今回は、財政危機が叫ばれているギリシアに焦点を絞っての解説だった。ギリシアがユーロ圏に残るのかそれとも脱退するのかが、当面注目の的となっている。
ギリシアの実情に詳しい豊島逸夫氏が実際にギリシアに行ってそこで肌で感じた実際の状況を話していく形で番組が進行していった。
例えば、今年3月のデフォルト回避について世界のメディアは「デフォルト回避歓迎」という論調であったが、現地のメディアは「粘り勝ち」という表現だったそうだ。つまり、もう身の丈を超えた借金は払えない、つまり借りたもの勝ちという状況だそうだ。
また、ギリシア人の国民性と言えば「プライドが高い」ということだそうだ。例えば、失業してお金がなくなってもゴミ箱をあさるくらいだったら尊厳死を選ぶ状況で、実際に自殺者も出ているらしい。
政治の状況としては、緊縮政策を押し進めてきた与党が5月の選挙で惨敗し、6月17日に再選挙があるのだが、ここで緊縮反対派が大勝するとユーロ脱退へと突き進む可能性があるということだ。さきほどの豊島氏の見方では、世論調査では8割はユーロ圏にとどまると回答するが、それは勝ち組の意見であって、負け組はそういった調査に答える余裕はない。そこまで財政状況が逼迫すると、みな目先の痛みを回避する行動に出る、ということでユーロから脱退した方がよいということになる。一方他のユーロ諸国にしてみれば、例えばドイツ国民はギリシア許すまじということらしいが、現在ではぎりぎりのところで課題を先延ばしにして救済する状況が続いている。ただし、このままだと最終的にはギリシアを切り捨てるのは避けられないということで、その条件は「スペイン」「イタリア」を救済するめどが立ったときだということである。逆にギリシアが暴走して、勝手にユーロ圏を離脱するというのが、最悪のシナリオとなる。そのときはマーケットはタイミングを図れずに大混乱に陥るという予想であった。
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経済市況については、まず国内において「日経平均株価」の大幅下落。アメリカでは雇用統計の数値の悪化が著しい。そしてNYダウも下落が続いている。BRICSのブラジル、インドでもGDP成長率が市場の予想を下回るなど、悪材料に事欠かない状況である。
ところで、円と中国元との間で「ドルを介さない」直接取引が6/1から始まっている。中国元が世界通貨へ又一歩近づきつつあるということかな。