レビュー:フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿 第18回「ザ・トゥルース」

NHKのBSプレミアムで毎月第4水曜日に放送されている科学史のドキュメントである。

今回は第18回(2017年10月26日放送)分のレビューで、タイトルは「ザ・トゥルース(真実) 世界を変えた金融工学」である。

いつもは、科学者たちによる非人道的、非倫理的な実験や(妄信に基づいた)治療方法などが紹介されている。前回レビューしたのは森鴎外の回で、彼が自らの考えに固執する事で多くの兵士を死なせたというものであった。

ということで、いつもより軽めのレビューとなっている。

金融工学というのはあまりなじみがない方もいるかと思うが、簡単に言うと金融商品(株式とか保険とか先物とか)の市場においてその価格の変動を、数式を用いて予測しようという学問である。

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オイコノミア「経済学は“自由”を目指す」(2018/2/28放送)

 久しぶりの投稿は、先日放送された「オイコノミア」のレビューです。オイコノミアは毎回視聴しています。経済学が大好きな私にとっては、内容は毎回大変興味深いものです。が、なかなか記事にする暇が無くて無沙汰をしています。

 今回はテーマが「自由」ということとゲストが「中村文則」さんだったことから、久しぶりに記事を書いています。

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オイコノミア「~多数決 だけじゃ ない!決め方の 経済学~」(2017/5/3放送)

 NHKのEテレで放映されている経済バラエティ番組「オイコノミア」は先日紹介した行動経済学の話もあるので、ずっと興味を持っています。行動経済学の権威である大竹文雄教授もよく出演しています。

 しばらく前まで(といっても過去の記事から3年くらいは経ちましたが)はこのブログでも頻繁にオイコノミアの放送内容を元にした記事を書いていたのですが、多忙のため最近ご無沙汰になってしまっていました。過去に記事を書いていた頃は又吉さんが芥川賞を受賞するなんて思ってもいなかったので、ちょっとびっくりしながらこの記事を書いています。

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レビュー:フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿 第14回「ビタミン×戦争×森鴎外」

NHKのBSプレミアムで毎月最終木曜日に放映されているシリーズの第14回。科学の発展には必ず光と影があると言うことで、一般的はあまり知られていないその過去の影の部分を詳細に紹介していこうという構成に興味があり毎回視聴しているものである。過去には「キュリー夫人(放射能研究)」「ナパーム(爆弾、焼夷弾)」なども取り上げられてきている。

今回は取り上げるのは「森鴎外(森林太郎)」である。もちろん明治の文豪として知らない人はいないし、旧帝国陸軍の軍医でもあったことは教科書にも載っている。

その中で、今回のテーマとして取り上げられたのが、彼の軍医としての経歴の中で「脚気」を巡る言動である。

番組の内容を要約すると以下の通りである。

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オイコノミア「お金でわかる貴方の性格!?」(前編)(2013/04/16放送分)

お台場の日本科学未来館で行われている、企画展「波瀾万丈!おかね道―あなたをうつし出す10の実験」を又吉さんと大竹教授とが訪れて、お金の使い方をベースとして行動経済学の話。
ひさびさの投稿だが、その間、番組を見ていなかったわけではなくて、面白いと思うネタではなかったので、割愛していただけです・・・。
まずは、未来ATMで、「見知らぬ人と\1,000を分け合う問題」のはなし。これは、相手が自由に割合を決めることができ、貴方がそれに合意すれば、二人ともお金をもらうことができ、同意しなければ、二人ともお金をもらえないもの。これは、行動経済学の教科書には必ず出てくる実験で、合理的に考えれば、相手のどんな提案でも受け入れるはずである。しかし、人間は不合理な生き物で、その通りにはならないというもの。又吉さんは、当然のごとく「相手\900、自分\100」という相手側が出してきた提案を拒否。二人とももらえないという結論に。
次は、宝くじの番号に関して、ぞろ目の番号のくじと、数字がランダムなくじのどちらを選択するか、そして、次に、1/10,000の宝くじ1枚と、1/100,000の宝くじ5枚のどちらを購入するかというクイズ。又吉さんは、最初の問題は、揃っていない方を選んでしまい、次は1/100,000の宝くじ5枚を購入する方を選んでしまっていた。番号が揃っていようがいまいが当選確率は同じなのだし、1/10,000のくじ1枚のほうが期待値は高いのに・・・。ということで、これはヒューリスティクスという、行動経済学の重要な考え方に関するもの。
さらに、「A:1年後の\1,000と、B:1年と1週間後の\1,400」のどちらを選ぶか、そして「A:今日の\1,000と、B:1週間後の\1,400」のどちらを選ぶか?という問題で、又吉さんは現在志向バイアスが強い選択を行っていた。つまり、「B:1年と1週間後の\1,400」「A:今日の\1,000」を選択していた。
また、損失回避バイアスの問題として「A:50%の確率で\20,000を得るか50%の確率で何も得られないか、B:確実に\10,000を得るか?」「A:50%の確率で\20,000を失うか50%の確率で何も失わないか、B:確実に\10,000を失うか?」というものが出ていた。これも、又吉さんは「B、A」を選んでいた。
って、これらは行動経済学の実験のおさらいだったのだが、又吉さんは、今回は多数の人が選択する傾向と同じ傾向を示していた。
最後は、又吉さんと大竹教授との対談で、ナッジの話。ナッジとは軽く一押しするというもの。よく使われるのは、アンケートの回答などを選択する際にデフォルトをどちらにするかで、アンケート結果が変わってしまうというもの。これは、悪用するととんでもない手法なのだが・・・。
ということで、行動経済学満載のオイコノミアだったが、私はそれよりも、日本科学未来館の企画展を見に行きたくなった~~!。

