カンブリア宮殿(2012/08/16放送分)

真似されてこそ本物!大人気和菓子の老舗に”商いの道”あり】と題して和菓子屋の「たねや」がテーマ。
まずは、大阪梅田の阪神百貨店に入っている、バームクーヘンが名物の「クラブ・ハリエ」である。ここ、見たことあるよ。残念ながら、洋菓子は苦手なので買ったことはないのだが、大阪勤務だった頃は、よく人だかりができているのを見かけた。
この「クラブ・ハリエ」を出しているのが、滋賀県近江八幡に本店を構える和菓子屋の「たねや」である。
和菓子の業界は伸び悩んでいるのだが、その中で成長をしているのが、このたねやであり、それを率いるのが4代目の社長「山本昌仁」さんであった。
山本社長が拘っているのは「本物」。たねやの工場では自社で餡を製造していたが、今や和菓子の大手でも餡作りは外注しているところが多い中で、自社製造は珍しいとか。(餡を炊くと言っていたが、餡を作るのことを「餡を炊く」と言うと初めて知った。)
また、伝統を守ることと、それを打ち破る新たな挑戦をすることの両立を心がけていると言うことで、「ふくみ天秤」という「最中」を開発していた。これって、コンビニのおにぎりみたいに、さくさく感が味わえる。絶対、コンビニおにぎりからヒントを得たに違いない。
モットーは、「皆がいいというものはやらない。そういうものは予に出回っているので、二番煎じになってしまう。」このフレーズに似たフレーズをどこかで聴いたことある。「全員一致なら辞めてしまえ!」というやつ。開発者魂が問われると言うことだね。
開発中の商品を試食するところを取材していたが、餅に純粋なオリーブオイルをいっぱいにかけて食べるという「和洋折衷」のような商品で、今までに無いアイデアだなと思った。試食した村上龍氏が珍しく食レポのようなことを言っていたが、あまり説得力は無かった。
番組で紹介された「たねや」の特徴としては、
・農場を持っており、3,700坪の土地でヨモギだけを作るなど、地元滋賀県産にこだわった食材を使っている
・「たねや」の由来はもともと種苗点だったことらしい。屋号はなかったそうだが、来店客がたねやさんと呼ぶことで自然と名前が付いた
・銀座の三越に出店して失敗したことから、京都の雅(みやび)に対して滋賀の鄙び(ひなび)を売りにしていった
・工場は滋賀にしか作らない。というのも、場所が変われば水が変わるし食材も微妙に変わるので、味を調えるのが難しくなるため
真似されてなんぼといって、クラブ・ハリエの店頭での切り売りの手法が真似されても意に返さなかった。また、「たねやアカデミー」という教育施設では自社の若手以外の職人も育成している。他社の跡取りとかも受け入れて、自分のノウハウを全て公開しているというからすごい。和菓子業界全体のことを考えてのことだと思うが、ノウハウを教えても全く同じ味はできないだろうという絶対の自信がある気がするな。
最後は、たねやが運営する自社の従業員のための保育園。その子供たちは園内にある農場で野菜を収穫し、同じく園内の食堂で調理されたものを食べるのである。食育だな~~。
また、広大な土地(35,000坪)に和菓子と自然に関するテーマパークのようなものを建設する計画もあるらしい。

ということで、伝統のある和菓子の分野で革新的な試みを次々と行っているたねやの山本社長だが、地元の滋賀、近江にこだわるという一本筋が通る経営をしているところに共感できた。テーマパークができたら是非行ってみたいな。