DriveFileStreamのドライブレター、バックアップの諸問題対策

DriveFileStreamは、G-Suiteと呼ばれるGoogleのビジネス向けサービスにて利用可能なクラウド・ストレージです。従前はGoogle Driveと呼ばれるサービスでした。

DriveFileStreamという新規サービスに移行して、便利になった点と問題のある点をまとめてみました。


サービスの違い

新サービスと旧サービスの名称の違いは以下の通りです。
名称の違いはざっくり言うと旧来からあるGoogleDriveというものが、個人向けには「バックアップと同期」にビジネス向けが「DriveFileStream」になったと言うことです。

用途 個人向け ビジネス向け
Google Drive Google Drive
バックアップと同期 DriveFileStream

また、仕組みの違いは以下の通りです。

DriveFileStreamは、ローカル上に実ファイルを持たない完全クラウド型であることが特徴です。また、ドライブレター(標準でG:ドライブ)を利用しています。G:ドライブがすでに他のデバイスで使用されている場合は他のドライブレターが割り当てられます。それに対し、従前のGoogleDriveまたは「バックアップと同期」はWindowsユーザーのフォルダ内に専用フォルダが作成されます。

ファイルの保存場所 フォルダ or ドライブ 保存場所
Google Drive フォルダ((ユーザー名)\Google ドライブ) ローカル
バックアップと同期 フォルダ((ユーザー名)\Google ドライブ) ローカル
DriveFileStream ドライブ(G:) クラウド

完全クラウド型のため、ローカルドライブの容量を消費しないことが最大の特徴になります。アプリケーションなどからファイルの呼び出しがあると、ネットワーク経由でデータが転送される仕組みです。保存の場合も同じです。

ということで、LightWeightな環境でたくさんのファイルにアクセスするときは非常に便利です。例えば、タブレットPCなど本体のディスク容量が限られているときです。ビジネスで使う全データをDriveFileStreamに入れておくと、ローカルなドライブの容量が限られていても外出先などでそれらのデータにアクセスできます。もちろん膨大なデータをDriveFileStreamに保存するためにはストレージエリアのオプションで追加料金を払わなければなりませんが。

ノマドのような働き方をしている人にはぴったりのサービスかも知れません。


DriveFileStreamの問題点

さて、便利になったGoogleのクラウド・ストレージサービス、DriveFileStreamですが、私が使っているといくつかの問題点がありました。

  1. ドライブレターが変わる場合がある
  2. バックアップに時間がかかる、または失敗する

以下にその内容の詳細と対策について説明します。


ドライブレターが変わる場合がある

詳細

前述の通りDriveFileStreamは基本的にはG:ドライブに割り当てられます。多分GoogleのGだと思います。しかしながら、一度シャットダウンして再度起動しなおすと別のドライブ(例えばI:など)に変わることがあります。

これは、USBメモリーなどの外部ストレージを差していなくても発生します。

デスクトップ上にDriveFileStream内のフォルダへのショートカットを作成している場合など、全て無効になってしまいます。ショートカットにはGoogle DriveFileStreamのオーバーレイアイコンが表示されているのですが、ドライブレターが変わった場合はそれも表示されなくなってしまいます。当然そのショートカットにはアクセスできませんし、無効なフォルダへのアクセスを試行するため、起動時に時間がかかる場合もあります。

原因

WindowsがシャットダウンされるときにDriveFileStreamのドライブレターを離さない(G:ドライブをつかんだままにしている)事が問題となります。Windowsのシャットダウンで「高速スタートアップ」が有効な場合、再度起動したときに以前のデスクトップ環境に復元しようとします。そのためG:ドライブもリザーブされているのですが、DriveFileStreamが起動したときにDriveFileStream側からはG:ドライブがすでに他のデバイスに使用されていると判断され、別のドライブを割り当てるのです。

ということで、正しい表現としてはDriveFileStreamそのものの問題点ではないのですが、DriveFileStreamを使っていると一度は経験する問題なので敢えてここに書かせてもらいました。このドライブレターの問題で苦労している人もかなりいました。