オイコノミア(2013/02/19放送分)

「幸せになりたい・・・」(前編)と題して、幸福と経済学の話の前編。
まずは、幸福度の話。「幸福度のパラドックス」として、一人あたりの実質GDPの上昇に対して幸福度が上昇していないことを指摘。次に、性別・年齢別の幸福度の話で、40代~50代の男性がいちばん幸福度が低い。また、年収別の幸福度としては、年収が増加すると幸福度は上昇するが、1,000万円前後と2,000万円手前で幸福度が少し下がる。さらに都道府県別幸福度の話が出てきた。しかし、これらの話に関して他のデータとの相関性に具体性がなく、なんだかなぁという感じ。
そして、所得に関しては、「相対所得仮説」の話に言及。これは人が他人と比較して幸福を感じていると言うことで、他人より待遇が高ければ幸福を感じ、低ければ幸福を感じないというもの。
今の日本では20代の若者の幸福度が、「失業率が高止まりしているにもかかわらず」低くなっていないということも、相対所得仮説から説明が付く。
ということで、最近の研究では人間は絶対的な幸福は感じにくく、他人との比較や、自分の過去との比較によって幸福度を感じると言うこと。だから、幸福を持続させるためには、常に新しい発見やチャレンジを行っていることが重要だ。
幸福の研究というのは続いているのだが、なかなか掴み所の無い物で、定量的に図ることができない。でも、経済活動においては幸福度というのは消費などに影響を及ぼす重要な因子であり、多方面からのアプローチが続いていると言うこと。
次回は後編だが、このテーマに関して結論が出るのかちょっと不安・・・。

アジアの風 小さな挑戦者たち(2013/02/23放送分)

現地コンサルタントの解説によるアジア進出の鍵ということで、今回はインドネシアを特集。
まずは、インドネシアの現状だが、2004年のユドヨノ政権発足後は政権が安定、それに伴い経済成長が続いている。人口構成は典型的なピラミッド型で若年層が多い。
消費の傾向としては、所得の向上が続き、それにともないバイクの販売が伸びている。販売台数の「伸び」が100万台ペースというからすごい。また、今後は自動車の販売も伸びていくだろうと言うこと。
日本のメーカーが狙う市場としては「BOP(Base Of Pyramid)」と呼ばれる低所得層。日用品などを小分けパッケージで販売することで、市場開拓に成功している事例が多い。(シャンプー剤やら、洗剤やらを1回~数回で使い切るパッケージにするというもの)
インドネシアにいち早く進出して成功した例として紹介されていたのは、滋賀県湖南市にある甲西高周波工業と呼ばれる会社。ここは高周波による電気焼き入れを専門に行う会社で、エンジンなどの精密部品に必要な焼き入れを得意としている。海外展開としてまずタイに進出。当時、同国には同業者が全くいないという状況で、先行者利益により業績が急拡大。そしてその次に狙ったのがインドネシアで、ここでも先行者利益により大きなシェアの獲得に成功しているというもの。

オイコノミア(2013/02/12放送分)

「バレンタイン・プレゼント大作戦!?」(後編)と題して、季節柄恋愛と経済学の関係に関しての解説。
ちなみに、前週は同前編ということで、マッチング理論の解説だったが、そこは割愛。
で、まずはライバルがいる状況での「本命チョコ」を渡すか渡さないかの戦略に関して。そこは、ゲーム理論を引き合いに出していた。彼女たちの利得に関しては以下のテーブルのとおり

