ガイアの夜明け(2012/09/18放送分)

【10周年企画⑤海外に出たサムライ ニッポンを救う…】
紹介されていたのは、2人の日本人
1.ステラワークスという家具ブランドを立ち上げた、家具デザイナーの堀雄一朗氏が、京都西陣織の布地を使った家具を開発して、海外に日本の良さをアピールしていこうというもの。番組では、ソファの作成で、海に住むエイのレントゲン写真をモチーフにした図柄の生地を制作する過程が紹介されていたが、このデザインは日本人としてはどうかなと思うよ。でも、番組でも「日本人が思う日本らしさと外国人が思う日本らしさは違う」と言われたいたし、実際実物を見た外国人バイヤーは高い評価をしていたので、そんなものなのかなとも思った。それにしても、西洋人のデザイナーが谷崎潤一郎の陰翳礼賛を読んでいるというのには驚いたな。
2.中国で活躍する日本人建築家迫慶一郎氏が東日本大震災で大きな打撃を受けた東北の地に「災害に強い都市」を構築していこうというもの。平野に人工の高台を作って、その上に都市を造ろうというものだったが、その費用が200億円ほど・・・。って、高過ぎだな~。アイデアはおもしろいけれど、実現は難しいのではないかなと思う。

伝統産業が衰退していくのは残念なことだが、今回の放送でも分かるとおり、高い技術力を持っていてもそれを商品に落とし込めない。つまり、技術を組み合わせて一つの付加価値の高い商品にするコーディネート力がないというのが、これらの典型的な状況だな~。異業種交流などを通して、新たな商品を企画していく努力をしていかないと。

未来世紀ジパング~沸騰現場の経済学~(2012/09/17放送分)

鉄道が世界の街を変える!】と題して、鉄道のお話。今回は我が地元JR九州が取り上げられており、非常に楽しみにしていた!。もう一つの話題もLRTだし。
で、まず、JR九州の話だが。キーワードが「赤字で沸騰」。
1.あそぼーい!。運行本数が少なく、チケットがなかなか取れないとか。車内は子供が遊ぶスペースがいっぱい。
2.九州新幹線。さくらやみずほは4列シートでゆったりと座れる。シートは西陣織だったり、ブラインドがすだれだったり、最近乗っていないけれど、見ていると乗りたくなるよ。
3.指宿のたまて箱号(通称:いぶたま号)片方が白色、もう片方が黒色と左右非対称のユニークなカラーリングだが、車内も左右非対称で、座席が錦江湾側を向いている。
いぶたま号のおかげで、指宿の町に活気が戻ってきているという。でも、いぶたま号は一日3往復、もっと増やせばいいのにと思いきや、JR九州は窮乏感をあおるためか、増便しない。いぶたま号の乗車にプレミアを付ける戦略だね。ナビゲータも言っていたけれど、単に運賃収入を増やそうとは思っていないんだな。
JR九州は「鉄道事業では104億円の赤字」だが、博多シティの開業に代表される流通・外食業やマンション建設、不動産業など全体では102億円の黒字をたたき出している。その中で、鉄道事業の位置づけは九州へのPR効果を狙っているという。
そして、「クルーズトレインななつ星in九州」:全部で14室しかない。価格は3泊4日で55万円。来年10月から運行開始。私などが乗れるわけないが、ちょっと見てみたい。

後半はストラスブールに代表されるLRT(LightRailTransit)。この町では中心部への車の乗り入れが規制されていて、路面電車が走っている。路面電車と言っても、古き良き時代のチンチン電車ではなくて、近未来型のデザイン。LRTを導入することによって、渋滞や排気ガスによる公害、交通事故などがなくなり、中心街に人通りが戻ってきた。
LRTの特徴は都心と郊外とを高頻度で高速(最高80km/h)で結ぶ鉄道で、簡易プラットホームをもっており、大半が専用軌道などであるが、すべの条件をそろえていなくてもLRTと言われている鉄道も多い。
なぜ、私がLRTに興味があるかというと、私が生まれ育った北九州市では、路面電車が走っていたからだ。今では廃止となり、そこは完全な道路になってしまったのだが、そこを軌道に戻すことは可能ではないかなと考えているからだ。黒崎駅前の商店街も賑わいがなくなってしまっているが、LRT導入で、中心部に人が戻ってきて、賑わいを取り戻せるのではないかな~。
LRTのメリットとしては、コンパクトシティを実現できると言うこと。特に今後増加するであろう交通弱者にとっては、LRTを利用して買い物や通院などを行い、小さなエリアで生活が充足できる。
LRTに関して、日本では富山市に導入されているが、それはたまたま廃線となるJRの路線があったから。他の土地ではなかなか導入が進まない。苦しい地方財政で大型の投資をすることに市民の了解が得られないというのが実情のようだった。例出していたのは栃木県宇都宮市。って、この市ではLRT導入を19年も検討しているなんて・・・。だめだな、こりゃ。この辺は横並び意識の強い日本人の特質が出ているな~~。

