新元号「令和」が本日発表され5月1日(水)から移行しますが、こちらは平成30年度補正予算の話です。補正予算は翌年度に施行されるので、平成31年4月~令和2年3月の予算ということになります。というわけで、事業承継補助金の公募開始の案内です。
日本では多くの中小企業・小規模事業者が事業承継の時期を迎えています。しかしながら、後継者不足等により事業を廃業しようとする中小企業・小規模事業者も多くいます。中小企業・小規模事業者が蓄積してきた技術やノウハウは日本の経済力、技術力の源泉です。それら技術やノウハウが事業者の廃業によって散逸することは、日本経済の失速停滞や日本の技術力の低下を招くことになります。
そこで事業承継補助金を活用することにより事業承継を後押しすることで、積極的な世代交代を促し日本の産業を活性化させようというのがその狙いです。
事業承継補助金は平成30年度の第2次補正予算ですので、新元号が始まる今年度においても平成30年度の名前で呼ばれます。
事業承継補助金の案内はこちら。
事業承継補助金の公募要領はこちら。
本記事では、事業承継補助金の公募要領からその大事な点を抜粋して紹介します。
事業承継補助金の目的
「事業承継補助金」は、後継者不在等により、事業継続が困難になることが見込まれている中小企業者等が、経営者の交代や、事業再編・事業統合を契機とした経営革新等を行う場合に、その取組に要する経費の一部を補助することにより、中小企業者等の世代交代を通じた我が国経済の活性化を図ることを目的とします。 (公募要領より)
本補助金は、中小企業・小規模事業者等の単なる事業承継ではなく、経営革新等の取組をすることが必要になります。つまり、今までに無い新たな取り組みを実施するなどが必要になるということです。単に後を継ぐだけでは駄目ということです。
事業承継補助金の要件
事業承継補助金の対象者は、中小企業・小規模事業者あるいは特定非営利法人となります(みなし大企業などは除きます。対象者の詳細については公募要領をご覧下さい)。
事業承継補助金では、補助事業者自体は2016年4月1日から補助事業終了日または2019年12月31日までに事業承継を行わなければなりません。
事業承継補助金のスケジュール
公募期間:2019年4月12日(金)~2019年5月31日(金)、19:00(時間厳守)
今回は電子申請にて行われますので、時間厳守となります。他の補助金の電子申請の場合と同様ですが、締切間際になると申請が殺到しネットワークの輻輳が起こったりサーバがダウンしたりする可能性がありますので、できるだけ早めに申請することをお勧めします。
審査~交付決定:公募要領のガント図を見ると6~7月中旬までに審査と交付決定が実施される見込みです。
補助事業終了日:2019年12月31日(火)
事業承継補助金の類型
事業承継補助金は、
- Ⅰ型:後継者承継支援型
- Ⅱ型:事業再編・事業統合支援型
の2種類があります。
Ⅰ型の場合、補助事業対象者は事業承継を行う個人及び中小企業・小規模事業者になります。親族内承継を含め、承継される事業が継続されることが条件になります。事業や株式の譲渡による承継は対象外となります。
Ⅱ型の場合、補助事業対象者は事業再編・事業統合を行う中小企業・小規模事業者になります。承継される事業の譲渡を受けたり、法人の株式の譲渡を受けることにより再編・統合を行うことが対象になります。
後継者承継支援型での承継というパターンが多いとは思いますが、場合によっては事業再編・事業統合を行う必要があるかも知れません。
事業承継補助金の補助対象経費
事業承継補助金の補助対象経費は以下の通りです。
他の補助金ではあまり見られなくなってしまいましたが、人件費を計上できるのが最大の特徴といって良いかも知れません。
費目名 | 概要 |
Ⅰ.事業費 | |
人件費 | 本補助事業に直接従事する従業員に対する賃金及び法定福利費 |
店舗等借入費 | 国内の店舗・事務所・駐車場の賃借料・共益費・仲介手数料 |
設備費 | 国内の店舗・事務所の工事、国内で使用する機械器具等調達費用 |
原材料費 | 試供品・サンプル品の製作に係る経費(原材料費) |
知的財産権等関連経費 | 本補助事業実施における特許権等取得に要する弁理士費用 |
謝金 | 本補助事業実施のために謝金として依頼した専門家等に支払う経費 |
旅費 | 販路開拓を目的とした国内外出張に係る交通費、宿泊費 |
マーケティング調査費 | 自社で行うマーケティング調査に係る費用 |
広報費 | 自社で行う広報に係る費用 |
会場借料費 | 販路開拓や広報活動に係る説明会等での一時的な会場借料費 |
外注費 | 業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費 |
委託費 | 業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費 |
Ⅱ.廃業費 | |
廃業登記費 | 廃業に関する登記申請手続きに伴う司法書士等に支払う作成経費 |
在庫処分費 | 既存の事業商品在庫を専門業者に依頼して処分した際の経費 |
解体・処分費 | 既存事業の廃止に伴う設備の解体・処分費 |
原状回復費 | 借りていた設備等を返却する際に義務となっていた原状回復費用 |
移転・移設費用(Ⅱ型のみ計上可) | 効率化のため設備等を移転・移設するために支払われる経費 |
事業承継補助金の補助上限額と補助率
補助上限額と補助率は以下の通りです。
補助上限額と補助率は類型及びその他の条件によって様々です。詳細は公募要領を見て条件を確認して下さい。
特に「審査結果上位」「審査結果上位以外」で補助率が2/3~1/2になるのは凄いですね。
ものづくり補助金もこんな風にすれば面白いかも。
タイプ | 申請の内容 | 補助率 | 補助金額の範囲 | 上乗せ額 ※1 |
【Ⅰ型】
後継者承継支援型 |
・ 小規模事業者
・ 従業員数が小規模事業者と同じ規模の個人事業主 |
2/3 以内 | 100 万円以上~
200 万円以内 |
+300 万円以内 ※2
(補助上限額の合計は 500 万円) |
小規模事業者以外 | 1/2 以内 | 100 万円以上~
150 万円以内 |
+225 万円以内 ※2
(補助上限額の合計は 375 万円) |
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【Ⅱ型】事業再編・事業統合支援型 | 審査結果上位 | 2/3 以内 | 100 万円以上~
600 万円以内 |
+600 万円以内 ※2
(補助上限額の合計は 1,200 万円) |
審査結果上位以外 | 1/2 以内 | 100 万円以上~
450 万円以内 |
+450 万円以内 ※2
(補助上限額の合計は 900 万円)
|
※1 事業転換*により廃業登記費、在庫処分費、解体・処分費、原状回復費及び移転・移設費(Ⅱ型のみ計上可)がある場合のみ認められる補助金額。なお、上乗せ額の対象となる廃業登記費、在庫処分費、解体・処分費、原状回復費及び移転・移設費(Ⅱ型のみ計上可)のみの交付申請は出来ないので注意すること。
※2 廃業登記費、在庫処分費、解体・処分費、原状回復費及び移転・移設費(Ⅱ型のみ計上可)として計上できる額の上限額。