西部方面の防空力強化が・・・。

中国軍機 民間機装い偵察飛行 東シナ海 自衛隊電波を収集

 中国空軍が昨年十月以降、数回にわたり、民間機を改造した電子偵察機を東シナ海の日本の防空識別圏に侵入させていたことが七日、分かった。中国はガス田周辺で電波収集を強化しており、民間旅客機を装うことで、自衛隊のレーダー情報をより多く引き出す狙いがある。戦闘機の攻撃には相手のレーダーを無力化することが不可欠。中国の偵察活動はそれに備えて自衛隊の電波を分析するのが目的とみられ、東シナ海は「情報戦」の様相を呈してきている。

(産経新聞) – 1月8日3時12分更新

 現在、西空の第8航空団(築城)は第6飛行隊がF-1からF-2への機種変更を進めている最中で実質的には第304飛行隊のF-15しかありません。(第6飛行隊は現在スクランブル任務に就いていません。今年3月に機種転換が完了すれば再びスクランブル任務に復帰するのでしょうが。)そして、第5航空団(新田原)は、第301飛行隊のF-4EJ改しか装備していません。(ま、新田原には、飛行教導隊と第23教育飛行隊がいますが・・・。)南西航空群(那覇)は、同じくF-4EJ改しか装備していないのです。つまり、九州沖縄にある実戦部隊は、F-15が1飛行隊とF-4EJが2飛行隊しかないということです。F-15はともかくF-4EJは隣国の航空装備に比べるとかなり劣っていると考えられます・・・。というわけで、九州沖縄地区の防空体制が相対的に弱い状態です。

 これは、もともと旧ソ連を意識して北部に新装備を集中していった名残なのです。現在のロシアが潜在的な脅威であることは間違いないのですが、それよりも西部方面の防空能力強化が喫緊の課題ではないのでしょうか。

 実際、スクランブルの回数も西部方面を中心に増えています。

空自、対中の緊急発進が最多に 上半期30回 ガス田付近周回

 航空自衛隊の中国軍機に対するスクランブル(緊急発進)が急増し、今年度上半期(四-九月)だけで計三十回あったことが八日、空自の内部資料で明らかになった。十月以降も数回あったため、対象機の国別集計を始めた平成七年度以降で、過去最多だった平成十年の三十回を既に超えた。中国がガス田開発を進めている日中中間線付近で、中国の洋上哨戒機Y8Xなどによる周回飛行が続いているためで、空自幹部は「交信、電波情報を収集している」と分析している。
 中国軍機以外を含むすべての緊急発進回数も、今年度上半期は昨年同期(九十二回)を上回る計百三回にのぼっており、年間回数も昨年度(計百四十一回)を超えるいきおい。
 資料によると、今年度上半期はロシア機に対する緊急発進も七十二回と例年よりやや多かった。
 中国軍機の活動活発化に伴い、西部航空方面隊の築城(ついき)基地(福岡県)、新田原(にゆうたばる)基地(宮崎県)からの緊急発進は今年度上半期で二十八回と過去二年の回数を上回っており、フル稼働の状態になっている。

(産経新聞) – 11月9日2時52分更新

 以前、那覇のF-4EJを百里のF-15と入れ替えることが検討されているという話を聞きましたが、あの話はどうなっているのでしょうか。

 戦闘機のアップグレードとともに作戦を支援する航空機の強化も必要なのでは・・・と思ったりします。東シナ海のガス田を巡る中国軍機の活動は今後も継続していくでしょう。

 そこで、防衛庁も考えたようですね。

東シナ海領空侵犯 武器使用の「任務」明記 防衛庁、戦闘機応戦を強化

 東シナ海で、中国軍機による日本の防空識別圏への侵入が急増していることを受け、防衛庁が領空侵犯対処を強化することが三日、分かった。現行では、戦闘機の武器使用は「正当防衛」などに限定され、しかもその判断はパイロットに委ねられている。こうした曖昧(あいまい)さを解消するため、交戦規則(ROE、部隊行動基準)に、武器使用を明確に「任務」と明記し、指揮官の命令などに基づき応戦できる状況や手順を規定。艦艇と連携した共同対処の検討にも着手する。
 軍用機などの国籍不明機が日本の防空識別圏に侵入すると、領空侵犯を防ぐため、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)する。そして、不明機に近づき針路変更を勧告し、相手がこれに従わず領空に入った場合、退去か、飛行場への強制着陸を警告する。
 この際、相手が抵抗し機関砲などを発射すれば、航空自衛隊の戦闘機は応戦できる。つまり「正当防衛」「緊急避難」に限定されているのであり、武器を使用するかどうかを判断するのは、パイロットだ。これまでは、パイロットが武器を使用し相手に危害を加えた場合、パイロットが刑法の処罰対象になる可能性があった。そのことは「パイロットが武器の使用をためらい、対処が遅れ撃墜される」(制服組幹部)という事態を招きかねず、武器の使用と応戦の問題は、長年にわたり懸案となってきた。
 防衛庁はこうした現状を解消するため、具体的には、自衛隊法九五条の「武器などの防護」を適用。戦闘機という「武器」を守るため、航空方面隊司令官などの指揮官が状況に応じて、パイロットに武器使用を命令できるようにする。すでに内閣法制局の審査を終えており、関連規則改正などの検討や、発射を命令できるケースの検証に着手した。
 こうした動きを促したのは、中国軍機の防空識別圏への侵入が急増していることだ。平成十七年度は、過去最多だった十年度の三十回をすでに超えており、とりわけ東シナ海にあるガス田周辺への電子戦機の侵入が著しい。自衛隊の警戒部隊が「定期便」と称しているほどだ。
 また、日本の「帝国石油」が試掘に入れば、中国海軍の艦艇が警告射撃などで妨害してくる事態も、政府は想定しており、海上保安庁の巡視船や海上自衛隊の護衛艦を派遣することも視野にある。中国軍機の動向を監視するには、海自の電子戦データ収集機や艦艇のレーダー情報も重要だ。スクランブルで出動した戦闘機が、海自の航空機を防御することも不可欠となる。
 だが、領空侵犯対処での武器使用は、自機や、これと「一体的に行動する戦闘機」に限られている。
 このため、空自の戦闘機が海自の艦艇などを守るために武器を使用できるよう、武器使用の適用範囲をさらに拡大することも検討課題だ。

(産経新聞) – 1月4日4時51分更新

 今までは、スクランブルで発進した迎撃戦闘機は相手方からの発砲がない限りこちら側から攻撃はできませんでした。従って領空を侵犯されても指をくわえてみているしかなかったのですね。(もちろん外交ルートで抗議するのですが。)

 今回の対処能力強化は、部隊指揮官の判断で武器の使用が可能になるというもの。部隊指揮官は所属基地にいますから、緊急時に無線ですぐに指示を与えられるものと思います。というわけで、交戦規則をやっと作るようになったのでしょうか。そもそも交戦規則を持たない軍隊なんてあり得ないんですけどね。交戦規則がないと、いざというときに自国の財産を守れないと思いますが。

 かなり、軍事色が強い内容になってしまった・・・(^_^;)。

西部方面の防空力強化が・・・。」への1件のフィードバック

  1. とっくに明けてますが(^^ゞ
    新年明けましておめでとうございます。
    確かに昔は"北の脅威"と言えば旧ソ連でしたね・・・。
    北部方面の充足率が、未だに他を圧倒しているのもその名残でしょうし(^^;;
    せめて、「衛る人達」が現場で自分達を護れるようにして欲しいと思います・・・

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