アジアの風(2013/01/05放送分)

北海道旭川市にある「正和電工株式会社」が販売するバイオ・トイレがテーマ。
バイオ・トイレに関しては、富士山山頂などに設置されてニュースになったので知っている人も多いのではと思うが、そのメーカーは今回初めて知った。元々開発していたのは、別の会社だったそうだが、その会社から販売権を得て販売したのが、同社。その後、元のメーカーは倒産してしまい、権利を買い取った正和電工が開発を引き継いだというもの。
社長の橘井敏弘氏は、このバイオトイレを、台湾やベトナムに販売していこうというもの。
で、台湾、ベトナムとも高評価なのだが、価格がネックと言うこと。まずは、公共の場に設置するなどBtoGの戦略で行くのはどうかというアドバイスを受けていた。特に、衛生的である点と、農業用肥料として再利用できる点が大きなアピールポイントになるのではと言うことだった。
しかし、このバイオ・トイレ、原理やら構造やら工夫した点やらをテレビで公開していたが、ここまで公開すると真似するメーカーが出てくるのではと思うよ。
まず、原理としては、普通のおがくずには、空気を通す穴がたくさん開いており、水分などはそこで吸収され、蒸散されるというもの。そして、尿素などはおがくずに含まれる最近が分解されるのだが、空気がたくさんあるのでアンモニアは発生しない。さらに、45℃で熱することにより、大腸菌などは死滅する。そして、残ったリンやカリウムはおがくずと一緒に堆肥として再利用できるというもの。おがくずは年に2~3回交換すれば良いと言うことだった。
また、仕組みとしては、前述の45℃で熱することと、おがくずをスクリューで撹拌することだが、それも至って簡単なもの。スクリューの向きを工夫して、おがくずがタンクの一方に偏らないようにすることなんて、誰でも考えつきそうだった。
元々、オンリー・ワンの技術を使っているわけでもない、至って簡単な原理と仕組みにより、無臭で衛生的なトイレを実現するものだから。

オイコノミア(2012/12/18放送分)

「年の終わりに人生設計!」(前編)と題して、人生設計と経済学の話。要はライフステージに合わせた貯蓄が必要だとかいうこと。
平均寿命が延びて、企業をリタイアした後の老後の期間が長くなったことにより、その期間の生活のための資金が必要になり、そのために戦略的に資金を貯めていかなければいけないと言うことらしい。
「歴史上 初めて人の寿命が組織の寿命より長くなった そのため全く新しい問題が生まれた」(byドラッカー)
ところで、番組の字幕でドラッカーのことを「ドラッガー」と書いてあった。Peter Ferdinand Druckerだから、最後は濁ることはないのだが・・・。経済番組を標榜しているくせに、こんな誤植は許せないな~~。
経済学関連の用語として出てきたのは。
・トレードオフ
・機会費用
・サンクコスト
 ※新人研修を終えた新入社員に20万円渡すから会社を辞めないかというのは、サンクコストを利用したモチベーションアップなのか?
・時間割引(割引現在価値)

カンブリア宮殿(2012/12/20放送分)

角上魚類がテーマ。個々は日本海で獲れた新鮮な魚介類を専門に販売している魚介類専門店。社長は栁下浩三氏。
まとめると、
・日本海側の市場で仕入れた魚を各店舗に直送(関東で築地市場にかけない)
・品揃えが豊富
・対面販売
 ・店員が魚介類の知識、調理方法もアドバイスできる
 ・切り身にするなどのサービス
・売り切るための工夫(ロス率0.05%~普通のスーパーの魚介類ロス率が6.6%)
 ・売れ行きをリアルタイムで把握し、刺身や寿司用あるいは唐揚げに加工したりする
・売れ筋の商品でも高値であれば仕入れない
 ・安めの魚を大量に仕入れるが、工夫して売り切ることで利益率の向上に寄与
 ※スーパーなどでは廃棄ロスを避けるため、高くても売れ筋の定番魚を仕入れる
・店員への徹底した教育
 ・包丁を使ったこともない新入社員に一から使い方を教え込む
 ・各店舗のトップ調理人を集めて更なる上を目指すための研修を行う
要は、魚の知識が無い消費者に、食べ方ごと提案していると言うこと。
もともとは、新潟寺泊地区で魚介類の卸問屋をしていたが、昭和40年代にスーパーマーケットが台頭してきて、卸では太刀打ちできないことになり、小売に進出。その後関越自動車道開通により関東へ進出。海のない群馬の高崎などで食文化を変えたとして高崎の市長から表彰されたこともあるそうだ。最初はフランチャイズによる展開も行ったそうだが、フランチャイズだと個店に目が届かず、2日目、3日目の魚も売ったりしており、そういった店からは自然と人が離れていったそうだ。
来店者が目的買いではなく、店員との対面で今日の料理を決めるというような状況を演出しているという気がした。その提案型の販売が、お客様に受けていると言うことなんだろうな。