洋子・直子 渡す 渡さない
渡す 2,2 3,0
渡さない 0,3 1,1

ちなみに洋子と直子は、今回のゲストである政策研究大学院大学助教授の安田洋祐氏と又吉さんから取ったものだが・・・。
ここでまずいえることは、洋子と直子は、いずれもチョコを渡した方が、利得は大きくなると言うこと。個人の利得も、二人の利得の合計もともに最大であるということ。
次に、この状態で洋子あるいは直子が単独で戦略を変えても自分が不利になるだけで、相手をこれ以上不利にすることはできないと言うこと。つまりナッシュ均衡の状態であるということ。ジョン・ナッシュか~何だか懐かしい名前。ジョン・ナッシュは20代前半の博士論文で、このナッシュ均衡を提唱した、いわば天才なのだが、心を病んでしまった。このことは映画「ビューティフル・マインド」で語られている。この辺は番組で紹介されていたのだが、私自身もナッシュの半生を描いた「ビューティフル・マインド」を観て、それまで以上にゲーム理論が好きになってしまっていたので、今回の番組は非常に興味深く観ていた。ビューティフル・マインドを観たのは今から10年以上前だったかな~。番組では、「心を病んでしまった」という表現だったが実際は重い統合失調症で、幻覚や幻聴に悩まされていた。また、同様に「誰からも評価されずに」という表現だったが、実際は冷戦下で暗号技術の開発に従事したことや周囲の期待に対する重圧など複数の因子が原因だったと思うので、番組的に正しかったのかどうかは疑問。
番組ではゲーム理論の成立の話から紹介されていたが、「オスカー・モルゲンシュテルン」と「ジョン・フォン・ノイマン」なんて名前まで出てくるあたり、ずいぶんと番組も気合いが入っている様子。欲を言えば、「ノイマン」は今のコンピューターの元である「ノイマン型コンピューター」を考案した人であることも述べてほしかった。
引き続き、義理チョコの場合の戦略だが、以下のとおり。

洋子・直子 渡す 渡さない
渡す 1,1 3,0
渡さない 0,3 2,2

これは、いずれも渡さないというのが最も利得が高いのであるが、非協力の場合(つまりお互いが示し合わない場合)は渡した方が良いという結論になる。これは、ナッシュ均衡であるが最適な戦略ではない。といことでこれは囚人のジレンマだという解説だった。
で、囚人のジレンマで又吉さんが「親戚が一堂に会した場面でお年玉をいくら渡すか」という事例を挙げていたが、これはまさにその通りだな。最近、又吉さん、ちゃんと分かって話をしているな~。というか、やはり台本なのかな?
さらに、浮気の戦略もゲーム理論で解説していた。

自分・恋人 浮気する 浮気しない
浮気する 1,1 3,0
浮気しない 0,3 2,2

これは、義理チョコと同じマトリックスになるので、お互いに浮気するという戦略を取ってしまう。これも囚人のジレンマだよね。
そして、囚人のジレンマに陥らないための戦略としてトリガー戦略が紹介されていた。これは、
・今までに一度も浮気していなければ、浮気しない。
・一度でも浮気したら、浮気する。
という戦略。
ただし、割引現在価値と絡めてトリガー戦略が無効になるケースも解説されていた。つまり、割引因子が大きければ、囚人のジレンマに陥ってしまうと言うことになるという解説だった。ということは未来のことをあまり重視しないカップルは浮気をすると言うこと。
ということで、今回は、経済学の中で私が最も大好きなゲーム理論(の端緒)の話だったので、非常に興味深く観ていた。が、30分番組ではよく解説されていた方だと思うが、やはり物足りない気がする・・・。というわけで、ゲーム理論の本でも読み直そうかな~~。

アジアの風(2013/02/16放送分)

竹由来のバイオマスプラスチック「ユニペレ」を開発した、株式会社ユニオン産業がテーマ。社長は森川真彦氏。
竹の持つ高い抗菌性などを持ったペレットで、現行のプラスチック射出成形機などがそのまま使えることで、製品を製造する側は新たな設備投資を行わなくて済む。
このユニペレを中国に輸出したいということだったが、評価は価格を除いてまずまず。特に医療分野などでは需要があるということだった。現地に工場を作らず、ペレット製品として輸出すれば、技術漏洩が起きないだろうという判断だった。
もう一国、ラオスにもユニペレを出したいという希望があったが、こちらはさらに高評価。こちらは、ペレット製品を輸出するのではなく、現地の豊富な森林資源を利用してはどうだろうということだった。

アジアの風 小さな挑戦者たち(2013/02/09放送分)

中野鉄工所の中野隆次氏が開発した自転車用のハブがテーマ大阪堺市にある中小メーカーである。堺市は鉄砲鍛冶の時代から金属加工業の集積地だそうだ。
この自転車用のハブ(エアハブ)は非常に有名ですね~。ハブの内部に回転力を利用して圧搾空気を作る装置があり、それを自転車のタイヤに供給するというもの。
番組ではその装置の中身を紹介していたが、クランクの原理だった。オーソドックスな仕組みだ。毎日200m程度乗ることで適正気圧を維持できるというからすごい。
このエアハブを台湾に売り込もうというもの。台湾は自転車製造の一大拠点。
で、評価であるが、価格も含めて高評価だった。
もう一つのターゲットが韓国なのだが。
市場性が低かった。韓国の自転車市場は非常に小さいと言うことだった。しかし、韓国政府が政策として自転車を奨励しているそうで、今後は期待できそうである。