ヒューリスティックスって便利?!(行動経済学と人工知能の話)

 最近ちょっと行動経済学の本をあれこれと読み返しているので、頭の中が行動経済学のことでいっぱいになっています。そこで、またぞや行動経済学からテーマを絞って文書を起こしてみたいと思います。

 というわけで、ヒューリスティックス(heuristic(s))の話です。カタカナ表記では「ヒューリスティックス」「ヒューリスティクス」(小さい「ッ」が入るかどうか)の2種類があるようですが、ここでは「ヒューリスティックス」で統一します。

 ヒューリスティックスとは人間の思考における重要な要素の一つです。また、コンピューターの分野でも簡便な問題解決方法の一つとして確立されています。人工知能においても当然必要な考え方になります。

 ヒューリスティックスがうまく働けば、我々は短時間で「最適解」にたどり着くことが出来ます(ここでは「正解」ではなく「最適解」という表現にしています。最適解は正解に近い解で実用上問題ないレベルの解のことです)。

 しかしながら、人間が誤った選択をするのもこのヒューリスティックスの影響によるところが多いです。コンピューターの世界であれば、操作する人間側がヒューリスティック法を「使う」「使わない」を判断すれば良いのですが、我々人間自身はヒューリスティックスを無意識で使ってしまっているので気をつけなければなりません。

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私はこれで恋に落ちた!! 行動経済学との出会い、モンティ・ホール問題

 米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授が2017年のノーベル経済学賞を受賞したことを記念して、私と行動経済学とのなれそめの話をしたいと思います。

 私が行動経済学を大好きになるきっかけとなったのが今回紹介する「モンティ・ホール問題」です。行動経済学というのは従来の経済学が「消費者はもっぱら「経済的合理性」にのみ基づいて、かつ個人主義的に行動する(するだろう)」事を前提にしているのに対して「消費者は時に「経済的合理性」にそぐわない(つまり、非合理的な)行動をとる」ことを前提としている経済学です。経済学的観点では行動経済学と呼ばれていますが、心理学的観点からは行動心理学とも呼ばれる学問分野です。従来の経済学では説明できない消費者の行動を心理学の知見を加えて解き明かそうというもので、両者の融合ともいうことが出来ます。

 実際にはモンティ・ホール問題は行動経済学の前提条件であるパラドックスとかジレンマとかの問題ではあるのでしょうけれど、とある行動経済学の入門書に掲載されていた問題であり、かつ非常に興味深い問題であったので、私は瞬く間に行動経済学の虜になったのです。

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