アジアの風(2012/08/18放送分)

今回の主役は、ロボット開発会社の(株)アールティー。最初は、人間の動きをまねて動くロボットのデモンストレーションから。デモをしていたのは中川友紀子社長。CCDカメラで人の動きをキャプチャーし、その動きをコンピュータで解析して、ロボットに指令を送るというもの。遅延が0.5~1秒くらいあるが、そこそこおもしろいな。
この会社はロボット向けのAPIを売っていこうというもの。そのデモをしていたロボットにも搭載されていると言うことらしい。
で、APIの話が出てきたけれど、番組のAPIの解説はちょっとトンチンカンだった。今までは、ロボットに何かの動作をさせるときに、それぞれ固有の命令をたくさん書かなければならなかったが、APIを持つことにより、少ない命令で済む。そして生産性が飛躍的に向上するということを言おうとしているらしいが・・・。う~ん、ソフトウェア技術者以外の一般人にAPIを説明しようとするとこうなるのか・・・。やはり、おいらたちは特殊な世界に浸りきっているんだな~~。
そんなことはさておき、経済産業省によるロボット産業の市場予測によると2035年にロボット産業は10兆円規模の市場になるとあり、その半数はサービス分野という。そのサービス分野のロボット開発をターゲットにAPIを売っていこうという企業戦略らしい。また、2015年には介護ロボットの保険適用の範囲が広がるし、応用範囲は広いかも。
このAPI技術をアジアに売っていこうとしているのだが、中川社長がターゲットにしているのは「タイ」であった。その理由としては、タイの大学がロボット関連の競技会では必ず上位に入賞するなど大学レベルではロボット技術は高いということ。つまり、ロボットの消費市場というよりも、開発の盛んなタイで、大学などの研究施設向けに売っていこうというということらしい。
実際、タイに赴いてJETROや大学(マヒドン大学とあった)でデモンストレーションをしていた。
また、バンコクのロボットの聖地(日本の秋葉原や日本橋に近い・・・規模は小さいが)のようなところも視察していた。
そして、さらに次のカセサート大学でデモをしてたのだが、その大学の学科長らしき人が出てきて「タイではプログラムは無料だという感覚」というショッキングな話が出てきた。その学科長はAPIを売ろうとするのであれば、レベルを付けたらどうかという提案をベーシックなレベルは無料にして、アドバンスドなレベルを優良にすれば良いのではと言うことだ。また、難しい技術なので、技術指導とセットで売っていけばどうかという提案もしていた。
今回は、各国のアナリストの登場は無しだった。さすがにこういう特殊な技術に関してコメントできる人はいなかったのかな。

番組ナビゲータは「今までの日本企業はアジアを市場あるいは製造拠点とみなしていたが、今後は開発拠点になっていくだろう。しかし、タイなどは今後は開発拠点になっていくだろう。それは日本の製造業にとっては新たな展開になる」と言っていた。でも、開発まで海外で行うようになったら、日本は生き残れるのかちょっと不安。私は、製造業を中心とした技術の維持と向上こそが日本の生きる道だと思っているのだが・・・。