カンブリア宮殿(2012/07/19放送分)

日本流の顧客主義を見よ!~進化するアスクルの全貌~
前職は中小企業に勤めていたので、アスクルはよく利用していたが、今やこんなに大きくなっていたのか!というのが最初の驚き。
アスクルと言えば、分厚いカタログだが、そのカタログ製作では岩田彰一郞社長自ら校正チェックをしていた。例えば、色合いだとか、効用だとかに関して改善を促していたが、顧客の目線という感じがしたな。
それから、物流センターが紹介されていたが、商品の重さが全て登録されていて、注文した商品の合計の重さの予測値と実測値を比較する検品システムってどうなのかな?重さだけでは「たまたま」合致する可能性もあるだろうに~~。
てなわけで、アスクルの話をまとめると、
・カタログ配布型の通信販売
・自社(アスクルは文房具メーカー「プラス」の社内事業から始まった)以外の商品も売る
・品揃えは、中小企業のオフィス向け(例えば「インスタントコーヒー」「お茶」などもラインナップされている)
・定価よりも値引きして売る
・首都圏などでは11時までに注文があれば当日配達を行う
・クレームや意見を収集するコールセンターを持っている
・自社で営業員を持たず、エージェントという仕組みで町の文具店に営業してもらっている
これだけ並べると「顧客志向だな」というのが分かるな~~。つまり、中小企業の事務員が自ら近くのスーパーや文具店に出向いて買わなくて良いように、社内からFAXや電話、インターネットで注文し、配達してもらえる仕組みというわけである。
顧客志向という意味で、前述のカタログ、エージェント、コールセンターが顧客との接点と言うことで、岩田彰一郞社長はそこに重点を置いているようだった。そして、顧客の真のニーズに合わせるために、独自商品の開発も積極的に行っていた。
さらにエージェント制度について、番組では、じり貧だった文具店がアスクルのエージェントとなることで、復活したという話が紹介されていた。そこでは、従前が年商1億で4年連続赤字、復活後の現在年商が37億というのは凄まじい。まさにV字回復だな。
アスクルの岩田彰一郞氏は、エージェント、そしてその先の最終顧客とのつながりをネットワークという言葉で表していた。それも覇権的なネットワークではなくて、ウィン、ウィン、ウィンの関係だと言っていた。
で、文具の大手コクヨなどが後発で同様のサービスを始めているが、売上としては後塵を拝しているのは愉快だな。アスクルはコクヨの商品も扱っているのにね。
アスクルは中小企業向けサービスのブランドであるが、大企業向けのサービスとして始めたのがSOLOEL(間接材購買のデファクトスタンダード)、BtoC向けのサービスとしてアスマルというネット通販もあるから、どんどんドメインの開拓が進んでいるなと言う感じ。

村上龍氏は、アスクルの成功の秘訣は徹底した顧客志向だと言っていた。現在では顧客志向は当たり前だが、開業当時では「ライバルの商品を扱う」とか「値引きして売る」とかいうことは、まだ当たり前にはなっていなかったろう。業界のタブーとされていたことに果敢に挑んで成功を収めたことは賞賛に値するな。