スペース・デブリがISSに接近!

宇宙ごみ急接近、一時避難=ISS乗員3人が脱出装置に
3月13日6時14分配信 時事通信

 【ワシントン12日時事】米航空宇宙局(NASA)は12日、国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙ごみが衝突する恐れがあったため、滞在中の3人の乗組員が緊急脱出装置に一時避難したと発表した。宇宙ごみは通過し、衝突を免れた。
 宇宙ごみは長さ8.5ミリほどだったが、時速約2万8000キロで周回しており、ISSに衝突していれば大きな被害が生じた可能性があった。
 NASAは宇宙ごみがISSから約4.5キロ以内に接近する危険性を予測。ISSの位置を変えて衝突の危険を回避する時間がなく、マイケル・フィンク船長ら米国とロシアの乗員3人はISSにドッキングしているロシアの宇宙船「ソユーズ」の脱出カプセルに約10分間避難した。(Yahoo!ニュースより)

 宇宙ゴミ(スペース・デブリ、以下デブリ)に関しては以前ここでも述べたことがあるが、実際にその影響が報じられるのは初めてではなかろうか。先日(2009年2月12日)も、人工衛星同士が衝突して大量のデブリが発生したばかりだが、今回の報道を見るとデブリの問題が、宇宙開発に与える影響については今後深刻になっていくことが予想される。そして、デブリによって他の人工天体が破壊されその破片が新たなデブリとなり、更に衝突の危険を増加させ、最終的に地球の周りがデブリだらけになって人工天体を打ち上げられなくなるという、ケスラーシンドロームの発生も現実味を帯びてきた。

 デブリに関しては、ある程度大きなものであれば地上から観測・追跡が可能であり、衝突の危険を予測しそれを避けることも可能である。また、小さなものであればデブリ除けのバンパーを設けるなど衝突しても被害を最小限に抑えることは可能である。しかしながら、2者の間の大きさのデブリに関しては、地上からの観測が不可能であり、衝突により甚大な被害が生じることもあり、人工天体にとっては非常に大きな脅威となっている。実際、長期間宇宙空間に浮かべられていた人工衛星の太陽電池パネルなどは数多くの小さなデブリの衝突痕が観測されるという。

 デブリ対策の基本は、地球上でのゴミ問題と同じで、デブリを発生させないことが最上の方法である。ロケットを打ち上げる段階で、宇宙空間で切り離される下段のロケットエンジンや燃料タンクなどは、大気圏に落下するとか、墓場軌道に乗るように設計するとか、が必要になるだろう。また、すでに存在するデブリに関しては一つずつ確実に回収していく必要がある。レーザー光線を照射してデブリを溶かしてしまうという方法も考えられているというが、大きな施設が必要であるので、ISSのような大規模な天体でないと難しいかも知れない。

 いずれにせよ、デブリの問題は今後の宇宙開発にとって非常に大きな問題である。それにしては、各国の宇宙開発機関がこの問題に対してあまり熱心に対策を講じてないように思うのは私だけであろうか。人命が失われるような大きな事故が発生してからでないと、本腰を挙げないのであろうか。(それこそ、プラネテスの世界であるが。)

2009年3月13日 | カテゴリー : ニュース | 投稿者 : assak