P3C後継機

 米軍は、対潜哨戒機P-3Cオライオンの後継機にMMA(Multi-Mission-Aircraft)の導入を決めました。これは、ボーイング社の737-800型機、あるいはそれに類するBBJ(Boeing-Business-Jet)を母体とした多用途機です。新規に軍用として機体を開発するより、すでに実績のある機体を軍用に転用するほうがコスト面で有利と言うことなのでしょうか。COTS(CommercialOffTheShelf)の一環ですね。

 翻って日本では、輸送機C-1の後継機と対潜哨戒機P-3Cの後継機を同時に開発するプロジェクトが進んでいます。これは、エンジンと主翼を共通に開発するもので、これによって開発コストと整備コストの削減を狙っています。(さすがに胴体は別々の開発になります。翼も4発エンジン用と双発エンジン用とで大きさが異なるものです。)

 ところが、この2種類の機体のうち、対潜哨戒機の後継機について、日本も米軍のMMAを採用する可能性が出てきました。もし、日本がP-3Cの後継機に米軍のMMAを採用すれば、P-2J以来の対潜哨戒機国産化の悲願は絶たれてしまいます。それどころか、開発機が1機種になってしまうために、開発コストの削減やら整備コストの削減やらが本来想定していたほど見込めなくなってしまいます。

 困ったものです。

 もちろん、737やBBJは双発機ですので、洋上を長時間飛行する対潜哨戒機としては不向きなのではと言う議論もあります。それは、日本国内だけでなく、MMAを採用することが決まっている米軍においても同様の議論がなされています。(ま、スタイル的には、ブレンデッド・ウィングレットを採用した美しい翼を持つMMAは大好きなのですが。)

 議論の行方に目が離せません。

2004年7月20日 | カテゴリー : 飛行機 | 投稿者 : assak