9月6日(水)に大規模な太陽フレアが観測され、発生したコロナガス及び高エネルギーのプロトン粒子が地球に飛来する

国立行政法人情報通信研究機構(NICT)によると、9月6日(水)に大規模な太陽フレアが観測された。規模は通常の1000倍で、同規模の太陽フレアが発生したのは11年ぶりのことという。(元記事は情報通信研究機構のPR

今回の太陽フレアによって高温のコロナガスが地球方向に噴出したこと、及び高エネルギーのプロトン粒子の増加が確認されたことが発表された。

地球への到達は9月8日(金)以降となり、通信衛星、放送衛星などの人工衛星への障害やGPS測位精度の低下、短波通信や地磁気変動に伴う送電線への影響などが生じる恐れがあるそうである。

宇宙天気情報センターのページでは、太陽の活動状況及びその活動に伴う地球環境への影響などを「宇宙天気情報」として公開している。

宇宙天気情報では「地磁気嵐」「デリンジャー現象」「Eスポ」「フレア予報」や航空関連への影響度が表示されている。

それによると、高エネルギー粒子や地磁気攪乱の予報、及びプロトン現象の予報に「!」マークが付いて警戒を呼びかけている状況である。

そもそも、太陽フレアとは太陽の表面で起こる爆発現象のことであり、その発生機構に関しては太陽表面の磁気エネルギーの変換が起きる際に発生するという説が有力である。太陽は地球と違って磁気が複雑に絡み合っている。磁力線の移動や発生・消失も頻繁に起こっている。磁力線が太陽の表面を貫いている場所が黒点と呼ばれる場所で、そこは太陽活動領域と呼ばれている。

太陽フレアが発生すると、多くのX線、γ線や高エネルギーのプロトン粒子(プロトン=陽子)が発生する。黒点の付近で発生するため、地球上から黒点が見える場合(つまり黒点が地球方向を向いている場合)その黒点が太陽フレアを起こすと、その放射線及び高エネルギー粒子は地球に到達する可能性がある。

地球は地磁気によって強力な磁界を発生(磁気圏を構成)しており、通常程度の荷電粒子は地磁気の影響を受けて地球表面に届くことはない。一部の高エネルギー粒子は磁気圏に沿うように極方向に誘導され、オーロラとして観測されることがある。しかしながら、大量の高エネルギー粒子が飛来すると磁力圏を突破して、地球の近くや大気圏内に侵入することもある。また、高エネルギー粒子の影響により地磁気そのものが影響を受けることもある。

X線、γ線や高エネルギーのプロトン粒子は、宇宙飛行士や人工衛星を被曝させるのはもちろんのこと、国際航路など高空を飛行する航空機の乗員・乗客をも被曝させる可能性がある。また、大気圏にある電離層に障害を発生(デリンジャー現象など)させ、電離層を使って長距離間の通信を可能にしている短波通信などに影響を与える。

また、地磁気の変動が起こると、高圧電線などに急激な電位の変化が発生し変電所の設備などが損傷し大規模な停電が発生する可能性がある。

太陽フレアは発生するX線の強度によってその規模を等級づけしている。今回の太陽フレアの規模は一番大きい分類であるX級となっている。

ということで、今回の太陽フレアでは大量の高エネルギー粒子が放出されたことが観測されたため、各方面に注意を呼びかけている次第である。

日本はこれから太陽の影に入る夜を迎えるので直接的な影響を受けないとする意見もあるが、プロトン粒子は今後しばらく量の多い状況が続くことが想定されるので、影響がないとはいえない。また、軌道上の人工衛星などが損傷すると、放送・通信等に中長期にわたる影響を被る可能性がある。

2017年9月8日 | カテゴリー : 飛行機 | 投稿者 : assak