えない、つまり借りたもの勝ちという状況だそうだ。
また、ギリシア人の国民性と言えば「プライドが高い」ということだそうだ。例えば、失業してお金がなくなってもゴミ箱をあさるくらいだったら尊厳死を選ぶ状況で、実際に自殺者も出ているらしい。
政治の状況としては、緊縮政策を押し進めてきた与党が5月の選挙で惨敗し、6月17日に再選挙があるのだが、ここで緊縮反対派が大勝するとユーロ脱退へと突き進む可能性があるということだ。さきほどの豊島氏の見方では、世論調査では8割はユーロ圏にとどまると回答するが、それは勝ち組の意見であって、負け組はそういった調査に答える余裕はない。そこまで財政状況が逼迫すると、みな目先の痛みを回避する行動に出る、ということでユーロから脱退した方がよいということになる。一方他のユーロ諸国にしてみれば、例えばドイツ国民はギリシア許すまじということらしいが、現在ではぎりぎりのところで課題を先延ばしにして救済する状況が続いている。ただし、このままだと最終的にはギリシアを切り捨てるのは避けられないということで、その条件は「スペイン」「イタリア」を救済するめどが立ったときだということである。逆にギリシアが暴走して、勝手にユーロ圏を離脱するというのが、最悪のシナリオとなる。そのときはマーケットはタイミングを図れずに大混乱に陥るという予想であった。

経済市況については、まず国内において「日経平均株価」の大幅下落。アメリカでは雇用統計の数値の悪化が著しい。そしてNYダウも下落が続いている。BRICSのブラジル、インドでもGDP成長率が市場の予想を下回るなど、悪材料に事欠かない状況である。
ところで、円と中国元との間で「ドルを介さない」直接取引が6/1から始まっている。中国元が世界通貨へ又一歩近づきつつあるということかな。

カンブリア宮殿(2012/05/31放送分)

今回のサブタイトルは【安さと高機能を両立させろ】で、紳士服のアオキ(AOKIホールディングス)の社長、青木擴憲(あおきひろのり)氏がゲストである。
まずは、紳士服量販店の状況とアオキの沿革について
紳士服業界は、バブル崩壊で市場が縮小している。現在は、青山とアオキの2大系列のみが生き残っている状況である。そのなかで創業者がいまだ現役なのがアオキということだった。
青木社長の話を聞いていると、やはり企業の発展には強い思いというのが重要だと感じるな。彼の思いは「当時着たきり雀といわれていた若手のビジネスマンに毎日着替えられるように、低価格で紳士服を提供したい」ということだった。また、「オーダーメイドの品質は落とさないで作る」と言うことだった。
次は、紳士服量販店の謎について
閉店セールが「店舗改装のため」とあっても実は季節の変わり目(の在庫一掃)という理由だというのは何となく気づいていた。いつもやっているものね。
紳士服量販店の価格のからくり、つまりよくある「2着め1,000円」とかでなぜもうけが出るのかについて、の解説では、あの「吉本佳生」先生が登場していた。このひげの先生、最近又テレビの露出が増えているような気がするな。ま、それはさておき、紳士服の原価って凄まじく安いんだというところには驚かされるが。
さらに、アオキの取り組みについて
機能的なスーツづくりのため、糸の開発から始まり、大学(信州大学繊維学部)と連携している。大学で着心地という定性的な指標をアカデミックなアプローチで定量化していくとか、熱をブロックする加工法の開発とか、商品開発に余念がないという印象だ。
中国の下請縫製工場に対して品質管理のため重役が巡回するなど、品質管理に対する取り組みもすごいな。特に、ボタンに関しては一つ一つ手作業で縫い付けているのは驚いた(機械じゃないんだ!他のスーツメーカーはどうだろう)。青木社長は「朝出かけるときに取れたらすごくショックだから絶対に取れないようにした」ということらしいが。そういえば、私の着ているスーツにもアオキのものがあったが、ボタンは取れたかな?私は特に販売店にこだわらないので、各社のスーツが混在しており、どれがどれだかわからない。
さらに、家庭で丸洗いできるような技術とかも10年かけて編み出したとか。
最後は販売戦略について
アオキは、これまでは典型的なロードサイド(郊外型)店舗展開なのだが、最近では「平日昼間に客が少ない」とか「車離れが進んでいる」とかで、都心回帰をしているそうだ。自社オフィスの近くに店舗あれば、客が末永く買ってくれて常連になるというメリットもあるらしい。
そして「ORIHICA」という新しいブランドも立ち上げていた。確かに「AOKI」のブランドは過去の経緯もあり陳腐な安売りスーツというイメージがある・・・と私は感じている。そういったイメージを嫌悪する中堅ビジネスパーソン向けに新たにおしゃれなブランドとして青木の名を冠しない店舗を展開しているそうだ。
確かに都心回帰の波は今後大きくなるかも知れない。そして地方都市にも波及していくのかも知れない。そういうところにいち早く着目しているあたりはすごいな。