オイコノミア(2012/09/11放送分)

「内定が欲しい!」(前編)ということで、内定に関する経済学の話なのだが。番組見るまでは一体どんな内容になるのか想像が付かなかった。
まずは、又吉さんが「就活のセミナーなど支援をしている?会社」で模擬面接を受けるというもの。まずは、又吉さんがスーツ姿で基本姿勢のチェックを受けていたが、ロン毛やパーマに対して指摘を受けていた。確かに、それじゃだめだな。でも、又吉さんのその髪型はキャラの一部なのでどうしようもないだろう。そして、模擬面接会場に入って自己アピールするのだが、その前に、入る前のドアのノックの仕方や挨拶の声のトーンが全くだめだ!こんな就活生、面接本番を始まる前に弾いちゃうんだけどね。
そして、今回のメインは就活時期の話。だいたい大学の3年次後半から始まるのだが、それをゲーム理論の「囚人のジレンマ」で解説していた。すなわち、企業にとっては大学4年に採用活動をするのが最も利得が大きい。だが、そのような遅い時期に採用活動をすると、優秀な学生はすでに他社に採用が決まってしまっている。従って、企業は早い時期から採用活動を行い、結果としてどの企業も最高の利得を得ることができないし、全体にとって最適な利得さえも得られない。ということだった。
それは、そうなのだが、「囚人のジレンマ」のオリジナルに関する解説で「無罪になる誘惑に勝てずに自白する」と言っていたのには疑問を呈したい!。囚人は、「無罪になりたくて」自白するのではなく、「相手が自白することによって、自分が最も重い刑に処せられることを避けるために」自白するのだ。そうでないと、この理論の前提となっている「お互いの行動(戦略)が分からない」という前提の意味が無い。つまり「囚人のジレンマ」では、お互いに「相手がどう動いても、自分が最悪の利得しか得られない状況を回避する」という行動を取っているのである。囚人は自分が自白すれば「中間の刑あるいは無罪」を得ることができるのだから。これは、ミニ・マックス戦略にも通じる行動パターンだ。だから、最初の「無罪になる誘惑に勝てずに自白する」という解説は絶対に間違いだ!
と、揚げ足を取るのはそのくらいにして、今回はちょっと又吉さんを見直したエピソードを。又吉さんは今回の講師である「安藤至大(日本大学大学院准教授)」から囚人のジレンマの話を解説してもらった際に、すぐさま「焼き肉屋に何人かで行ったときに、自分の食べたい(最も利得が高い)焼き具合まで待っていると、他の人が先にその肉を食べてしまうので、みんなは最もおいしい焼き具合よりも前の段階で肉を食べることになるのと同じですね~」と、言っていた。これってまさに囚人のジレンマと同じだ!つまり又吉さんは講師の解説を聞いただけで、すぐさま囚人のジレンマを理解して、自分の身の周りのエピソードに結びつけられたという事じゃん!。これって、すごい!このときは番組見ながら思わず感嘆の声を上げちゃったよ!って、まさかこれは台本じゃないよね。
新卒採用の歴史の話では、明治時代以降に定期採用、定期昇給など現在の採用、賃金制度が始まったと言っていた。それから、一斉に採用する方が、採用活動などに規模の経済が発揮されて、採用コストが下がるという話。また、そうではない採用活動を実施している企業として、ファースト・リテーリングを取材していた。
それから、なぜ企業は人を採用するのかと言うことで、「比較優位」の話だが。番組では、何でもこなすスーパーマンと新人のコンビでも、新人に対してより「ましな」仕事をさせることで全体としての効用が上がる。という話をしていた。それはそうだが、これは、企業だけではなくて、「社会」そのものの話。人が分業をするのは、それぞれが比較優位を発揮してその価値を貨幣で交換しているのだから・・・比較優位というのは社会そのものといえる。
最後は、今後日本では生産年齢人口が減少して、売り手市場が訪れる。そのために、結婚出産を機に家庭に入った主婦や、外国人労働者、シルバー世代などを如何に使っていくかが課題となっていくだろうとまとめていた。

で、来週は後編なのだが、予告見てもどんなことがテーマなのかいまいち分からなかった。もう少し分かりやすい予告をやってくれ~~と思ったね。