アジアの風(2012/12/22放送分)

薄くて軽い防音材(一人静:ひとりしずか)を騒音の多い香港に売っていこうという話の後編。会社は神奈川県大和市にある株式会社静科。
(前編は・・・書くの忘れた)前編では、一人静の性能の話と、現地コンサルタントの評価だった。で、かなり評価が高かったので、後編は実際に専務が現地を訪問して市場性を見てみるというもの。
でも、一般住宅向けではさんざんな結果に・・・。現地のアパートはコンクリートの打ち付けにパネルを貼る構造が多く、防音という意識は全くないと言うこと。うるさいことに慣れている様な感じで、1平米当り8万円もする今回のパネルを購入しようという話には全くならず・・・。
で、後半はターゲットを変えて音響を扱うような施設に売り込み。行ったのはカラオケ店で、そこではかなりの高評価を得ていた。実は、製品としては、厚さ33mmの一人静と、その厚みの半分でそれだけ防音効果は弱い製品の2つを準備しておいたらしく、その薄い方の評価が高かったと言うこと。
ま、日本人の意識で、うるさいから防音材が売れるだろうという発想は単純すぎたと言うことかも。音響の管理が必要なカラオケ店や、静かさが売りのサロン、などターゲットを変えて売り込む必要があるなという結論だった。

アジアの風(2012/12/08放送分)

現代版オート三輪を東南アジアに売っていこうという、株式会社日本エレクトライクがテーマ。
昭和40年代くらいまで日本で走っていたオート三輪を現代風の電気自動車にしたもので、エレクトライクという名前。特性としては、四輪車よりも小回りがきき、二輪車よりも安定しているというもの。何となくタイのトゥクトゥクというタクシーを連想させるもの。カーブでの安定性を確保するために、後輪は左右独立のモーターで制御を行っている。というが、減速しながらステアリングを切るとやはり不安定になるのでは?と思ってしまった。
開発の歴史の中で、やはり最初はタイのトゥクトゥクを輸入してみたのだそうだ。しかし、寄せ集めの部品で作られていて重量も重いことが判明し、自力開発に踏み切ったと言うことらしい。しかし、すべてのパーツを一から作るというわけではなくて、ボディはインド製の三輪自動車をそのまま流用し、バッテリーは中国製のものを積み、というように、いいとこ取りをしている感じだった。
で、このエレクトライク、国内であれば、宅配などの需要がありそうだと思うが。
これを東南アジアに売っていこうというものだが。価格がやはりネックかな。
で、評価だが、やはり価格の評価が最低だった。現時点での販売価格が100万円というから高すぎる。しかし、シンガポールでは価格はそこまで低い評価にはならなかった。
また、シンガポールは東南アジアのショールーム的な性格があるということなので、そこで開発して売っていくことが東南アジアで市場を広げていくうえで重要なのではないかと言うことだった。

この会社の役割は開発というよりも組立という感じのような気がした。たしかに、左右独立のモータ制御をステアリングと連動させるのは一つの技術だが、それほど高度なものでもないので、模倣もされやすいのでは?あまり、優位性というものを感じないなぁ。

マネーの羅針盤(2012/12/08放送分)