番組では、LRTが日本になかなか導入されてないという扱いをしていたが、実は、LRTの概念を持つ鉄道であれば、日本にも以前からある。というか既存の路面電車(併用軌道や併用軌道でないもの)をLRT的に運用している路線がある。それこそ、先ほど書いた、北九州市の黒崎と郊外とを結ぶ筑豊電気鉄道も高速性を除いてはLRTに近い側面を持っている。そういう意味では、筑豊電鉄が再び北九州市街地を走るようになれば、私としてはうれしいのだが。

カンブリア宮殿in大阪(2012/09/13放送分)

題名は、【~ナニワの商人が日本を元気にする!~】で今何かと話題の大阪の話。
1.たこ焼き屋の「くくる」の話。たこ焼きだけではなくて他の地域ではスイーツ類も扱っている。その社屋(多分・・・具体的な説明はなかったが)の壁に昔の川柳を書いた額がかけられていて、その内容が「この世 女の好むもの 芝居、浄瑠璃、いも、たこ、なんきん」で、社長さんが言うには、「この世から女性がいなくならない限り、いも、たこ、なんきんは残っていくだろう」ということで、いもを使ったスイーツの分野にも進出しているということだった。
2.天神橋筋商店街の話。前職の関西営業所の近くにある商店街でよく知っているが、確かにいつも大変な賑わいである。そんな天神橋筋商店街も大型スーパー、デパートが進出したときは客足が減ったという。それでも、個店と商店街全体の努力によって客足が戻ったというのが話の筋。例の、繁昌亭もちらっと出てきた。私は、ここには結局行っていないんだよね。
3.阪急阪神ホールディングスの話。社長の角和夫氏が登場。でも、ここでの話はちょこっとで終わり。
4.西淀川区の工業地帯に、小池栄子さんが突撃取材。そこでは、二足歩行のロボットを作っていた。西淀川の中小工場8社が集まって開発しているそうだ。西淀川区の町工場の数は、最盛期(約20年前)には1,121事業所あったのが、2010年には540事業所と半減している。でも、そのロボットはまだ下半身しかできていない・・・。って、足から作っていくって言う発想は正しいのかな。
5.椿本チエインの話。ここは、言わずと知れたチェーンの世界的メーカー。前職の時も営業的にアプローチしようとしていたが・・・。その後どうなったかは不明。マツダのスカイアクティブ用のエンジンにも使われているそうだ。そこで、チェインを使った昇降機を魅せてもらったが、これはギミックとして非常におもしろいな。いろいろな部分で使えそうな気がする。
6.再び阪急阪神ホールディングスの角社長とのインタビュー。阪急の歴史の話で、小林一三の話が出てきた。沿線に住宅地を造成して、郊外に住み都心に通うというモデルを作ったのが阪急。それから住宅をローンで買えるようにしたのもそう。そして、宝塚に歌劇団を作ったのもそう。
7.最後は、うめきたの話。JR大阪駅って、このうめきたの貨物ヤードがあるために、道路が複雑なんだよね~。駅の南側から北西に抜けようとするとヨドバシ電機と阪急梅田駅の間の道しかないし。西側に大きな道が通っていないのがいびつだ。で、そこに複合商業施設を作ろうという話だ。

大阪にはしばらくいたので、多少の愛着はあるのだが、今の橋下市長がやっているような、大阪が東京に対抗していこうというのは、ちょっと違う気がする。個別の店舗、工場が頑張っていくことで、全体としての大阪が元気になり、東京都は別の魅力を持った町になるのではないかという気がするが。

オイコノミア(2012/09/11放送分)

