ボルテックス・ジェネレーター

 「ボルテックス・ジェネレーター」をインターネットの検索サイトで検索すると、なぜか、三菱の「ランエボ」が引っかかりました。元々は航空機で使われている技術ですが・・・。
 今は、一敗地に塗みれた三菱です。しかし、さすが航空機メーカーですね。ユニークなものを搭載しているものです。
 ボルテックス・ジェネレーターとは、渦流をわざと発生させて境界層のはく離をおきにくくするのを目的とした航空機(翼)の機構です。なんのこっちゃといわれそうですね。少し詳しく説明すると、翼の表面を流れる空気は空気自体の粘性のため翼の表面に近くなるに従ってその流速が遅くなります。その流速の不均一な層のことを境界層と言います。さらに、境界層には層流境界層という乱れの少ない境界層と乱流境界層という乱れた境界層があります。乱流境界層のほうが翼にかかる空気抵抗は少し大きくなります。しかし、乱流境界層のほうが、はく離しにくくなります。境界層がはく離することが「失速」と呼ばれる現象であり、操縦不能や墜落を引き起こす大変危険な現象です。
 つまり、ボルテックス・ジェネレーターは、積極的に乱流境界層を発生させて翼を失速させにくくするために設けます。
 車にオプションでエアロパーツを取り付けるように、航空機にボルテックス・ジェネレーターを取り付ける、そんな部品を売っている会社があります。「マイクロ・エアロ・ダイナミック社」です。ここに、ボルテックス・ジェネレーターの働きを解説したページがあります。
 航空機では、補助翼の手前にボルテックス・ジェネレーターを設けて、補助翼の効きをよくするということが行われています。
 ランエボでボルテックス・ジェネレーターの効果を発揮させるためには、随分と速度が必要な気がします。果たして効果は如何に。
 閑話休題 (^_^;)
 で、何でボルテックス・ジェネレーターの話になったかという理由です。それは、乱流のほうが安定するという逆説的な現象が、なぜか今月号の「日経システム構築」の特集である「どんとこい仕様変更」の記事と頭の中でリンクしたからなのです。
 この特集記事では、仕様変更を忌避するのではなく、仕様変更は最初から発生するものと考えてシステム構築に望みましょうという趣旨で話が進んでいきます。確かに、今までのシステム開発はどうしても仕様変更をおこさないことに主眼が置かれていました。ところが、どんなに頑張っても仕様変更というものは発生するのです。であれば、逆に仕様変更が発生することを前提としたシステム開発をやってみてはという提案がなされています。発注側(ユーザー)とベンダーとで、仕様変更の定義を明確にして、仕様変更が発生した場合の取り決めをしておき、実際に発生する仕様変更に柔軟に対処していきましょうと言うことです。
 仕様変更はできるだけ手前のフェイズで発生させることにより、手戻りを最小化できます。この考え方が、私の頭中では、ボルテックス・ジェネレーターの考え方と重なったのでした。(^_^;)
 今やっているシステムも「仕様変更」が発生しそうです。どうせ仕様変更がでるのであれば、できるだけ早く発生させなければ。ボルテックス・ジェネレーターを設置しよ。(^_^;)