韓国の現状を読み解くというもの。
サムスン、LGなどに代表される韓国企業は日本のお家芸である家電を席巻してきたが、その韓国も今経済の曲がり角にたっている状況と言われている。というのも、ウォン安が進んでおり、輸出企業にとっては大打撃になっているというもの。
その中で、19日に韓国大統領選挙が行われる。注目は与党の、韓国史上初の女性大統領の座を狙う朴候補(朴正煕元大統領の令嬢)であるが、いずれの候補も、現在の財閥に対して規制をするという方針は変わらない(温度差はあるようだが)。
韓国では1998年の経済危機の時に政府主導で企業の再編が進められて、国内メーカー同士の競争を回避するようになり、急速に力を付けてきた。一方で、そういう財閥に属さない多くの市民には、財閥に対する批判的な意見が多い。
で、大統領候補もそういう市民の票を取り込むべく財閥批判を繰り広げているというもの。しかし、財閥は一方で韓国の経済を引っ張ってきたのも事実であり、どの程度の規制をかけるかに関しては、難しい舵取りが必要となる。

韓国内の財閥(サムスン、LG、ヒュンダイなど)の平均勤続年数を見るといずれも20年以下であり、特にサムスンは10年を下回っていた。人気が高く入社競争が激しいうえ、欧米的な成果主義の導入により社内でも常に競争が行われており、入れ替わりが激しいと言うことらしい。

韓国では、出生率が日本を下回っており、今後急速に少子高齢化が進むことが予想されているということだった。

オイコノミア(2012/12/04放送分)

「もっと休んじゃダメですか!?」(前編)と題して、仕事と余暇(ワークライフバランス)の問題を経済的な視点から捕まえようというものの前編。
まずは、1987年の労基法改正で週48時間⇒週40時間に減少したというもの。だが、これは全体の統計的な誤りであり、非正規社員が増え、彼ら(パート、アルバイト)の労働時間が短いため、全体的に少なくなっているようなものだそうだ。正社員に関しては採用や教育コストがかかっているので、長時間労働させるほうが企業としては良い。
一方で、ワークシェアリングというものが一時期はやったが、うまく行っていないというのが現実。
歴史的な話の中では、古代ギリシアでは、労働は奴隷がする卑しいものとされ、一般市民は労働せず、思索や哲学にふけったと言うこと。古代ギリシア語の余暇(スコレー)が、学校(スクール)や学者(スカラー)の語源だというのは初めて知っておもしろかった。
次は、余暇の長さの決定要因の話。講師は川口大司(一橋大学大学院准教授)・・・。やっぱり機会費用の話が出てきた。余暇需要曲線というのは初めて見たが、普通の需要曲線と同じで右下がりだった。で、ここからは笑ってしまったが、余暇に関して「代替効果」「所得効果」の話をしていた。でも、効用曲線も出てこなかったし、グラフの傾きも変えなかったけれど、これでは説明不足だ!
後半は、佐々木常夫氏が登場。彼は時短の専門家であり、部下を定時に帰らせたこと(当然効率も落とさずに)で有名。彼の提唱する時短のキモは
・隙間時間は無尽蔵
・無駄な仕事を切る
・80%を目指す
・プアなイノベーションより優れたイミテーション
だそうだ。う~ん、分かっててはいても実現できる人はどれだけいるだろう。
最後は、ケインズが孫の世代では週15時間労働になっているだろうという予測が外れたというもの。つまり、我々は効率が上がった分を新たな消費に使ってしまい、よりよい生活を送ろうとしたため、更なる労働が必要になったというもの。人間の欲望というのは果てしない・・・。

ガイアの夜明け(2012/12/04放送分)

【ニッポンの生きる道⑦ヒット商品を生み出す ニッポンの農家】
農業の6次産業化の話。番組では、1次×2次×3次=6次と言っていた。もともとは、足し算だったと思うが、今はかけ算と言うことらしい。でも、かけ算だったら1次は要らないじゃん・・・と揚げ足を取ったりして~~。
前半は「ファームデザインズ」という北海道の酪農家の話。経営者は海野康彦氏で、北海道で酪農に携わっているほかに、その生産品である牛乳や牛肉に付加価値を加えて売っていく、というもの。ソフトクリームを始めとするスイーツは全国で開催される物産展で大人気だし、牧場敷地内で経営しているレストランも繁盛している。
後半は群馬県内でこんにゃくを栽培している農家であり「グリーンリーフ」という農業法人の社長でもある澤浦彰治氏。こんにゃくは、ヨーロッパではほとんど知られていない。そういうところに新たに売っていく過程を紹介したもの。