「内定が欲しい!」(前編)ということで、内定に関する経済学の話なのだが。番組見るまでは一体どんな内容になるのか想像が付かなかった。
まずは、又吉さんが「就活のセミナーなど支援をしている?会社」で模擬面接を受けるというもの。まずは、又吉さんがスーツ姿で基本姿勢のチェックを受けていたが、ロン毛やパーマに対して指摘を受けていた。確かに、それじゃだめだな。でも、又吉さんのその髪型はキャラの一部なのでどうしようもないだろう。そして、模擬面接会場に入って自己アピールするのだが、その前に、入る前のドアのノックの仕方や挨拶の声のトーンが全くだめだ!こんな就活生、面接本番を始まる前に弾いちゃうんだけどね。
そして、今回のメインは就活時期の話。だいたい大学の3年次後半から始まるのだが、それをゲーム理論の「囚人のジレンマ」で解説していた。すなわち、企業にとっては大学4年に採用活動をするのが最も利得が大きい。だが、そのような遅い時期に採用活動をすると、優秀な学生はすでに他社に採用が決まってしまっている。従って、企業は早い時期から採用活動を行い、結果としてどの企業も最高の利得を得ることができないし、全体にとって最適な利得さえも得られない。ということだった。
それは、そうなのだが、「囚人のジレンマ」のオリジナルに関する解説で「無罪になる誘惑に勝てずに自白する」と言っていたのには疑問を呈したい!。囚人は、「無罪になりたくて」自白するのではなく、「相手が自白することによって、自分が最も重い刑に処せられることを避けるために」自白するのだ。そうでないと、この理論の前提となっている「お互いの行動(戦略)が分からない」という前提の意味が無い。つまり「囚人のジレンマ」では、お互いに「相手がどう動いても、自分が最悪の利得しか得られない状況を回避する」という行動を取っているのである。囚人は自分が自白すれば「中間の刑あるいは無罪」を得ることができるのだから。これは、ミニ・マックス戦略にも通じる行動パターンだ。だから、最初の「無罪になる誘惑に勝てずに自白する」という解説は絶対に間違いだ!
と、揚げ足を取るのはそのくらいにして、今回はちょっと又吉さんを見直したエピソードを。又吉さんは今回の講師である「安藤至大(日本大学大学院准教授)」から囚人のジレンマの話を解説してもらった際に、すぐさま「焼き肉屋に何人かで行ったときに、自分の食べたい(最も利得が高い)焼き具合まで待っていると、他の人が先にその肉を食べてしまうので、みんなは最もおいしい焼き具合よりも前の段階で肉を食べることになるのと同じですね~」と、言っていた。これってまさに囚人のジレンマと同じだ!つまり又吉さんは講師の解説を聞いただけで、すぐさま囚人のジレンマを理解して、自分の身の周りのエピソードに結びつけられたという事じゃん!。これって、すごい!このときは番組見ながら思わず感嘆の声を上げちゃったよ!って、まさかこれは台本じゃないよね。
新卒採用の歴史の話では、明治時代以降に定期採用、定期昇給など現在の採用、賃金制度が始まったと言っていた。それから、一斉に採用する方が、採用活動などに規模の経済が発揮されて、採用コストが下がるという話。また、そうではない採用活動を実施している企業として、ファースト・リテーリングを取材していた。
それから、なぜ企業は人を採用するのかと言うことで、「比較優位」の話だが。番組では、何でもこなすスーパーマンと新人のコンビでも、新人に対してより「ましな」仕事をさせることで全体としての効用が上がる。という話をしていた。それはそうだが、これは、企業だけではなくて、「社会」そのものの話。人が分業をするのは、それぞれが比較優位を発揮してその価値を貨幣で交換しているのだから・・・比較優位というのは社会そのものといえる。
最後は、今後日本では生産年齢人口が減少して、売り手市場が訪れる。そのために、結婚出産を機に家庭に入った主婦や、外国人労働者、シルバー世代などを如何に使っていくかが課題となっていくだろうとまとめていた。

で、来週は後編なのだが、予告見てもどんなことがテーマなのかいまいち分からなかった。もう少し分かりやすい予告をやってくれ~~と思ったね。

ガイアの夜明け(2012/09/12放送分)

