今回はフィリピンがテーマ。
最初は関西空港とフィリピン・マニラを結ぶ「セブ・パシフィック航空」。俗に言うLCCだが、客室内のサービスがユニークだ。でも、今回はこの航空会社がメインではなく、マニラ空港に降り立ってみると、大勢のフィリピン人が海外に出稼ぎに行っている光景が目に入るというところが、番組のつかみであったわけである。言わずと知れたフィリピンは出稼ぎ大国(という言い方が正しいかどうかは分からないが、番組ではそう言っていた)。
というわけで、フィリピンの出稼ぎ労働者が世界(と日本で)どのように活躍しているかを中心に番組が進む。
まずは日本の外国人労働者比率の紹介で、0.9%だそうだ。ざっと100人に一人。私の前職でも外国(フィリピン人)労働者がいたが、ちょうどのそのくらいの割合かな。それが米国では16.2%、独国9.4%、英国7.3%だから、日本がいかに外国人労働者を受け入れていないかが分かる。
次に日本国内で働いているフィリピン人労働者の例として、ハウスキーパー(家政婦+ベビーシッター)を紹介。確かに、番組で紹介されていたベビーシッターは優秀だった。でも、料金は高いな。これだと母親がパートで働く分くらいは全てハウスキーパー代として消えていくんじゃない?母親もかなり高収入でなければハウスキーパーを雇うメリットがないのではと思ったよ。ところで、このハウスキーパーの人材派遣会社は元々日本国内の外国人家庭向けに事業をしていたそうだ。というのも、フィリピンの公用語の一つが英語であり、英語がしゃべれることが国内の外国人家庭に対してはうってつけだということだった。しかし、フィリピン人がとても一所懸命であるということで、日本人家庭向けの派遣も増えているということだった。
しかし、日本では以前、俗に言う「じゃぱゆきさん」の問題があったため、フィリピン人が日本の就労ビザを取得するのが非常に厳しい状況がある。前述のハウスキーパーは日本人男性と結婚しているので就労が可能だそうだ。
で、フィリピンの出稼ぎ状況であるが、国民の10人に一人は海外に出稼ぎに出ており、海外からの送金額が214億ドル(1兆6,000億円、GDPの約10%)というからすさまじい。まさに出稼ぎが国を支えている状況か?。
また、海外雇用庁という他国ではまり見られない監督官庁もあるし、海外就労のための教育訓練施設もあるというから本格的だ。職業訓練校はフィリピン国内で4,000校あるという。
フィリピン人が出稼ぎ・・・というか他国で活躍できる理由として、番組では3点挙げていた。
1.英語が堪能:英語人口が世界第3位
2.まじめ:国民の83%が敬虔なカトリック
3.フレンドリー:フィリピーノホスピタリティという、フランクな国民性
ということらしい。でも、3番目は人によりけりだと思うな。大阪人が全部お笑い好きだというわけでもないのと一緒だろう。
フィリピンが出稼ぎ大国になった経緯の中で、マルコス大統領の名を久しぶりに聞いた。彼の独裁はフィリピンに革命を起こしたが、出稼ぎ政策を主導したということは評価できるのではないかな(他にも評価できるところはあるが・・・)。
日本で活躍しているフィリピン人労働者としては、家政婦、看護師、コールセンター、船員、ということだが、中でもコールセンターはインドを抜き、フィリピンがトップになったそうだ。また、コールセンターだけは、フィリピン国内で働きながら日本からの外貨を稼ぐという、バーチャルな出稼ぎということで、異色だ。
で、最後は、介護士の話。これ、厳しいんだよね。せっかくEPAでフィリピン、インドネシアから優秀な人材が来日しているのに、所定の期間内に資格を取れないと帰国しなければいけないという高いハードルがある。もう少し条件を緩和しても良いんじゃないの?介護の現場では100万人くらい人が足りないそうだが、どうする気なのだろう。
結論としては、「人材開国で家庭所得倍増」ということで、もっと外国人労働者の門戸を開放せよということだった。
ま、実際私もそう思うんだよね。労働人口の減少がデフレの原因の一つになっているのは間違いない。それを外国人が補ったとしても、国内の労働力が増えることは、所得の増加、ひいては消費の増加を招き、経済にとって良いスパイラルが回ることにもなるだろう。だから、もっと積極的に外国人労働者を受け入れるべきだと思っている。ただ、日本人は異質の文化と交わるのを嫌う傾向があるので、それがなかなかうまく行かないんだろうな。そうこうしているうちに、日本の衰退がさらに進むのではと危惧しているのだが。
フィリピンが出稼ぎ大国ならば、日本は出稼ぎ受け入れ大国になるくらい勢いで、国策として外国人労働者の受け入れを推し進めていかないといけない気がする・・・。