今回の6次産業化はいずれも生産から加工販売まで自分で行うもので、まさに6次化のお手本のような話だった。6次化では、農業が主体的活総合的に関わることが重要なので、他の産業の事業者と連携していくという事例も見たかったな。

ガイアの夜明け(2012/11/20放送分)

【町工場からお茶の間へ!~職人たちが大ヒット商品を生んだ~】
日本の中小製造業が下請から脱却して独自に家庭向け商品を開発して販売していく話。
と言うわけだが、つかみは三重県にある錦見鋳造の「魔法のフライパン」。以前アジアの風で紹介されていたものだな~ブログでも書いたよ~。同じテレビ東京系の番組で取材情報を共有しているな、きっと!。
前半は、ネジザウルスが大ヒット中の「株式会社エンジニア」。もともとは、プロ向けの工具を作っていたメーカーだが、リーマンショックで売上高が激減した結果、一般家庭でも「外れないネジがあるはずだ!」という信念のもとに開発したもの。
後半は、陶器の型師が、今までにないどんぶり茶碗などを作るという話。ニット編みのような繊細な模様の凹凸があるユニークなものだった。あんな茶碗はほしいなと思ったが、長年使っているとへこんだ部分に汚れがたまらないかな?

いずれにしろ、技術を製品化するノウハウが必要だね~。

オイコノミア(2012/11/20放送分)

「スポーツ選手が夢だった・・・!?」(前編)
スポーツをテーマにした経済学の話の前編。今回は大竹文雄教授がゲスト。でも、寄せ集めの内容だった。一つ一つはおもしろかったけれどね。
・U19では早生まれが有利というのは、U19は「数えでその年に19歳になる人」までが参加できるため。つまり、早生まれのほうが年上となり、競技では有利になる。学業では逆に早生まれはマイナスになることが多い。
・ルイス=シュメリングの逆説は、ボクシングの試合に関する話であり、経済学上に初めて登場したスポーツの話題である。意味は、「圧倒的に強いものと弱いものとの試合よりも、実力が拮抗しているもの同士の試合のほうが観客動員が多くなる」というもの。試合の結果が予想できないので、多くの人が興奮するということ。一般的には圧倒的に強い選手やチームを育てることが興行的に成功するように考えられるので、「逆説」となるわけ。番組では登場しなかったが、プロ野球で巨人が圧倒的に強かったときに人気も高かったことをどう説明するのだろうか?。その後のプロ野球の衰退はまさにそうかも知れないが。
・ロンドンオリンピックのバトミントンの予選での、無気力試合については、始めから決勝トーナメントの組み合わせが決まっているので、どのチームも出来るだけメダルに近づこうとして、組み合わせが有利になるように予選でわざと敗退したというものだが、これはそういう仕組みを作る側に(も)問題があるということ。各国チームがメダルを目指しているのであれば、そのために全試合全力でプレイするインセンティブが働くような仕組みを作る必要がある。
・国別のメダル数の予測方法で、とある経済学者がロンドンオリンピックの国ごとのメダル数を予測していたが、かなり良い数字だった。その予測は何を基にしたかというとGDPだった。GDPは「人口と一人あたりの所得の積」だが、国が豊かであれば、それだけスポーツに対する予算も付くというもの。そのため、GDPはメダル数の予測に使えるということだった。
・動くストライクゾーン、米国メジャーリーグではすべての投球のコースとその判定(ストライク、ボール)がネットにアップされているというのは初めて知った。これくらいオープンな取り組みを日本でもやってほしいものだな~。同じコースでもストライクとボールに判定が分かれるそうだ。例えば、ボール3の状況であるコースに投げたらストライクになったのに、ストライク2で同じコースがボールになるというような事例はよく見られるということだった。これは、不作為バイアスと呼ばれるもの。これは、自分の判断で結果に影響を与えたくないという心理が働くというもの。しかし、ここでの又吉さんの「サッカーでも厳しい審判がペナルティ・エリア内では笛を吹かない」という例示はすごいと思った。さすがサッカー好きなだけのことはあるな。

今回は広範なネタの寄せ集めという感が強かったが、初見の話も多かったので結構楽しめた。