「ニッポンの生きる道④」地球を救うヒット商品とは
まずは、無印良品の話。オーガニックコットンとは、農薬や肥料を3年以上使っていない土壌で栽培されたものを言うが、無印良品ではこういう環境負荷の低い原材料を使った衣料を提供していこうとしている。無印良品ではオーガニックコットンであれば10%高い金額で買い取る契約を結んでいるということだった。これによって、農家がオーガニックコットンを栽培するインセンティブを高めているのね。
また、染料に関しても化学染料を使わず自然染料をできるだけ使っていこうとしている。俗に言う草木染め(草や木の色素を使った染め方)だが、洗濯時の色落ちが欠点。で、カンボジアのアンコール遺跡に近い村に住む日本人の染め物職人にその技術を請うていた。
後半は、アマゾンのジャングルを再生させる取り組みを行っている日本企業の話。ブラジルで日本人入植者の町トメアスで実施しているアグロフォレストリーの話。アグロフォレストリーとは農業(Aguriculture)と林業(Forestry)を合成した言葉で、直訳すれば農林業のことだが、樹木と農作物を効率よく植栽して、持続可能な土地開発を図るというもの。
でも、ブラジルでは、バイオディーゼルの原料となる作物が高値で売れるため、アグロフォレストリーを圧倒してしまっていた。そんなアグロフォレストリーを保護し拡大していくために、日本の「フルッタフッタ」という企業が、その収穫物を買い上げて、日本国内でジュースなどの健康飲料に加工し売っていこうとしていた。

ということで、今回の話の趣旨は、消費者がこういう環境負荷の低い商品を購入することで、森林を救うことができたり、生産者を農薬被害から守ることができると言うことだ~。これらは、生産者や地球環境だけでなく、消費者にも選択することのメリットがあるということが大切だ。消費者にメリットがなければ、低価格の商品を選択してしまうだろう。オーガニックコットン+自然染料の衣料であれば、肌に優しいとかアレルギーを起こさないとかだが、アグロフォレストリーから収穫されたものに関しては、ない・・・。そこで、フルッタフッタでは、加工した飲料が健康に良い(ポリフェノールが多く含まれているなど)とかいう付加価値を付けていた。また、ジュースを飲むことで、森林を救うことができるとアピールしていた。環境問題に関心が深い日本人向けのプロモーションだと思うな~。

オイコノミア(2012/09/04放送分)※再放送09/09

「食べて美味しい経済学!?」(後編)、テーマは食。今回は後編。
まず、行列ができる店に関して。私は行列が嫌いなので並ばないが、行列には「シグナル効果」というものがある。人は商品(やサービス)に関する情報が少ないとき、他の人の購買行動を参考にする傾向がある。ということで、行列には、商品の価値推定機能があるということ。ま、必ずしもそうとは限らず、店内のオペレーションがまずくて行列ができているのかも知れないが。一般的には、人気がある店はおいしいと言うこと。このシグナル効果は通販にも通じるものがあって、他人のコメントを参考にして購買の判断を決める傾向がある。これを悪用したのがステマ(ステルス・マーケティング)なのだが。
次に、お店のコースで松竹梅コースがある場合、人は真ん中を選ぶ傾向がある。これは、極端回避性。
また、情報の非対称性の話から、賞味期限の話。例出していたのは、
・牛乳パックに、賞味期限が記載されているものとされていないもの
・同じ値段のトマトに産地が記載されているものとされていないもの
そして、中古車の話から、レモンの原理(番組ではそう言っていたが、一般にはレモンの市場ではなかったかな?)ここで揚げ足を取ると、大竹教授はレモンの話で「切ってみないと味が分からない」と言っていたが、これも「英語でレモンは、よくないことやうまくいかないことを指す」ことから転じたものだと思うのだが。
さらに、食べ放題の話で、「規模の経済」が出てきた。食べ放題では、一人前ずつ調理するのではなく一度に大量に調理するので、大量生産効果があるというのだが。そして、もうひとつは「自信過剰バイアス」。これは、人は自分の食べる量を多めに見積もるものだということ。で、結局食べ放題ではいくら食べても店がつぶれることはない(それこそ関取やプロレスラーばかりが大量に押し寄せたらつぶれるのだろうが・・・)。
ところで、2050年には世界の総人口は90億人になることが予想されており、食糧危機が訪れるのではないかといわれている。そこで、又吉さんが訪問したのが、植物(野菜)工場。植物工場は日本向きかな。というのも、農家一戸あたりの耕作面積は、EUで日本の7倍、米国では100倍、オーストラリアは1,600倍だから。日本の農家はこのままでは立ちゆかなくなりそうだ。
最後に、1991年に牛肉とオレンジの輸入が自由化された。当時は、日本の農家をつぶす気か!と、相当なすったもんだがあった。しかし、蓋を開けてみると、逆に米国などで温州ミカンはクリスマスオレンジとして人気があり(というのも、米国オレンジの端境期にちょうど温州ミカンが出回るので)、輸出が好調なのだそうだ。ということで、日本の高品質(おいしい、安全と言うこと)がブランドとして認知されており、そういったセグメントに対しては、日本の農産物は十分に立ち回れるのではないかという話で終わった。もう少し突っ込むところもあったようだが、大竹氏は政治学者ではなくて経済学者だから、がつんと言わなかったな。ちょっと前に話題になったTPPの話が出てきても良いところだったが、それもなかった。

