ガイアの夜明け(2012/10/09放送分)

【ここまで進化していた!激安スーパーの秘密】
今回は福岡県のスーパーが出てくるぞ!
まずは、福岡県柳川市に1店舗しかない小さな地方スーパー「スーパーまるまつ」。ここは、過去いろいろな番組で紹介されているから知っている人も多い・・・はず。ここが大繁盛しているのは、その安さのため。安さの理由は、廃棄ロスを最小限にする仕入れの適正化によるもの。社長が長年、毎日の天気、気温などと客数、売上などのデータを蓄積しており、それをベースに仕入れを行っている。いわば「コーザル・データ」の利用なのだけれど。廃棄ロスを最小にすることで無駄がなくなり、その分価格を安く抑えられるという具合。多分社長は「コーザル・データ」という言葉は知らないのだろうけれど、自身のデータに経験と勘を駆使して仕入れを行っているのだろうな。今では、それをコンピュータに入力して従業員と共有している。
番組では、スーパーが価格を抑えるための仕掛けとして次の4点を挙げていた。
1.大量仕入れ(仕入れ値を抑える)
2.プライベート・ブランドの開発(原価を抑える)
3.バック・ヤードを持たない(倉庫代をかけない)
4.ドミナント戦略(輸送コストをかけない)
1.2.4.は規模の経済性を発揮しないと実現は難しいところ。小規模のスーパーでできるのは3くらいかな。そのためには、適正な仕入れを行わなければならない。仕入れが少ないと機会損失が発生してしまうからね。そこで登場するのが、最初に出てきたコーザル・データの活用と言うことになる。「まるまつ」がやっているのはまさにそれか。
次に登場するのは、トライアル。全国に展開しているスーパー・チェーンだ。当然、私の近所にもあるけれど。ここも本社は福岡にある。ここでは、前述の1~4だけでなく、新たな取り組みも紹介されていた。その取り組みとは店舗内のスタッフを効率的に動かすことで、少ないスタッフで店舗を運営するというもの。つまり、人件費の削減。そのために、店舗内のスタッフに小型の端末を携帯させていた。その端末は、店舗管理をほとんど全て行うことができる端末であり、従業員同士のコミュニケーションも行えるもの。まず、アルバイトやパートに対しては、その日に彼らが行うべきタスクがスケジューリングされて表示されており、彼らはそれに従って行動すると言うこと。商品の補充や発注作業が(多分)15分単位で指示されていて、パートやアルバイトはそれに従って行動するというもの。効率的に人を動かすことで、トライアルでは他のスーパーの1/3の要員で店舗運営ができるのだそうだ。
このスケジュールは本部のサーバで機械的に各人に割り振られているのかな?そのあたりの説明はなかったが、多くの店舗に対して毎日スケジュールを作らなければいけないので、それを人が作っていたのでは相当な労力がかかることを考えると、コンピューターが自動的に割り振っているような気がする。それだと、なんだか人間がコンピューターの指示に従っているようで、(効率的ではあるのだろうが)ちょっといやな気分だな。って、SEやっていた私が言うのもアレだな!
この端末は他にも用途があって、例えば番組で紹介されていたのは、店長が店舗の巡回中に品切れの棚を見つけたら、それを撮影してスタッフに写メ(写真付きで指示)を出すことができる。多分、広い店内で誰かを呼び出す時間が短縮できると言うことなのだろう。メッセージはリアルタイムで送られてきて、メッセージを受信した端末は音(音声?)が鳴るので、スタッフはすぐに指示を実行できるというもの。
画面に映っていた端末のメニュー画面を見ると「発注」「返品」「日配発注」「廃棄」「検品」「出庫」「売変」「棚ラベル」「改廃指示」「棚割管理」「在庫調整」「生鮮棚卸」「売価確認」「タバコ検品」とあった。店舗の現場ですることはほとんどできるな~。っていうか、HDTVだとこういう端末の画面も鮮明に映すことができるのだが、モザイクとか入れていなくて良かったのか?
このシステムを作っているのは中国にあるトライアルのシステム部門子会社ということだった。そこには600名の中国人技術者が働いているというから驚き。インタビューに答えている状況を見ると日本語も結構堪能。多分、中国国内ではエリートなのだろう。トライアルでは他の会社よりも高い給料で彼らを雇っているとのことで、システムに力を入れていることがよく分かる。このシステム子会社では、システムの開発とともに、売上の推移などの分析を行っており、店舗ごとの商品の売れ行きなどを細かくチェックして現場にフィードバックしているようだった。
トライアルは安くて品質はそこそこというイメージだった。私の近所にもあるのだが、私は滅多に行かない。それは、客層が悪いから。なんだか、安いもの目当てに来る客は商品の扱いも乱雑な印象で、店舗自体の雰囲気があまり良くない感じがする。(あくまで私の個人的な感想です。)
そういったトライアルだが、今は安くても売れない時代になっているそうで、高品質のプライベート・ブランド商品の開発が急務となっているそうである。
そこで、東京では東京大学などの学生をアルバイトで雇用して、世界の流通業界の動向を分析していた。つまり、世界のスーパーなどがどのような戦略が取られているかを研究、分析させている。紹介されていたのは経済学部などの学生であったが、学生にしてみれば、お金をもらって実地の研究ができるということなので、うらやましい限りだ。
その分析によると、プライベート・ブランドは低価格帯と高価格帯の2つの価格帯が存在し、低価格帯は一般のブランドの5割、高価格帯は8割、ということだった。(英国スーパーの分析)
後半は、山形県にある肉の激安スーパー「びっくり市」の話。ここは週に3日間しか営業しない。「金・土・日」だけ営業する。3日間で1週間分の売上を上げる。月曜日は掃除の日。火曜日と水曜日は完全休業。木曜日は営業開始の準備。そして残りの3日間だけ営業するということだった。完全休業を設けることで、週7日間でシフト勤務をするよりも従業員数を抑えられるということだった。
「びっくり市」を運営しているのは「野川食肉食品センター」という卸売会社。買い付けた牛肉を「飲食店向けの卸」と「びっくり市での販売」とに効率よく分配して販売していくことで低価格を実現しているということだった。このあたりの戦略はおもしろいな。
他には店舗間で商品を融通しあったり、天気や気温に合わせてステーキ用やすき焼き用と加工を切り替えたりするのは、常識の範囲かな。

週3日間にすることで、逆に効率が上がるというのは、逆転の発想でおもしろかったな。
そう言えば、福岡にも直方に「土曜日曜びっくり市」という土日のみ営業する市があった。今でもやっているが、昔ほどの活気はないらしい。最近全然行っていないので、どういう状況か分からない。今度行ってみよう・・・と思ったら、今週末来週末はぎっしり予定が・・・。