平成29年度補正予算に計上されていた「事業承継補助金」の「後継者承継支援型」の公募が平成30年4月27日から公募が開始されました。
「事業承継補助金」で言うところの事業承継とは、以下の3パターンを指します。
形態 | 被承継者 | 承継者 | |
① | 法人における退任、就任をともなう代表者交代による事業の承継 | 法人 | 被承継者と同一法人 ※1 |
② | 個人事業における廃業、開業をともなう事業譲渡による承継 | 個人事業主 | 個人事業主 ※2 |
③ | 法人から事業譲渡を受け個人事業を開業する承継 | 法人 | 個人事業主 ※2 |
※1 承継者が、対象法人の議決権の過半数を取得した場合で、かつ、承継時において、承継者が個人事業主として既に他の事業を営んでいる、又は他の法人の議決権の過半数を所有している者である場合は、補助上限額がより高い、事業再編・事業統合支援型(本年7月上旬頃公募開始予定)への申請も可能です。
※2 承継時において、承継者が個人事業主として既に他の事業を営んでいる、又は他の法人の議決権の過半数を所有している者である場合は、補助上限額がより高い、事業再編・事業統合支援型(本年7月上旬頃公募開始予定)への申請も可能です。
以降の文書にも「承継者」「被承継者」という言葉が出てきますので、ここで整理しておきます。
「事業承継補助金」において、
承継者 :事業を譲渡される側、今後事業を継続していく側
被承継者:事業を譲渡する側、退任、廃業等を行う側
と言う意味ですので、お間違えないように。
補助対象者
事業承継補助金では、承継者が申請を行うことになっています。承継者は遅くとも平成30年12月31日までに承継を終える必要があります。
補助対象者は以下の1~8の要件を全て満たす必要があります。
- 補助対象者は、日本国内で事業を営む中小企業・小規模企業者等、個人事業主、特定非営利活動法人(以下、「中小企業者等」という)であること
- 応募者が個人の場合、日本国内に居住し、日本国内で事業を営む者であること。
応募者が法人の場合、日本国内に本社を置き、日本国内で事業を営む者であること - 補助対象者は、地域経済に貢献している中小企業者等であること
- 補助対象者となる承継者が、次のいずれかを満たす(事業)者であること。「経営経験を有している(事業)者」「同業種での実務経験などを有している(事業)者」「創業・承継に関する下記の研修等を受講した(事業)者」
- 補助対象者又はその法人の役員が、暴力団等の反社会的勢力でないこと。反社会勢力との関係
を有しないこと。また、反社会的勢力から出資等の資金提供を受けている場合も対象外とする - 補助対象者は、訴訟や法令順守上の問題を抱えている(事業)者ではないこと
- 補助対象者は、経済産業省から補助金指定停止措置または指名停止措置が講じられていない事業者であること
- 補助事業に係る全ての情報について、事務局から国に報告された後、統計的な処理等をされて匿名性を確保しつつ公表される場合があることについて同意すること
さて、これだけ読むと事業承継補助金では、個人事業の承継者の制限が大きいように思われますが、各市町村で実施されている特定創業支援事業を受講して創業してさえいればオーケーのようです。法人で役員の退任と就任を経て事業承継をする場合はあまり制限はありません。
補助事業期間
交付決定日から平成30年(2018年)12月31日(月)まで
平成27年4月1日(日)から補助事業期間完了日までに中小企業者等の事業承継を行う必要があります。事業承継補助金の募集要領では「2015年4月1日~補助事業期間終了日」と書かれています。
補助対象経費
- 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
- 承継者が交付決定日以降、補助事業期間内に契約・発注をおこない支払った経費 (被承継者が取り扱った経費は対象外)
事業承継補助金で使える経費の費目としては、人件費、申請書類作成費用、店舗借入費、設備費、原材料費、知的財産等関連経費、謝金、旅費、マーケティング調査費、広報費、会場借料費、外注費、委託費、廃業登記費(廃業を伴う場合)、在庫処分費(自己所有物の廃棄を伴う場合)、解体費及び処分費(自己所有物)、原状回復費、その他の費用
特筆すべきは設備費です。事業承継補助金では、他の補助金では対象外になる工事やエアコン、テレビ、冷蔵庫なども対象となるケースがあります。
補助率等
「事業承継補助金」の補助率、補助額上限・下限等は以下の通りです。
※「事業承継補助金」に限らず補助金には上限・下限があります。たまに下限に引っかかって不採択になる事業者がいますので、ご注意ください。
応募申請時の事業の規模 | 補助率 | 補助金額の範囲 | 事業転換により・廃業登記費・在庫処分費・解体費及び処分費・原状回復費がある場合の上乗せ額 |
・小規模企業者
・従業員数が小規模企業者と同じ規模の個人事業主 |
3分の2以内 | 100 万円以上~200 万円以内 | 廃業登記費・在庫処分費・解体費及び処分費・原状回復費として
+300 万円以内 (補助上限額の合計は 500 万円) |
小規模企業者および従業員数が小規模企業者と同じ個人事業主以外 | 2分の1以内 | 100 万円以上~150 万円以内 | 廃業登記費・在庫処分費・解体費及び処分費・原状回復費として
+225 万円以内 (補助上限額の合計は 375 万円) |
募集期間、問い合わせ先等
募集期間:~平成30年6月8日(金)当日消印有効 ※電子申請についても同日締切
問い合わせ先:事業承継補助金事務局
所在地:〒104-0061
東京都中央区銀座2-16-7 恒産第3ビル2F
電 話:03-6264-2670
受付時間:10:00~12:00、13:00~17:00
URL:中小企業庁の該当ページhttp://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2018/180427shoukei.htm
URL:事業承継補助金のページhttps://www.shokei-29hosei.jp/
※電子申請の申請方法も記載されています。
予算等
経済産業省、中小企業庁による平成29年補正予算によると、事業承継補助金を含めた「事業承継・世代交代集中支援事業」の全体予算は50億円でした。詳細はこちら。