今回のサブタイトルは【安さと高機能を両立させろ】で、紳士服のアオキ(AOKIホールディングス)の社長、青木擴憲(あおきひろのり)氏がゲストである。
まずは、紳士服量販店の状況とアオキの沿革について
紳士服業界は、バブル崩壊で市場が縮小している。現在は、青山とアオキの2大系列のみが生き残っている状況である。そのなかで創業者がいまだ現役なのがアオキということだった。
青木社長の話を聞いていると、やはり企業の発展には強い思いというのが重要だと感じるな。彼の思いは「当時着たきり雀といわれていた若手のビジネスマンに毎日着替えられるように、低価格で紳士服を提供したい」ということだった。また、「オーダーメイドの品質は落とさないで作る」と言うことだった。
次は、紳士服量販店の謎について
閉店セールが「店舗改装のため」とあっても実は季節の変わり目(の在庫一掃)という理由だというのは何となく気づいていた。いつもやっているものね。
紳士服量販店の価格のからくり、つまりよくある「2着め1,000円」とかでなぜもうけが出るのかについて、の解説では、あの「吉本佳生」先生が登場していた。このひげの先生、最近又テレビの露出が増えているような気がするな。ま、それはさておき、紳士服の原価って凄まじく安いんだというところには驚かされるが。
さらに、アオキの取り組みについて
機能的なスーツづくりのため、糸の開発から始まり、大学(信州大学繊維学部)と連携している。大学で着心地という定性的な指標をアカデミックなアプローチで定量化していくとか、熱をブロックする加工法の開発とか、商品開発に余念がないという印象だ。
中国の下請縫製工場に対して品質管理のため重役が巡回するなど、品質管理に対する取り組みもすごいな。特に、ボタンに関しては一つ一つ手作業で縫い付けているのは驚いた(機械じゃないんだ!他のスーツメーカーはどうだろう)。青木社長は「朝出かけるときに取れたらすごくショックだから絶対に取れないようにした」ということらしいが。そういえば、私の着ているスーツにもアオキのものがあったが、ボタンは取れたかな?私は特に販売店にこだわらないので、各社のスーツが混在しており、どれがどれだかわからない。
さらに、家庭で丸洗いできるような技術とかも10年かけて編み出したとか。
最後は販売戦略について
アオキは、これまでは典型的なロードサイド(郊外型)店舗展開なのだが、最近では「平日昼間に客が少ない」とか「車離れが進んでいる」とかで、都心回帰をしているそうだ。自社オフィスの近くに店舗あれば、客が末永く買ってくれて常連になるというメリットもあるらしい。
そして「ORIHICA」という新しいブランドも立ち上げていた。確かに「AOKI」のブランドは過去の経緯もあり陳腐な安売りスーツというイメージがある・・・と私は感じている。そういったイメージを嫌悪する中堅ビジネスパーソン向けに新たにおしゃれなブランドとして青木の名を冠しない店舗を展開しているそうだ。
確かに都心回帰の波は今後大きくなるかも知れない。そして地方都市にも波及していくのかも知れない。そういうところにいち早く着目しているあたりはすごいな。