対策

Windowsの高速スタートアップを無効にします。なお、以下の操作はWindows10における操作となります。

1.Windowsのメニューを開き、歯車ボタンをクリックします。

2.設定メニューが開いたら、システムをクリックします。

3.システムのメニュー画面で、左側の「電源とスリープ」をクリックします。

4.電源とスリープの画面右側の下にある(要スクロール?)電源の追加設定をクリックします。

5.電源オプションのメニューから左側の「電源ボタンの動作の選択」をクリックします。

6.シャットダウン設定の「高速スタートアップを有効にする(推奨)」のチェックを外します。

ということで、高速スタートアップを無効にするとスタートアップに時間がかかるようになりますが、最新のPCやSSDを搭載していれば全く気になりません。もともと、そんなに時間がかかるものでもありませんしね。

本稿とは直接関係はありませんが、この高速スタートアップは他のデバイスやデバイスドライバとかにも悪影響があった前科持ちの機能ですので、オフにしておいた方が良いのではと思います。特にいろいろなデバイスを外付けするような場合は要注意です。


バックアップに時間がかかる、または失敗する

詳細・原因

クラウドだけで運用する場合は良いのですが、ローカルなストレージにバックアップを取るようなことを想定する場合(例えば定期的にUSB外付けのHDDに保存する場合)、バックアップに時間がかかります。これは、前述の仕組みを考えれば当然ですが、ファイルをネットワーク経由で取得するため、ファイルの転送速度はネットワークの帯域幅の制限を受けてしまいます。また従量制のネットワークでは膨大な通信量となり料金も発生します。

さらには、通信エラー等の理由により(バックアップツールとの相性もあるとは思いますが)バックアップが失敗することがあります。

もちろん、クラウドだけの運用を想定しているのなら良いのですが、BCPの観点からもローカルにバックアップを取っておきたいという場合は、問題となります。

対策

DriveFileStreamには従前のGoogleDriveの様に、ローカルに保存したものをクラウドに同期する事ができるモードがあります。あくまでもクラウド上のファイルが主になりますが、ローカルのファイルが更新されると自動的に同期プログラムが走ってクラウドに転送されるという仕組みです。このモードは、本来は移動中などネットワーク接続状態が不安定な場合に利用することを想定していますが、バックアップを高速で安定して行う際にも使える技となります。

設定方法は以下の通りです。

1.ローカルに保存しておきたいファイルが存在するフォルダを右クリックして「ドライブファイルストリーム」⇒「オフラインで使用可能にする」にチェックをする(もともとは「オンラインでのみ使用可能にする」にチェックが付いているはず)

これだけで完了です。
ただしチェックをした直後から同期(ローカルへの保存)が始まります。最初の同期に要する時間はDriveFileStream内の容量及び通信速度に影響されます。通信料金などにご注意ください。

本操作が完了したかどうかはタスクトレイ内の「DriveFileStream」アイコンのアニメーションの状態で確認できます。

その後の更新は差分ファイルのみの通信ですので、大きな通信料は発生しません。

お勧めとしては、自宅にあるPCやサーバーなどストレージ容量が豊富でネットワークも安定している環境では「オフラインで使用可能にする」にしておきバックアップする際のベースとしておくという使い方です。これらの自宅にあるPCやサーバーからバックアップ先のストレージに対してバックアップを実行すれば、高速で安定したバックアップが可能になります。
外出先で使用するタブレットなどでは「オンラインでのみ使用可能にする」のままが良いのではと思います。

ちなみに、本操作はフォルダ単位ではなくファイル単位で使用できます。もし、いくつかのフィルだけオフラインで使用したい場合は、対象となるファイルのみ前述の操作を行えば良いことになります。

ファイルの種類に関してですが、gdoc、gsheet、gmapなどはオフラインで使用可能にするに変更することが出来ません。これらはネットワーク上にデータ本体が有りブラウザ経由で利用することが前提であるので、オフラインには出来ません。だから、当然バックアップも出来ません。これらのファイルをExplorerなどでDriveFileStreamのドライブ以外にコピーしようとするとエラーになります。

また、当然ではありますが、バックアップ等を行う際はDriveFileStream内の同期が完了していることを確認してから実施してください。
他の人と共有しているフォルダのバックアップを実施する場合などはDriveFileStream内のメニューにある「同期を一時停止」にしてからバックアップを実施しないと整合性がとれなくなる場合があります。

私は外出先に持って行くPCもかなりストレージサイズがありますので、いずれも「オフラインで使用可能にする」にして使っています。


DriveFileStreamは便利なツール?!

というわけで、使い方次第では結構便利なDriveFileStreamです。有料ではありますが、コスト・パフォーマンスを考えると小規模事業者でも導入する選択肢もあるのでは?と思っています。