2019年度、福岡県中小企業生産性向上設備導入補助金について公募要領を検討し内容を解説します

福岡県から、中小企業生産性向上設備導入補助金の公募について案内が出ています

2019年度の福岡県中小企業生産性向上補助金の公募案内が出ています。

年度の後半に向けて事業期間が短い補助金ですが、ものづくり補助金のように機械装置の導入等に関して比較的規模の大きな補助が出ることになっています。

福岡県では議会の会期の影響で2019年度当初は暫定予算にて事業活動がなされていましたが、6月に予算が議会にて承認されやっと本予算がスタートした次第です。

福岡県中小企業生産性向上補助金のサイト(福岡県庁のサイト)はこちらです。


補助対象者

福岡県中小企業生産性向上補助金は中小企業向けの補助金です。したがって、中小企業者であることが必要です。
ただし、以下の条件を全て満たす必要があります。

  • 営む事業が日本標準産業分類の「A:農業、林業」「B:漁業」、「S:公務」に該当しないこと
  • 福岡県内に本社または主たる事業所を有するもの
  • 業務プロセスの効率化及び省力化に対する高い意欲を有すること
  • 暴力団等に該当しないこと

特徴的なのは、一次産業者は対象外になっていることです。実は国のものづくり補助金では一次産業者は対象になっているのですが。
また、これは言葉の綾かも知れませんが、福岡県内に本社を有していれば事業の実施場所が福岡県外であっても良いように解釈できます。実際は、県外に実施場所があるような計画は採択されないでしょうけれど。

 


補助率及び補助上限額

福岡県中小企業生産性向上補助金では他の福岡県の補助金と同じように、補助率は1/2となっています。
また補助上限額は、自動化・IoT装置等の購入の場合は上限が10,000,000円となっています。国のものづくり補助金の上限額と同じです。また治具・器具等の購入の場合は1,500,000円となっています。

補助区分 事業内容 補助限度額
自動化・IoT装置 生産性を向上させるための自動化装置、IoT装置等の購入 10,000,000円
治具等 生産性を向上させるための治具・器具等の購入 1,500,000円

 


補助対象経費

福岡県中小企業生産性向上補助金の補助対象経費は、機械装置、工具・器具及び送付とウェア等の購入に要する経費となっています。
国のものづくり補助金も、ほとんどの事業者は補助対象費目として機械装置のみを計上していますので、まさに国のものづくり補助金に準じている形です。
しかしながら、福岡県中小企業生産性向上補助金についてはソフトウェアについて「補助対象となる機械装置に専用かつ必要不可欠にして、一体運用がなされるものに限り、対象とします」とあります。つまり、ソフトウェア単独で生産性が上がるというものについては対象外となります。例えば、生産管理システム、在庫管理システムなどにより効率的に生産活動が実施され生産性が上がるという者であっても、システムは対象外になると言うことです。逆にIoTの機能を持った生産設備(機械装置)を購入しそのデータを収集したり、その機械装置を制御するためのソフトウェアであればオーケーとなるということになります。

補助区分 補助対象経費
自動化・IoT装置 機械装置、工具・器具及び関連ソフトウェア等の購入に要する経費

※ソフトウェアは補助対象となる機械装置に専用かつ必要不可欠にして、一体運用がなされるもの

治具等 治具・器具等の購入に要する経費

 


採択予定数

福岡県中小企業生産性向上補助金の採択予定数は、自動化・IoT装置の補助区分が1件程度、治具等の補助区分で10件程度となっています。

福岡県中小企業生産性向上補助金は予算額からすると10,000,000円×1件+1,500,000円×10件=25,000,000円となりますので、これくらいということになるのでしょうね。

補助区分 補助対象経費
自動化・IoT装置 1件程度
治具等 10件程度

 


スケジュール

福岡県中小企業生産性向上補助金のスケジュールは以下の通りです。

No. 項目 期日
1 公募 2019年9月2日(月)~2019年10月25日(金)12時必着
2 審査 2019年11月中旬
3 交付決定 2019年11月下旬
4 実績報告 2020年3月10日(火)、または事業終了後14日以内
5 補助金の確定 2020年3月上旬
6 精算払請求 2020年3月中旬
7 補助金支払い 2020年3月下旬
8 事業の成果報告 事業実施年度の翌年度から5年間、毎年6月30日まで

ということで、事業実施期間が2019年12月~2020年3月のほぼ3ヶ月間となります。非常に短いので大型の機械装置などは納期などが非常に厳しくなるでしょう。短納期での納品が見込める機械装置でないと採択されても事業実施に支障を来す可能性があります。

 


その他の要件

福岡県中小企業生産性向上補助金では、提出書類の中に「生産性向上計画」という様式があります。以下のような表形式の数値計画です。この表は国のものづくり補助金の会社全体の事業計画の表とほぼ同じです(経常利益=営業利益-営業外費用、の行が無いですが)。
5年後の伸び率(当年を引かないので、現状維持が100%になります)を記入する列があります。この伸び率に関しては、公募要領に何の条件も書かれていません。国のものづくり補助金で言うと、付加価値額の伸び率は年率で3%以上という条件でした。そう考えると115%以上の数字になるような計画にすべきかとは思いますが、特に要件には定めていないようです。

生産性向上計画書 (単位 千円)

直近期末 補助事業年度 1年後 2年後 3年後 4年後 5年後 5年後/直近期末 備考
①売上高
②営業利益
③人件費
④減価償却費
⑤付加価値額
⑥従業員数
⑦労働生産性

最後に

生産性の向上は、企業にとって競争力を高めるための重大な要件であり、福岡県中小企業生産性向上補助金もその趣旨に沿って実施される補助金ということになると思います。

福岡県中小企業生産性向上補助金についてはまだ情報が少ないですが、情報が入手されれば逐次解説していきたいと思います。