ガイアの夜明け(2012/06/12放送分)

【争奪!アジアの理想郷~誰が貴方のズボンを作るのか?~】
今回のテーマは、世界の工場である中国が、人件費の高騰により、もはやコスト・メリットを発揮できなくなってきたという話。アパレル系の話ではあるが、他の製造業にも同じことがいえるのではと考えさせられる内容。
中国一辺倒からの脱却は何もコストだけの話ではなく、地政学的なリスクの分散という側面もあるということだった。ま、それは国内の震災の影響や中国のレアメタルに関する状況を考えても分かることではある。
それで、メーカーが中国以外のどこに生産拠点を移すかというと、同じ東南アジアのベトナム、フィリピン、バングラデシュなど、であるが、今回の注目はミャンマーだった。
ご存じの通り、ミャンマーは昨年(2011年04月)民政に移行したのだが、長期にわたる軍事政権下の影響で経済制裁を受けていたことにより経済発展が遅れており、月給の相場は日本円に換算すると5,000円(一人あたりGDPで800ドル)ということで、前述の列挙した国々の中で最も低い。
まず、中国の現状であるが。中国では、縫製の仕事をしたいという若者が減少し、大学を出てより条件の良い職場に行く若者が増えているとのこと。また、従業員の月給上昇は激しく、工場を維持するのが厳しい状況である。番組に登場した商社・住金物産の責任者は「中長期的に考えると、このまま中国で頑張るより次に活路を目指した方が良い」とまで言っていた。
そのような中で、ミャンマーにいち早く目を付けた会社・ハニーズへと話が移る。内容は、社内の基準に達するまで品質を上げていくために、ハニーズの派遣チームと現地のメンバーが頑張るという話だったが、これは人情話だね。でも、このエピソードの中で、停電が発生していた。電力供給が安定していないため、停電が日常茶飯事なそうだが、これだと「電力使用量が大きく」、「安定した電力供給が必須の」大規模な製造工場とかはまだ進出が難しいと感じるな
で、最後には、前述の住金物産の責任者もミャンマーに進出ということだった。
しかし、この番組を通して見ると、どうしても安い労働力を搾取している・・・女工哀史のような印象を受けるな。中国の労働力コストが高くなったから、他の国に乗り換えるということだけのような気がする。番組の中では、現地のメンバーを人材として育てることが重要だというようなことを言っていたが、レトリックに聞こえてならない。