カンブリア宮殿(2012/08/30放送分)

快進撃のスナック菓子の王者!ダントツを目指す攻めの経営
カルビーがテーマ。会長は松本晃氏。好調を維持するカルビーだから、さぞや生え抜きの社長かと思いきや、他の会社から招聘されて社長になったという。お菓子業界のトップに君臨していても常に新しい血を入れる、すなわち危機感を持って経営にのぞんでいると言うことかな?
で、最初はJR東京駅のお菓子ランド・お菓子メーカーのアンテナショップが集まっている店。そこでの注目がカルビーというところから、話が始まる。カルビーの売上はスーパーの菓子部門の約半数(46%)ということだから、すごいよね。
カルビーの年間売上高のトップ4は、
4位:じゃがビー、83億円
3位:かっぱえびせん、100億円
2位:じゃがりこ、263億円
1位:ポテトチップス、587億円
ポテトチップスが2位のじゃがりこの倍以上の売上だから、まさに看板商品だな~~。そして、ポテトチップスの国内シェアは、カルビーが60%。ポテトチップスは、常時約80種類店頭に並んでいて、大半が3ヶ月で入れ替わるほど回転が早い。新商品好きの顧客は、商品棚から目が離せない。大半が3ヶ月で入れ替わる。
国内で生産されるジャガイモの10%、20万トンをカルビーが買い付けているというから、すごいよね。それを運搬する船まで所有していて、その船名が「カルビーポテト丸」って、ネーミングもおもしろいな。
ポテトチップスの工場では、0.01mm単位でスライスの厚さを調整していた。こんな職人的なところにもこだわっているのね。番組で紹介されていた、空気で選別する機械は、前職でちょっと絡んだよ。カルビー向けの機械ではなかったけれどね。画像処理で焦げたチップスを判定して、それがコンベヤのギャップを通る瞬間に空気を噴射して選別するので、リアル・タイム性が要求されるものだったが。
そして、3年前に招聘された松本晃氏は、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどを歴任した業績向上の請負人。携わった会社の利益を何倍にも向上させてきた。
カルビーは王者だが、それだけでは満足せず、米国大手の菓子メーカー「ペプシコ」を買収したり、中国への足がかりを作ったりと、海外展開を図っている。
松本晃氏は、国内のマーケットシェアで2/3以上を目指せという。1位が50%で、2位が15%のシェアだったとしても、2位が追随戦略を取るのは容易であり、必ずシェアは落ちるというのである。これって、コトラーの言っている市場地位ごとの戦略だよね。
また、松本晃氏は、新商品の開発こそが、企業成長の鍵と考えているようで、企画部門の若手には考える訓練として「週に3本の新商品企画を考える」(通称:千本ノック)ことをさせたり、R&Dセンターでは、試作品をすぐにテスト販売できるよう小規模のパッケージングができる設備を備えていたり、とにかく新しいものを作ろうという意欲が凄まじい。あくなき新商品開発だな~。
そして、営業利益を2%~7.6%まで上げた・・・それもたった3年で。というのは凄まじい。
トピックスとしておもしろかったものに、今カルビーが目指しているのが「脱ジャガイモ」というのがあった。スナック菓子の原材料としては約60%がジャガイモ由来なのだが、そのカルビーが脱ジャガイモとは。というのも、カルビーが更なる売上増加を目指そうとしたときに、ジャガイモの調達はもう限界でこれ以上飛躍的に調達を増やすことは難しいのだそうだ。そこで、ジャガイモを原料としないスナック菓子ということで、新商品開発を進めていた。番組で見せてもらったのは、カボチャやサツマイモをチップス状にしたもので、甘みがあるのかな?ちょっと食べてみたい気がした。
カルビーの社名は「カルシウム」と「ビタミンB」から取ったという。創業当時、戦後で栄養不足の子供たちのために、栄養のある菓子を提供したいということで、「カルビーキャラメル」という商品を作っていたのだが、そこから社名にしたと言うことだった。
さて、そのカルビーが念願の上場を果たしたのが、なんと昨年2011年の3月11日だった。松本会長の記者会見中に(多分引けの後、初日の出来高などに関する記者会見だったと思うが)地震の揺れが襲っていた。
最後は、全社員との直接対話で企業理念を熱心に説いている松本晃氏の姿。画面に映し出されたVISIONには、「顧客・取引先から、次に従業員とその家族から、そしてコミュニティから、最後に株主から尊敬され、賞賛され、そして愛される会社になる」とあった。この文言は彼の前職のジョンソン・エンド・ジョンソンのクレドーを元にしたものらしい。しかしながら、CS:顧客満足の次にES:従業員満足が来ているのは、日本企業らしいと言えば日本企業らしいのだが、元がジョンソン・エンド・ジョンソンのクレドーというのはちょっと不思議な気がする。

今回はスナック菓子業界のリーダー企業の紹介であり、その手法、戦略はまさにコトラーのリーダー企業の戦略を地で行っているようなものだった。リーダー企業がこれだけ王道の戦略を展開したら、フォロワー企業たちはなかなか追いつけそうもないな。