カルデロン一家不法滞在事件の結末

<国外退去>のり子さん残し、夫婦は比に帰国へ
3月13日15時8分配信 毎日新聞

 不法入国で国外退去を命じられ、家族3人での在留特別許可を求めていたフィリピン人のカルデロン・アランさん(36)=埼玉県蕨市=の一家は13日、東京入国管理局と協議。一家の代理人の弁護士によると、中学1年の長女のり子さん(13)を日本に残し、夫婦は4月13日に帰国することにした。のり子さんの2年生の始業式が4月8日に予定されており、両親は始業式を見届ける。のり子さんは親族に養育してもらうという。(Yahoo!ニュースより)

 この問題は、国の対応を含め、マスメディアで大きく取り上げられた。家族に対し同情的な世論をベースに、国の対応に批判的な論調が目立った。ここでは、少し視点を変えて、この報道を次の2点から論じてみたい。

1.家族への同情論について

 入国管理局の強制退去という決定に関して、罪のない娘も含めた強制退去はかわいそうだという同情論が支配的であった。しかし、同情はあくまでも同情であって、それによって法が曲げられてはならない。それでは法治国家とはいえない。3人一緒に帰国するか娘一人だけ在留するかという決定であれば、その中で出来るだけの支援をするのが同情ということではないかなと思う。そういう意味では、国外退去処分となった両親に対し5年の再入国不許可という規則を留保して短期の入国を認めるというのは、入国管理局側としても十分な人道的な配慮をしていると言える。偽造パスポートを使って不正に入国した罪は罪で裁かれなければいけない。その中で、お役所としては破格の人道的配慮をしている。支援者側もその事実を受け止めて、残される娘への今後の援助を考えていくべきだろう。

2.報道のあり方について

 こういう国民の同情を買いそうなニュースはマスメディアは飛びつきやすい。支援者がマスメディアを利用しようとして彼らに情報を流し訴えたのか、それともマスメディア側が嗅ぎつけてきたのかはわからないが、大々的に報道されたことで、入国管理局側もより厳格な態度を取らざるを得なくなったのではないかと思われる節がある。マスメディア、ジャーナリズムのあり方に関してはいつも疑問を持っているので、またマスメディアを批判するのだが。しかしながら、マスメディアによる事件報道が類似犯を呼び、批判報道が相手を頑なにするということは、過去に何度も起こっている。今回も大々的に報道されたことで、入国管理局側を強硬な姿勢に追いやったのではないか、といえないこもない。マスメディアの功罪は、誰が断じてくれるのだろうと常に思わざるを得ない。

 ま、いずれにしろ、入国管理局側の示した措置に従うということで、まずは一件落着ということだろう。

2009年3月13日 | カテゴリー : ニュース | 投稿者 : assak