アジアの風(2012/07/21放送分)

和歌山県那智勝浦町にあるマグロの卸売業者(ヤマサ脇口水産)が、独自開発の冷凍技術を使って冷凍したマグロをアジアに売っていこうという話。今回は珍しく2週連続の特集。気合いが入っているな~~。それとも挑戦する中小企業が少ないための苦肉の策かな?
通常の冷凍マグロは、冷凍してマグロの細胞内の水分が凍るときに細胞膜を破壊してしまう。そのため、解凍時にマグロの栄養分が流れ出してしまう(ドリップ)という。そのドリップを最小に抑えるために、温塩水法という解凍方法で解凍するが、そこでは温度管理や職人的な見極めなどが重要になっており、手間がかかっている。また、解凍に失敗して品質が劣化することがあり、それらは廃棄ロスとなる。
ヤマサ脇口水産が製造している冷凍マグロ「海桜鮪(かいおうまぐろ)」は、見た感じきれいな桜色をしており、その色から海桜と名が付けられたものと思われる。その海桜鮪は特殊な技術により凍結時に細胞膜を壊さないので、解凍してもドリップがほとんど発生しない。そのため、格段に味が向上すると言うことだった。さらに、通常の冷凍マグロでは発生する廃棄ロスが発生しない。ということで、飲食店にとっては願ったり叶ったりのマグロと言うことだった。実際に国内の飲食店からは多くの引き合いをもらっているとのこと。
この新型冷凍技術は、10年くらいの年月をかけてやっと開発したものらしい。冷凍時に水の分子を規則正しく並べて氷の結晶が大きくならないようにしていると言うことだが、詳しいことは企業秘密で非公開。
ということで、今週は主にマグロ冷凍技術の紹介で終わった。来週はいよいよ海外へと売り込みに行くのだが、さてどうなることやら。この番組は30分番組だから、今回の取材ネタは来週の分と合わせて1時間番組相当だったということかな。同じテレビ東京系だから、他の番組にネタを譲っても良いところだろうけれどね。

この海桜鮪、通常の冷凍鮪と値段的にはそう変わらないと言うから、すごいよね。普通は開発費や設備投資を回収しなければならないのに、どうなっているのかな?インタビューでは億近い設備を導入していた模様だが。
家庭で解凍しても味が落ちなくて、さらに廃棄ロスが発生しないというのは、非常にありがたい商品だと思ったが。残念ながら、今までお目にかかったこともなく、話を聞いたこともなかった。和歌山の業者だから、現在の販売先は関西や中部関東が中心で、九州までは出回っていないと言うことかな(想像)。
技術を非公開にするよりも、特許を取って普及させた方が、消費者にとってはありがたい気がするけれどね。そうしないと、製造量に限界があるだろうから、消費者の食卓に上ってこないじゃん。