でも、今回は短い話の中にいろいろと経済学の話をちりばめておりおもしろかった。

再放送を録画したものを見ながら書いているので、投稿が相当遅くなった。もう、次の回が来るじゃん。

ガイアの夜明け(2012/09/04放送分)

魅せて売る!~五感を刺激する“売り場革命”とは~
一言で言うと、食品などを点灯で調理する様子を「見せて」顧客に購買意欲をわかせようと言うことだ。視覚や嗅覚、聴覚を刺激することで、顧客の五感を刺激することが、購買意欲の増加に繋がると言うこと。AIDMAのAIのところが強烈に刺激されるんだろうね。実演販売にも通じるところがあるかも。
例出していたのは、
・大丸東京店(デパ地下)
・イトーヨーカ堂
デパートとスーパーがしのぎを削っていると言うことらしい。
カンブリア宮殿に出ていた「クラブ・ハリエ」も、店頭で魅せるという意味では同じ気がする。

今回は、個別の商品の話ばかりで、あまりメモっておくネタが無かった。というわけで、短め。

未来世紀ジパング(2012/09/03放送分)

世界に羽ばたく!ニッポンの技術③世界一きれいな水を作る】と題して、世界における水ビジネスをレポート。
日本人が一日あたりに消費する水の量は約300L弱ということで、思ったより多いな。一方で国連が人間が生活するために必要な量として定めている水は50Lということだった。さらに、一日10L以下しか使っていない国もあるそうだ。
地球に存在する水のほとんどは海水で、淡水は2.5%、その中には、極地域の氷山や地下水など人間が利用できない水も含まれるので、実際に使える水は、0.01%ということだった。
そして、水の宅配ビジネスの話だが、これらの原水は水道水で、不純物を除去してからミネラル分を入れなおすと言うことだった。で、不純物を除去するために使われているのが、RO膜。このRO膜のシェアは日本企業合わせて6割ということだった。
中東のドバイでは、火力発電の余熱で海水を沸騰させ、蒸留水を作っているのだが、コストがかかりすぎるので、RO膜を使って真水を作るプラントに切り替わりつつあるということ。その他世界20カ国でRO膜を使った淡水化技術が利用されていると言うこと。
淡水化技術は1960年代に米国のジョン・F・ケネディ大統領の指示により始まったと言うことだが、技術革新を続けた日本が世界シェアのトップになったと言うことだった。
しか~~し、淡水化は水ビジネス全体(60兆円)の中のわずか(1,200億円)。大きなものは水道事業(50兆円)。でも、日本では水道事業は自治体が実施しているので、競争力とか、ビジネス・センスとかないんじゃないかしら?
でも、カンボジアのプノンペンでは、北九州市の職員が現地の水道公社に派遣されていて、浄水場や、水道管の漏水の管理に関する技術を現地の人に教えていた。
世界には水メジャーと呼ばれる企業があり、1兆円の売上を上げているところもあるので、結局、日本は水ビジネスを海外に打て行けないのか・・・と言われれば、そうではなかった。
東京都は第三セクターの会社を立ち上げて、海外に打って出ようとしている。ベトナムをターゲットにしているようだった。一方でカンボジアでは北九州市が頑張っているみたいだった。
で、未来予測は「メコン川の水を透明に」ということだった。メコン川は東南アジアの5カ国を流れている川で、その川の恵みを受けている人たちは数千万人いる。その人たちに安全な水を提供することに大きなビジネス・チャンスがあるのではないかという結論だった。

で、来週は地元JR九州をはじめとする鉄道の話題。これは見逃せないな~~。

カンブリア宮殿(2012/08/30放送分)

