カンブリア宮殿  ~廃止された路線を”観光鉄道”へ~

 嵯峨野観光鉄道によるトロッコ列車の話題である。元々はJRの山陰線だったのだが、単線でカーブが多く、列車のスピードが出せないので、山陰線を複線化するときに別の経路を採択し、廃線となった。そこを観光路線として、再生したものである。社長の長谷川和彦は、テーマパークとしての復活を目指した。
 その秘訣というのが、彼の言葉をそのまま並べると、テーマの明確性、値ごろ感、アクセス、もてなし、継続した投資で、これはどのテーマパークにも当てはまることかな。でも、最初のJRからの投資が2億円で、車両の購入に充てるとほとんど残らなかったと言う。沿線の整備などは社員自らが行ったというから、手作り感満載である。
 その他にも地方のローカル鉄道が集客のために、いろいろな工夫をしているところが紹介されていたが、これらは本当に地元に根付いたもので、地域の文化や伝統資源を活かしていくことに繋がると結んでいた。
 バブル期には全国にテーマパークという箱物が作られたが、悉く失敗している。当時は潤沢な資金で立派な施設を作って、それが最初のうちは消費者の目を引いていたのだろうが、一巡すると目新しさがなくなり、次第に客足が遠のいてしまっていた。それに対して、長谷川社長は、最初から上記のコンセプトをぶらさずに守って邁進してきたことが今日の成功に繋がっているのではないかと思う。