役に立たないからこそ・・・AIBOとASIMO

 随分前のハーバードビジネスレビューにSONYのAIBOとHONDAのASIMOの話が載っていました。当然、ロボット好きな私としてはその記事を読んだものです。随分前だったのでうろ覚えなのですが、次のようなことが書いてありました。
 HONDAは、「世の中の役に立つロボットを作ります」と宣言し、それを実行に移した。その途中経過としてASIMOが生まれたとありました。しかしながら、ASIMOに至るまでには相当な研究開発費と時間をかけてきましたが、そのASIMOですら、「役に立つロボット」というレベルからはほど遠い状態です。せいぜい歩くくらいしか役に立たないと言うことです。(そういえば、ASIMOはこけると大破するのかな。AIBOは日常茶飯事にこけるけど。)
 それに対して、AIBOは「役に立つロボット」という呪縛から離れて、「全く役に立たないロボット」として誕生したとありました。全く逆のコンセプトですね。今の最新のAIBOであれば屋内の様子を撮影してメールで送るなどという「留守番機能」を持っていますが、初期のAIBOは全く役に立ちません。(^_^;)
 でも、今のところ、AIBOはビジネスとしては成功して、ASIMOはまだまだ成功したとは言えません。(ASIMOは各地のイベントなどに貸し出されているようですが、開発費を回収するほどの活躍はしていませんよね。)
 「役に立つロボット」というのは、ロボット開発者の悲願とも言うべきものなのかも知れません。(鉄腕アトムに代表されるようにね。)でも、あえてそのコンセプトから外れて「役に立たないロボット」あるいは「てのかかるロボット」を作ったことに、SONYの成功があるというわけです。・・・SONYが最初からそれを目指していたのかどうかは分かりませんが。
 「革新者=>初期採用者=>前期追随者(前期多数者)=>後期追随者(後期多数者)=>遅滞者」といえば、新製品の普及過程で出てくる消費者の態度のカテゴリーです。私はどこに分類されるかというと、革新者と初期採用者を行ったり来たりというところです。彼らは(というか私たちは)、初めて世に出てくる新製品に「便利さ」も求めますが、「夢」なんか求めたりするのです。(^_^;)
 だから、HONDAも「役に立つロボット」というコンセプトに縛られっぱなしではなくてもっと「非実用的なロボット」を製品化して我々に夢を与えてみては?でも、HONDAのイメージからは、そういった製品を作ることが考えられません。あぁ、それもHONDAの呪縛なのかな?