快進撃のスナック菓子の王者!ダントツを目指す攻めの経営
カルビーがテーマ。会長は松本晃氏。好調を維持するカルビーだから、さぞや生え抜きの社長かと思いきや、他の会社から招聘されて社長になったという。お菓子業界のトップに君臨していても常に新しい血を入れる、すなわち危機感を持って経営にのぞんでいると言うことかな?
で、最初はJR東京駅のお菓子ランド・お菓子メーカーのアンテナショップが集まっている店。そこでの注目がカルビーというところから、話が始まる。カルビーの売上はスーパーの菓子部門の約半数(46%)ということだから、すごいよね。
カルビーの年間売上高のトップ4は、
4位:じゃがビー、83億円
3位:かっぱえびせん、100億円
2位:じゃがりこ、263億円
1位:ポテトチップス、587億円
ポテトチップスが2位のじゃがりこの倍以上の売上だから、まさに看板商品だな~~。そして、ポテトチップスの国内シェアは、カルビーが60%。ポテトチップスは、常時約80種類店頭に並んでいて、大半が3ヶ月で入れ替わるほど回転が早い。新商品好きの顧客は、商品棚から目が離せない。大半が3ヶ月で入れ替わる。
国内で生産されるジャガイモの10%、20万トンをカルビーが買い付けているというから、すごいよね。それを運搬する船まで所有していて、その船名が「カルビーポテト丸」って、ネーミングもおもしろいな。
ポテトチップスの工場では、0.01mm単位でスライスの厚さを調整していた。こんな職人的なところにもこだわっているのね。番組で紹介されていた、空気で選別する機械は、前職でちょっと絡んだよ。カルビー向けの機械ではなかったけれどね。画像処理で焦げたチップスを判定して、それがコンベヤのギャップを通る瞬間に空気を噴射して選別するので、リアル・タイム性が要求されるものだったが。
そして、3年前に招聘された松本晃氏は、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどを歴任した業績向上の請負人。携わった会社の利益を何倍にも向上させてきた。
カルビーは王者だが、それだけでは満足せず、米国大手の菓子メーカー「ペプシコ」を買収したり、中国への足がかりを作ったりと、海外展開を図っている。
松本晃氏は、国内のマーケットシェアで2/3以上を目指せという。1位が50%で、2位が15%のシェアだったとしても、2位が追随戦略を取るのは容易であり、必ずシェアは落ちるというのである。これって、コトラーの言っている市場地位ごとの戦略だよね。
また、松本晃氏は、新商品の開発こそが、企業成長の鍵と考えているようで、企画部門の若手には考える訓練として「週に3本の新商品企画を考える」(通称:千本ノック)ことをさせたり、R&Dセンターでは、試作品をすぐにテスト販売できるよう小規模のパッケージングができる設備を備えていたり、とにかく新しいものを作ろうという意欲が凄まじい。あくなき新商品開発だな~。
そして、営業利益を2%~7.6%まで上げた・・・それもたった3年で。というのは凄まじい。
トピックスとしておもしろかったものに、今カルビーが目指しているのが「脱ジャガイモ」というのがあった。スナック菓子の原材料としては約60%がジャガイモ由来なのだが、そのカルビーが脱ジャガイモとは。というのも、カルビーが更なる売上増加を目指そうとしたときに、ジャガイモの調達はもう限界でこれ以上飛躍的に調達を増やすことは難しいのだそうだ。そこで、ジャガイモを原料としないスナック菓子ということで、新商品開発を進めていた。番組で見せてもらったのは、カボチャやサツマイモをチップス状にしたもので、甘みがあるのかな?ちょっと食べてみたい気がした。
カルビーの社名は「カルシウム」と「ビタミンB」から取ったという。創業当時、戦後で栄養不足の子供たちのために、栄養のある菓子を提供したいということで、「カルビーキャラメル」という商品を作っていたのだが、そこから社名にしたと言うことだった。
さて、そのカルビーが念願の上場を果たしたのが、なんと昨年2011年の3月11日だった。松本会長の記者会見中に(多分引けの後、初日の出来高などに関する記者会見だったと思うが)地震の揺れが襲っていた。
最後は、全社員との直接対話で企業理念を熱心に説いている松本晃氏の姿。画面に映し出されたVISIONには、「顧客・取引先から、次に従業員とその家族から、そしてコミュニティから、最後に株主から尊敬され、賞賛され、そして愛される会社になる」とあった。この文言は彼の前職のジョンソン・エンド・ジョンソンのクレドーを元にしたものらしい。しかしながら、CS:顧客満足の次にES:従業員満足が来ているのは、日本企業らしいと言えば日本企業らしいのだが、元がジョンソン・エンド・ジョンソンのクレドーというのはちょっと不思議な気がする。

今回はスナック菓子業界のリーダー企業の紹介であり、その手法、戦略はまさにコトラーのリーダー企業の戦略を地で行っているようなものだった。リーダー企業がこれだけ王道の戦略を展開したら、フォロワー企業たちはなかなか追いつけそうもないな。