理論研修

 今年2月の中小企業診断士実務補習を一緒に受けたメンバーの一人から、「来週16日に理論研修を受ける予定だが、他に出る予定の方はいますか?」というメールが来ました。私は早速「出る予定です。」という返事をしました。私が返信するよりも早く別のメンバーの一人が返信のメールを出していましたが、その人は行けないそうです。何でも当日は別の用事があるし、平日は忙しくてそれどころじゃないし。というわけで、他県の理論研修を受けてきたそうです。
 この理論研修は、原則として毎年受けなければいけないので、結構大変です。そもそも、他の士業の資格では、更新制度というものをあまり聞きません。つまり、他の資格は、一度資格をとれば永久にその資格を保持できるのに、診断士は5年間に必要なポイントを獲得しないと資格を更新できません。そのポイントを獲得するために研修を受けなければならないのです。なんか不公平な気がします。
 例えば、医師。医療技術は日進月歩進歩しているのですが、町医者の方達はそういった最新の医療技術の習得をどのように行うのでしょうか。うーん。診断士に置き換えてみると、医師=診断士、患者=企業。そこで、人の体の仕組みというのは変化(進化)していくのにとても時間がかかります。それに対して、企業の仕組みの変化は激しいです。今度も新しい会社法設立の動きがありますし、新しい経営手法など星の数ほど出てきています。ということは、医師は人の体の仕組みについて一度学んだことを生涯にわたって覚えておけば、人の体を診断することはできます(治療するのは別にしてもね。)。それに比べて、診断士は受験時に覚えた知識だけでは、新しい形態の企業を診断するのは難しいと言うことになります。と言うわけで、やはり診断士は医師に比べて新しい知識の習得が必要になるのかな。
 弁護士についてはどうでしょう。新しい法律類が施行されることも多いとは思いますが。でも、弁護士の場合は、クライアントとの一対一の関係ではなくて、他の弁護士との係争や裁判所で裁判官に対する主張など必ず他の誰かとの関係が必要です。新しい法律や制度を知らなければ、そこで勝ち目はありません。ということで、弁護士は実務の中で自分で勉強していかなければ使い物にはならないと言うことになります。ということは、更新制度を設けなくてもいいのかな。
 さらに、他の資格についてはどうでしょうか。公認会計士や社労士や税理士などはそれぞれ専門の法律の改正が行われるたびに、その新しい法律の知識を修得しているのでしょうか。うーん。
 ま、更新制度の問題については、「更新研修で本当に新しい知識が身に付いたり能力が維持できたりするのか?」という問題もあるのは確かですが、結局はそれを受講する人の気の持ちようだと思うのです。前回、実務能力更新研修を受けたときも「この2日間は苦痛以外の何者でもない。」とおっしゃっていたかたがいました。でも、実際に受けてみると、私には企業の経営改善を真剣に考えて議論できた、良い2日間だったと思います。与えられた小冊子に書いてある少ない企業の情報から、その企業の問題点の革新を明らかにして、その改善策を提案するというプロセスは、(普段実務を行っていない企業内診断士のみとしては)たいへん参考になりました。
 それに、実務能力研修に関してだけ言えば、グループに分かれて討議しますので、グループ内メンバー同士のいろいろな話が聞けます。いろいろな業種の方が来られていますので、話を聞いていておもしろかったです。
 というわけで、今回の理論研修も楽しみにしています。研修の内容によってはとても眠たくなるそうですが、お金を払って受講するのですから、きっちりとその分は回収してくる予定です。